Twitchって何?って人のために中の人に話を聞いてきた!ゲーム実況動画の品質に特化したTwitchのマインド

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 著者:岡安 学 

いまやユーチューバーやプロゲーマーでなくてもゲーム動画の配信を行う時代。
「ゲーム動画を配信したい!」と思ったことのある方は多いのではないだろうか。ただ動画配信するにあたって最初の壁となるのが、どの動画配信サービスを使えば良いのかという点だ。

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動画配信サービスも今や多くの種類があり、初心者にとっては何がどう違うのかというのが少し分かりにくくもあるだろう。

今回は数ある動画配信サービスから、ゲーム動画のストリーミング配信に力を入れている「Twitch」をご紹介したい。日本で急速に認知度を高めるTwitchの成長の秘密はどの辺りにあるのか。Twitch Japanの中村鮎葉氏に話を聞いてきた。

Twitchって何?って人のために中の人に話を聞いてきた!ゲーム実況動画の品質に特化したTwitchのマインド

Twitchはゲームのストリーミング配信専門 サービスとして始まった

中村鮎葉氏の話を紹介する前に、まずはTwitchの歴史をご紹介しよう。
Twitchは2011年にアメリカで運営が開始されたゲームに特化したライブストリーミング配信(生放送)のプラットフォーム。この「ゲーム動画のライブストリーミング配信サービスとして始まった」というのがTwitchの大きな特徴で、今でもこれは引き継がれており、Twitch内の動画の大半がゲームのストリーミング配信だ。

Twitchって何?って人のために中の人に話を聞いてきた!ゲーム実況動画の品質に特化したTwitchのマインド

マイク・アラゴンの鶴の一声でPlayStation4と連携!日本でのTwitchサービス開始はここから

ゲームのストリーミング配信に特化することで世界的な人気を獲得してきたTwitchだが、日本でその名前を聞くようになったのは2013年にPlayStation4(以下PS4)が発売されてからだ。

中村鮎葉(以下鮎葉)「PS4との連携関しては、有名な話があるんですよ。まだPS3時代だったんですが、アメリカにマイク・アラゴンという人がいまして、彼はPS4を開発するにあたって、プレイ動画やスクリーンショットをシェアできる機能を付けるべきだと提案した人物ですが、彼はそのシェア機能の中に、Twitchへの動画のシェア機能も標準サービスとして入れることを推したのです。PS4の機能は世界標準ですので、日本版のPS4にもTwitchへのシェア機能が標準装備されたというわけです」

――つまりマイク・アラゴンさんの独断とごり押しだったわけですね。現在のTwitchとゲーム配信の関係性を考えると大正解だったわけですが。

鮎葉「PS4も2013年に発売しているので、日本ではこの年からTwitchが認知されたのではないでしょうか。当時は誰もが動画配信をしていたわけではないので、まだ認知度は低く、Twitchが日本で知られるようになったのは2015年からですね。2015年から本格的に日本での活動を開始し、日本向けのパートナーを日本人を中心に選ぶようになりました」

鮎葉「パートナーというのは動画配信をしてくれるユーザーさんの中からTwitchを盛り上げてくれそうな方々を指します。パートナーの選定はTwitch側で動画を確認して行っています」

パートナーは「サブスクライブ」「ビッツ」「広告」で収入が得られる

――パートナーになると何か利点があるのでしょうか。

鮎葉「パートナーになると、サブスクライブ(スポンサー登録)とビッツ(単体支援)、それと広告収入による権利を得ることができます」

鮎葉「サブスクライブは、動画を視聴するユーザーが、動画を配信するパートナーを定期的に応援するシステムです。サブスクライブを使用することで、ユーザーは毎月一定額の支援金を動画配信者に対して払うことになります」

鮎葉「Twitchの場合いわゆる有料チャンネルとは違い、無料でも視聴することができるんですが、自分の好きなパートナーにストリーミング配信を長く続けてもらえるように資金を援助することができます。その援助機能の1つがサブスクライブです。援助される側は誰に援助されているかが分かりますので、コミュニケーションが生まれるきっかけにもなります」

Twitchって何?って人のために中の人に話を聞いてきた!ゲーム実況動画の品質に特化したTwitchのマインド

――有料チャンネルだと払わされた感がありますが、Twitchのでは自由に応援できるということですね。ではビッツはどういうシステムですか?

