第18回ゲームライターコミュニティセミナー プロのインタビューテクニックQ&A

 取材 
  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

8月22日、東京代々木にて「第18回ゲームライターコミュニティセミナー」が開催されました。
このセミナーでは「実際のインタビューを大公開」と題して、同コミュニティ代表の小野憲史氏が実際のインタビューを実演しました。

第18回ゲームライターコミュニティセミナー プロのインタビューテクニックQ&A

小野氏は当サイトでも記事を執筆しているプロのゲームライター。(小野氏の記事一覧
ゲームライターを目指す参加者にとっては非常に貴重な場となりました。

セミナーの内容については後日ゲームライターコミュニティのウェブサイトにレポートが掲載される予定ですが、ここではセミナー後の質疑応答の内容の一部をご紹介します。
ゲームライターを目指す方、インタビュースキルを身に付けたい方必見です。

セミナー概要はこちら
http://peatix.com/event/288716/
こちらを見ていただいてから当記事をお読みいただくと、より理解が深まると思います。

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ゲームライターのインタビューのノウハウ Q&A

Q1.事前準備について

インタビューの準備にはどれくらい時間をかけますか?ゲームもプレイしたうえで臨みますか?
準備の定番はありますか?
準備段階では読者層は想定しますか?
例えば今回はどういう風に準備しましたか?
インタビュー経験の少ない若手ライターに対して、はこれはやっとけ!みたいなアドバイスはありますか?

回答

インタビュー記事を事前に読みました。

https://app.famitsu.com/20150106_481792/
https://app.famitsu.com/20150107_481815/

その上でコーラスワールドワイドさんのリリース済みゲームをすべて入手し(デ・マンボを除く)、それぞれ1-2時間ずつ遊びました。20時間くらい準備にかけたことになります。

読者層の想定は編集部との事前の打ち合わせで決めます。今回は100%自分の好みでやりました。

若手ライターさん向けのアドバイスとして、仮にあるゲームの制作者インタビューをするとします。その場合、過去のインタビュー記事をすべて読むことと、そのゲームを事前にプレイしておくこと。この2点は必須だと思います。

Q2.海外ネタについて

今回のインタビューでは海外の話題が多かったと思いますが、海外取材の経験はやっぱり生きていますか?
若手ライターも積極的に海外のイベントやカンファレンスに行くべきだと思いますか?
海外経験が乏しい場合、インタビューでは海外ネタは避けた方が良いと思いますか?

回答

海外取材の経験がなくても成立するとは思いますが、海外取材の経験があると相手との関係性を構築する上で間接的に役に立ちます。また、相手がうっかり間違ったことを言っていた場合に引きずられずにすみます。
若手ライターが積極的に海外のイベントやカンファレンスに行くべきかという質問に対しては、何が役に立つかわからないので行かないよりは行った方がいいですよね、という回答になります。

ただ、要はやり方次第です。
例えば五体不満足で有名な乙武氏は、一時期スポーツキャスターをやっていました。乙武氏は大半のスポーツをプレイすることはできませんが、だからこそ健常者にはできない、彼ならではの質問ができるともいえます。
ただ、これは中上級者向けのテクニックなので、初心者ならとっつきやすいやり方がお勧めです。一番悪いのは「知ったかぶり」をすることです。

Q3.定番の質問

インタビューの際にこれは定番、という質問はありますか?

回答

例えば新作ゲームのインタビューとすると、定番の流れは下記の通りです。

1:インタビュイーの自己紹介
2:ゲームの概要
3:企画意図
4:開発エピソード・苦労話
5:苦労をどのように乗り越えたか
6:開発者の一押しポイント
7:まとめ

実際はこの流れを基に臨機応変に質問していくことになります。

Q4.写真撮影

1人でインタビューする場合、写真撮影はいつい行っていますか?インタビューの前か後かどちらですか?
写真撮影をする旨メールなどで事前に断っていますか?

回答

写真撮影の有無は依頼段階で明確にしておくのがマナーです。希に顔出しNGという方が(特に現場の開発者で)います。
1人でインタビューするときは、たいてい終わった後の雑談で1〜2カットとります。インタビュー冒頭だと緊張されていることがあるためです。

Q5.エピソードを引き出す工夫

記事にするにあたっては特長的なエピソードを引き出したいと思いますが、その為にのような誘導をしていますか?例えば今回はどのように話を進めましたか?

回答

「私はあなたのことなら何でも知ってますよ~」的な雰囲気を出すことですね。そうすると先方も気をつかって新ネタを披露してくれたりします。
今回の例では、インタビュー対象者とと自分との間に共通の知人がいたことが事前のメールでのやりとりで判明したことがポイントでした。

Q6.インタビュー対象が複数の場合

インタビュー対象が2人以上の場合、話してもらう時間の割り振りはどうしていますか?
平等に時間を割きますか?それともキーマンに絞りますか?

回答

きるだけ均等になるようにしています。特に対談などではそうですね。
ただ、メインのプロデューサーとアシスタントプロデューサーなどのように明確に主従が別れる場合は、時間に差をつけてもいいと思います。

Q7.インタビュー後のフォロー

ヒアリングした中で記事なるエピソードはごく一部だと思いますが、後でメールなどでフォローなどは行っていますか?(ここ、色々話してもらったのに記事にできずにすみません的な)

回答

インタビュー後のフォローは主に編集が行います。通常インタビュアーとインタビュイーの間には編集が入ります。ライターの方から編集を飛び越して、直接インタビュイーに連絡することは、(よほど親しい場合は別ですが)基本的にありません。ただ、イベントやレポート取材などで編集が介在しない場合は、インタビュー後のフォローことをすることもあります。

Q8.ボイスレコーダー

スマホのアプリではなく専用のボイスレコーダーを使っていますが、どういった理由からですか?

回答

以前はスマホのアプリを使っていましたが、下記理由でやめました。

・録音可能な残量時間がわかりにくい(たまにメモリがいっぱいで録音が途中で止まったりする)
・ICレコーダーとスマホのダブル録音をすると万が一のトラブルでも安心
・手にもっての立ち取材がしにくい

セミナーレポート

掲載され次第リンク予定です。

著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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