フィンランド・オウル市のゲーム会社、Fingersoft社を訪問、新作ゲームや地域貢献について聞いてきました |Page2

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  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

フィンガーソフト社とオウル市

フィンランド・オウル市のゲーム会社、Fingersoft社を訪問、新作ゲームや地域貢献について聞いてきました

フィンガーソフト社があるのは、人口約25万人のフィンランド中部に位置する都市、オウル市。
オウル市中心部の一区画を占める「Game Campus」には、「Oulu Game Lab」というオウル応用科学大学が提供するゲーム教育プログラムのキャンパスや、ゲーム関連企業のオフィスが入っています。
「Game Campus」は「オウル大学建築学部」の土地と建物をフィンガーソフト社が建物管理会社と共に買収し作り変えて実現したもの。

なんと同社はこの「Game Campus」の創出を、オウル市への社会貢献活動、そしてオウル市内のゲーム企業への支援として行っています。

このような大掛かりな支援活動を行っているのはどのような理由からなのか、Pasi Jokinen氏に話を伺いました。

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Do what is good for Oulu.

フィンランド・オウル市のゲーム会社、Fingersoft社を訪問、新作ゲームや地域貢献について聞いてきました

※Oulu Game Labの様子。学生はここでゲーム作成と共にゲームビジネスを学ぶ。

ヒルクライムレースが成功したとはいえ、まだ若い企業であるフィンガーソフト社が、なぜこのように大きな支援活動を行っているのでしょうか。

それはフィンガーソフト創設者Tonyの、

Do what is good for Oulu.
オウルにとって良いことをやろう。

という一言に拠るそうです。

オウル市にとって良いこと、ゲーム開発会社であるフィンガーソフト社にとってのそれは、持続可能なゲーム産業の基盤をオウル市に作り成功するゲームを生み出し続けられる基盤を構築すること。
それがまさに「Game Campus」というわけです。

『ゲーム業界での成功はだんだんと難しくなってきていて、4年前は1人のクリエイターが成功を手にすることも可能だったが、今はそれは難しい。』
とPasi Jokinen氏は明かします。

氏はさらに

『今のゲーム産業は、成功した企業や大企業だけが主導している。
これは小さなスタートアップにとって良い環境ではないから、このままではゲーム産業自体が衰退してしまう恐れもあると考えている。』
と語ります。

フィンランド・オウル市のゲーム会社、Fingersoft社を訪問、新作ゲームや地域貢献について聞いてきました

小さなゲーム会社にはお金とブランドが無く、それが事業存続上の大きな問題になります。
成功したゲーム会社ががノウハウや様々なコネクションを与え支援することでその問題はある程度の解決が可能ですが、そのためにはゲーム会社同士が物理的に近い位置にあることが優位であるのは自明の理。
これによって「成功するゲームが継続的に生み出される基盤」を作ってしまおうということです。

オウル市での次のゲームの成功は、必ずしもフィンガーソフト社のものでなくても良い、とPasi Jokinen氏は言います。

オウル市の「Game Campus」は、成功した企業とスタートアップとが近い位置で協力し合い、さらに教育機関である「Oulu Game Lab」のキャンパスを持つ、理想的な小ささの、ゲーム産業の基盤として機能しているように感じられました。

一つの都市のゲーム産業がこのような仕組みを持つことは非常に驚きで、ゲーム関連業界にいる筆者にはとても羨ましく思えます。

オウル市の「Game Campus」は現在(2016年12月現在)入居希望の企業を募集中とのことです。
日本のゲーム関連企業も応募可能ですので、興味のあるゲーム関連企業の方は是非入居をご検討されてはいかがでしょうか。
冬は少し寒いですが、オーロラの見える町でのゲーム開発も素敵だと思いますよ。

フィンランド・オウル市のゲーム会社、Fingersoft社を訪問、新作ゲームや地域貢献について聞いてきました※オウル駅近くの広場。中央に北欧らしいおしゃれな喫茶店があります。

Game Campus公式サイト(フィンランド語)
http://pelikampus.fi/

Game Campusへの入居について詳細を知りたい方は、BusinessOuluのTakako Uchida(内田貴子)氏までご連絡ください。
takako.uchida@businessoulu.com

Pasi Jokinen氏の好きな日本のゲーム

Pasi Jokinen氏に日本のゲームで何が好きかを聞いてみたところ、12歳のころにSuper Nintendoでプレイした「ゼルダの伝説」が思い出に残っているとのことでした。

そして今5歳の息子のエアリス君がWiiUでゼルダをプレイしていて、毎日親子でゼルダの話をするそうです。
エアリスが覚えた言葉は、1つめが自分の名前で、2つ目が「ゼルダ」だったそう。

遠く北国フィンランドでもこうして日本のゲームが愛されているのを聞くととても嬉しくなります。

日本のゲーム業界も彼らに負けないように頑張っていきたいですね。

ゼルダの伝説が好きなPasi Jokinen氏に忙しい中色々とお話を伺うことができ、こうして日本のゲームファンの皆様にお届けできることを大変うれしく思います。
彼らの渾身の力作、ヒルクライムレース2も是非プレイしてみてくださいね!

ヒルクライムレース2のDLはこちらから

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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