鮎葉「ビッツは月額ではなく単体毎の支援です。動画配信者に対して1回限りで、メッセージと共にプリペイドで購入したポイントを渡すことが出来ますことができるシステムです。良いプレイが出たときや、チャットでリクエストしたプレイをやってくれたお礼などで使います。パートナーがビッツの募集目標を設定し、その金額に達したら何かをしますと確約するクラウドファウンディング的な使い方をする人もいます」

――これもネット文化に即していますね。イイねがたくさんついたらこれをしますとか、そういった類いのものに近いですね。

鮎葉「パートナーは広告から収入を得ることもできます。バナーと動画広告があり、動画広告は自分のタイミングで手動で入れられるので、動画広告が嫌いな人は入れなくても良いですし、パートナーが『では、CMです』のように、タイミングを宣言し広告を入れることもできます」

――他にもTwitchの利点はありますか?

鮎葉「無料でフルHD、60fpsの高解像度で配信できることですね。圧縮技術を極限まで駆使して配信していますので、Twitchの動画はきれいで見やすいと思います。
その他にも固定URLで配信できるという点もあります。動画によってURLが変わらないので、SNSのIDのようにTwitchのIDも名刺などに載せやすいですね」

鮎葉「ツールがたくさん揃っているので動画配信を始めやすいのも特長ですよ」

Twitchを楽しむにはPCが必要 ただしそこそこのスペックでOK!

――動画配信を始めやすいという点ですが、初心者でも簡単にストリーミング配信ができるのでしょうか。

鮎葉「パソコンかPS4が必要ですが、それほど苦労せずに動画配信を開始できると思います。パソコンの場合はスクリーンキャプチャ機能を使うか、HDMIキャプチャーを使うかのどちらかになります。ソフトは公式からリンクを貼っているものではXSplitOBS Studioなどがあります」

鮎葉「PCがなくてもPS4があればストリーミング配信ができます。PS4のShare機能を使っての配信ですので操作は簡単です。ただパソコンを使った方が配信画面のカスタマイズなどができるので、パソコンを使っての配信の方がおすすめです」

Twitchの動画配信はハイエンドPCを使う必要はなく、グラフィックボード無しのパソコンでも大丈夫。
そこそこのCPU性能があれば動画配信は可能で、インテルであればCorei5のクアッドコアであれば最低限はOKとのこと。

――日本で着々とファンを獲得しつつあるTwitchですが、今後の活動についてはなにか予定はありますか?

鮎葉「良質な動画配信パートナーどんどん増やしていきたいと思っています。パートナーの選定にあたっては動画の内容をしっかりと精査しているので、面白い動画を配信してくれるるパートナーは徐々に増えてきています。ベテランでなければパートナーになれないということはありませんので、ゲームが好きな方は是非気軽に動画配信を始めてもらえればと思います」

鮎葉「それ以外には、リアルスペースでもイベントなどをやれたら良いなと思っています。東京ゲームショウでは実際にパートナーさんが交流できる場などを用意しましたが、あのような感じでリアルで交流できる場も作って行きたいですね」

ニコニコ動画、YouTubeと、日本はゲーム動画に対して非常に関心の高い国。手軽に高品質なゲーム動画のストリーミング配信ができるTwitchが日本で受け入れられているのは自然な流れといえるだろう。インフラ面での優秀さに加えて、面白い動画配信者を応援する「パートナー」「サブスクライブ」「ビッツ」という仕組みが、日本でのTwitch成長の秘密の1つのように感じられる。
Twitchが日本のゲーム動画をどのように変えていくのか、その今後に注目していきたい。

著者:岡安学(オカヤスマナブ)
デジタルライター/Allaboutデジカメガイド
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。
Twtter:@digiyas