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瀬戸内海燧灘(ひうちなだ)において海底活断層の分布を明らかに

目次

    <<発信元のニュースをそのまま掲載しています>>

    活断層調査の「空白域」における反射法音波探査を実施

    ポイント

    ・ 瀬戸内海燧灘(ひうちなだ)全域を対象とした詳細な海底活断層調査を初めて実施

    ・ 国の活断層評価などで見落とされていた海底活断層を確認し、地震災害リスクを明確化

    ・ 地震被害想定・防災計画などに活用され、沿岸域の地震防災・減災に貢献すると期待

     

     

    概 要

    国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)活断層・火山研究部門 大上 隆史 研究グループ長、宮下 由香里 副研究部門長および地質情報研究部門 佐藤 智之 主任研究員は、瀬戸内海燧灘(ひうちなだ)において海底活断層の詳細な分布を明らかにしました。

     

    日本では、海底活断層で起こる大地震に伴って、沿岸域を中心に甚大な地震災害が繰り返し発生してきました。こうした地震災害に備えるため、産総研では海底活断層に関する地質情報の取得・整備を継続的に実施しています。本研究では、燧灘の全域を対象とした詳細な海底活断層調査を初めて実施し、国の活断層評価等が行われていない海底活断層の存在を確認するとともに、その正確な位置を明らかにしました。「調査の空白域」とされてきた海域における活断層の存在が確認されたことにより、これまで見落とされていた地震災害リスクが明確になりました。

     

    今回、海底活断層の正確な分布を明らかにしたことにより、大地震が発生する場所や地震の規模を推定できるようになりました。今後は、過去の大地震の履歴を明らかにする調査を行い、将来の地震発生確率の評価につなげていきます。本研究で取得した海底活断層に関する情報は、地震被害想定や地域防災計画の策定などを通じて、沿岸域における地震防災・減災に貢献します。

     

    なお、この研究の詳細は、2026年5月29日に「JpGU-AGU Joint Meeting 2026」で発表されます。

     

    下線部は【用語解説】参照

     

    研究の社会的背景

    2024年能登半島地震は海底活断層を震源とする大地震で、沿岸域を中心に甚大な被害をもたらしました。このような海底活断層を震源とする大地震による地震災害は、日本の沿岸域で繰り返し発生してきました。こうした地震災害に備えるため、国(政府の地震調査研究推進本部)は海底活断層の調査を推進し、大地震の評価を進めてきました。しかし、国が2016年に公表した「中国地域の活断層の長期評価」[2]および2017年に公表した「四国地域の活断層の長期評価」[3]において、瀬戸内海燧灘およびその周辺の海域に海底活断層は示されていません。その背景には、燧灘において海域全体を対象とした網羅的な海底活断層調査がこれまで十分に実施されてこなかったことがあります。2000年代前半には燧灘に海底活断層が存在する可能性が報告されていますが、調査範囲が限定的であり、海域全体の海底活断層の有無や活動性の把握には至っていません。このため、燧灘はいわゆる「調査の空白域」となっていました。地震災害リスクを正確に把握するためには、海底活断層の分布など、地質情報・活断層情報を速やかに整備することが極めて重要です。

     

    研究の経緯

    産総研では、2007年度から重点課題として「沿岸地域の地質・活断層調査」[4]に取り組むなど、日本全国の沿岸海域における活断層情報を継続的に整備してきました。瀬戸内地域は十分な活断層調査が実施されていない海域であり、詳細が不明な海底活断層が残されていることから、2022年度から「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」[5]の一環として、瀬戸内海の周防灘および伊予灘における活断層情報の整備に取り組みました。さらに、2025年度からは「沿岸域の地震防災・減災に資する高精度地質情報の整備事業」[6]を開始し、「調査の空白域」となっていた瀬戸内海燧灘の全域を対象とした詳細な活断層調査を初めて実施しました。

     

    研究の内容

    燧灘における海底活断層の分布を確認するため、2025年11月から12月にかけて、海底面下の地質構造を検討するための反射法音波探査を燧灘の全域において実施しました(図1)。その結果、燧灘の西部および東部に海底活断層が存在することを確認しました(図2、3)。これらの断層は25 km程度またはそれ以上の長さを有しており、地震の際には断層の北西側が相対的に高まるような「ずれ」が繰り返し生じてきたことが明らかになりました。

     

     

     

     

    今後の予定

    今後は、燧灘に分布する海底活断層の過去の活動について、具体的な活動時期、活動頻度を明らかにするための掘削調査を進める予定です。これらの海底活断層で起こりうる将来の大地震の発生確率などに関する情報を速やかに整備することにより、沿岸地域の地震防災・減災へのさらなる貢献を目指します。

     

    学会情報

    学会名:JpGU-AGU Joint Meeting 2026

    発表タイトル:High-resolution seismic reflection survey at the Hiuchi-nada and adjacent seas, central part of the Seto Inland Sea, western Japan

    著者:Takashi OGAMI, Tomoyuki SATO, Yukari MIYASHITA, Ikuhisa ADACHI, Masashi MATSUDA,

    Tsubasa SEKIGUCHI, Masayoshi SATO, Moeko TAKAHATA, Takashi SATO

     

    参考情報

    [1] 産業技術総合研究所(2025) 活断層データベース 2025年9月30日版 https://gbank.gsj.jp/activefault/

    [2] 地震調査研究推進本部地震調査委員会.「中国地域の活断層の長期評価(第一版)」2016, 70p.

    [3] 地震調査研究推進本部地震調査委員会.「四国地域の活断層の長期評価(第一版)」2017, 57p.

    [4] 産総研地質調査総合センター 沿岸地域の地質・活断層調査

    https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/index.html

    [5] 産総研地質調査総合センター 防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業

    https://www.gsj.jp/researches/project/resilience/index.html

    [6] 産総研地質調査総合センター 沿岸域の地震防災・減災に資する高精度地質情報の整備事業

    https://www.gsj.jp/researches/project/setouchi/index.html

     

    用語解説

    中国地域の活断層の長期評価・四国地域の活断層の長期評価

    政府の地震調査研究推進本部の下に設置されている地震調査委員会が、中国地域・四国地域に分布する活断層で発生する地震を総合的に評価したもの。陸域及び沿岸海域に分布する活断層で生じるM6.8以上の地震を主対象とし、地震の規模、発生確率などを予測している。

     

    反射法音波探査

    海水面の近くで人工的に音波パルスを発振し、海底面および海底面下の地層境界で反射して再び海水面へ戻ってきた音波を受振することにより、海底の地形および海底面下の地質構造を調べる手法。

     

     

    プレスリリースURL

    https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20260529/pr20260529.html

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