Nordic Game Conference特集 Kojima Hideo氏の北欧座談会

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 著者:鄭一東 

今回Nordic Game Conferenceは、日の入が夜10時で気温20度、5月下旬、スウェーデン南端にある町「マルメー」で開催されました。

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参加者はほとんど北欧諸国や西欧から来ていますが、既にゲーム業界の世界的な伝説人物となっている小島秀夫氏は、北欧のゲーム業界でも人を狂わせるほどの人気を誇ります。

小島秀夫氏はNordic Game Conferenceのキーノートスピーカーの一人として、イベント最大級の600人が入る会場が用意され、同時間帯には他のセッションなし、というVIPの待遇がなされました。
多くの参加者が前日夜のパーティーで疲れていたにもかかわらず、朝10時の小島氏のセッションが開演前には既に会場は満員状態で、一同が小島氏の入場を待っていました。

今回の公園ではテーマのようなものもなく、「Kojima Q&A」という1対1の座談会形式で行われました。インタビューを行うのはゲーム大手Remedy社のコミュニケーション担当のThomas Puha氏でした。
では、早速そのまとめた内容をご覧ください。

Nordic Game Conference 小島秀夫氏の講演概要

--- 二日目に小島さんのツイッターで見かけた写真はどういう意味でしょうか。

小島氏:コジマプロダクションのアイコン、象徴として作りました。最先端の装備に冒険心を加え、誰も行ったことない土地や世界に遊びを届けるという意味を含め、このエバークリエティブスーツで表現しています。武器は持っていませんが、未知の世界へ冒険という意味で中世の甲冑を着て自分を守っています。

--- ウェブサイトに掲載している写真やメッセージは何かを表しているのでしょうか。

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KOJIMA PRODUCTIONSより)

小島氏:人間は道具を使うことで進化してきました。あるオランダの学者によると、遊ぶことで人間は学んでいるそうです。同じようにゲームを遊ぶことで人間の生活をより豊かにしていきたいと考えていて、我々も学ぶことやコミュニケーションを促すことのできるゲームを作っていきたいと思っています。

--- 北欧のゲーム業界に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。

小島氏:八年前にコペンハーゲンで開催されたDICEに来てから北欧のゲーム業界に対しては驚きばかりです。有名なコンソール大作から世界有名なスマホゲームまで、多くのタイトルが北欧で開発されていますね。今回ここに来た理由の一つもその理由を探りたいというものでした。

--- とても忙しいと思いますが、ゲームをプレイする時間はあるのでしょうか?

小島氏:1日は24時間しかないので、まずはゲーム作りに時間を使いたいですね。その次に子供との時間も確保したいです。後は食べる、寝る、映画を見る、本を読む、ゲームをプレイする時間ですね。でも有名なゲームは自分でプレイするし、難しいゲームはスタッフに遊んでもらっています。

--- 今、自分の会社を立ち上げられ、どう感じていますか?

小島氏:ゲーム作りは既に30年になりました。人集めや新しい開発エンジンの使用などは慣れているし、それらはもう一度やるだけなので不安も恐れもありません。最も異なることは、インディの開発者になったのでビジネス会議がなくなり、その分時間ができたことですね。

--- 小さいチームでどのようなゲームを作るつもりでしょうか。

小島氏:チームも小さいので最初は小さなゲームを作ろうとしていました。しかし、多くの人に指摘されました。我々があなたに望むのはこんなゲームじゃないと。ですから、今は尖った感じの違うゲームを作っています。できるだけ早く世に出したいと思っています。

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--- 開発エンジンに関してはどのように選んでいますか?

小島氏:開発エンジンはできれば内製したいのですが、より早くゲームをリリースできるというメリットを考慮して、既存のエンジンを調整して開発していきたいと思っています。今はそのエンジンを探している段階ですね。

--- 昔はゲーム一つ集中して数日間でクリアしていましたが、今は数年間プレイするゲームもありますね。

小島氏:今は人々の生活習慣が変わっていて、映画にしてもネットで2時間続けてずっと見る人はだんだん少なくなって、数十分しか見ないという人も多くなってきています。
ゲームもただ決まったルートでプレイしてもらうのではなく、プレヤーに自由に遊び方を決めてもらえるように作り方をどんどん変えていく必要があります。

映画が5年間制作して2時間で見終わるのと同じで、ゲームも数年間かけて作って集中プレイで数日で終わる形式が主流だったんですが、テレビドラマのようにエピソードごとで出していく形でプレヤーに待ってもらいながら、開発とリリースを続けていくような形式もこれからは可能じゃないかと思いますね。

こうなると、プレヤーとキャッチボールしながら開発していけますね。ただし人気のないキャラクターはどんどん死んでいくと思います(笑)

--- 多くの画期的なゲームやコントロールやインターフェースを作られたが、そのアイディアはどのように出てきたのでしょうか。

小島氏:臨場感はゲームプレイにおいて非常に重要です。ゲーム内の細かい部分に気を付けて作らないとプレヤーはちょっとおかしく感じたら現実に戻ってしまいます。ここは拘ってゲームを作っています。例えば、ディズニーランドは夢の世界で、そのトイレも夢の世界の一部と設定して作っていますよね。ほかのテーマーパークができていないことからその臨場感の差がわかります。

--- VRに関してどう思われますでしょうか。

小島氏:新しい技術で今後の発展に非常にワクワクしています。もちろん今はまだ値段が高いとか、見た目が悪いとか色々ありますが、これから教育分野やシミュレーターなど応用できる領域も多く、おそらく10年か20年後には夢にも見なかったようなものになるでしょう。

(小島氏の講演概要はここまで)

1時間のセッションでしたが、通訳が入っていたこともあり意外と短く感じました。

ゲーム業界の世界的レジェンドで北欧の大地でも高い人気を集める小島氏が、その貴重な経験とこれからについて語ってくれました。

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著者:KenCheng(鄭一東:テイイチトウ)
Sidora Marketing株式会社 CEO/株式会社SQOOL CMO。台湾出身。2006年に来日し, 留学、就職、SQOOL CMOを経て、2015年にフィンランドでSidora Marketingを創業。多国間でのゲーム関連サービスのコネクションを活かして、海外ゲーム関連の取材記事などを日本のメディアに提供している。
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