機械が機械を生み続け、そして破壊し合う極彩色のディストピア・アクションゲーム「ヴァルカン 3055」
著者:篭谷千穂
「ヴァルカン 3055」は、機械が機械を生み出し続け、そしてお互い破壊し合う不毛な惑星を舞台とした横スクロールアクションゲームです。
ところがそんな殺伐とした設定とは裏腹に、その世界は極彩色で彩られ、まるで色鉛筆かクレヨンで描いたかのような手描きの風合いが強く印象に残ります。
もうエピローグから最高! 具体的な世界設定の説明やゲームの内容を示す文言はなく、あくまでも世界観をふんわり感じられる程度ですが、情報量が少ない分、プレイヤー自身が想像して深読みできる楽しさがあります。
ゲームはミッションクリア型で、あらかじめ用意されたミッションの中から好きなものを選択し、プレイするごとにクリアを目指し、スコアをランキングで競うというもの。操作できるキャラクターは「ケルビム」「アナスタシア」「インパネス」の3種類ですが、最初のうちは「ケルビム」しか使えません。プレイを重ねていくごとに他のキャラクターも徐々に開放されていきます。
こちらが最初に選択できるミッション。
特定のオブジェクトを指定の数だけ破壊したり、敵を倒したり、アイテムを集めたりなど。最初は比較的簡単なミッションばかり並んでいるので、これのクリアを目指すことがチュートリアルにもなっています。
それにしても出撃時の演出がクールでたまりません。プレイアブルキャラ「ケルビム」の目(ゴーグル)のレンズに映る戦場の風景。ほんの数秒で動きも少ないのに、”絵”の力でグッと世界に引き込まれます。
操作方法はこんな感じ。
主に使用するのは左右への移動アイコンと攻撃系アイコン、ジャンプアイコンの3種類。ただ攻撃アイコンを連打し過ぎるとエネルギーが切れてしばらく使えなくなってしまうので、連打のし過ぎには注意しましょう。
こちらがフィールドですが、何気に広く、画面右上にあるマップを定期的に見ないと自分の現在地を見失ってしまいます。
上に行きたい時はジャンプアイコンを連打して二段ジャンプして足場になりそうなところに登ります。
前方に敵出現!まずは攻撃ボタン連打でKILL!
フィールド上にあるオブジェクト「スポンソン」を破壊すると、中からパワーアップ系の様々なアイテムが出現します。余裕があるときは積極的に破壊していきましょう。
攻撃系アイコン連打のエネルギーを節約したい時は、敵を上から踏みつけてダメージを与えます。リズミカルにやると、まるでトランポリンの上で跳ねているかのように連続で決まり、全くエネルギーを消費することなく敵を倒すことが可能。なんとなく「スーパーマリオ」シリーズの亀の甲羅を何度も踏んでいる時の感覚に似ています。
あと、上から敵を上から踏みつけるだけでなく、下から頭突きを食らわすことでもダメージを与えられます。自分の周囲に複数の敵が集まってきた時は、上手く踏みつけと頭突きを同時に行うことで上下の敵にまとめて攻撃することもでき、アクションゲームならではのちょっとした爽快感も味わえます。
プレイを続けていると時折ルーレットのようなものが出現し、それを回すことで画面内にいろいろな効果が表れます。それに従い変化する世界がまた美しい!機械が永遠に機械を生み出し、その機械がお互いを破壊し合うディストピアだというのに、その世界は色彩で溢れている…。本作はアートワークが秀逸な「雰囲気ゲー」としても見応えがあります。
敵に攻撃を食らって遂にゲームオーバー…。体力が減ると画面の周囲が赤く変色してそれを知らせてくれます。
ゲームを進めてミッションをクリアするごとに報酬として「ストーリーカード」が入手でき、それを集めることで徐々にゲームの世界観が明らかになっていきます。
横スクロールのアクションゲームは一歩間違えると単調になってしまいますが、本作の場合だと、この個性的かつ素晴らしいアートワークと謎に満ちた世界観が気になり何度もプレイしてしまいます。頑張れば最初の30分程度のプレイでいくつかの「ストーリーカード」が入手でき、初見でもテンポよくゲームを進められる良心的なバランスなので、アクションゲーム初心者の方にもオススメです。