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長野県千曲市の矢嶋 康さんが夭折した息子のお墓で大賞受賞
2026年7月8日
全国優良石材店の会
サイクリング中に交通事故で亡くなった高校2年生の息子のために、亡くなる数日前に撮った息子の写真を墓碑に刻んだ長野県千曲市の矢嶋 康さんのお墓が、「第32回全優石想いを込めたお墓づくりコンテスト」の「大賞」を受賞しました。仰向け姿勢で空を地面に見立てたように愛用自転車をこぐ天地逆のような写真を透かし彫りしました。サイクリングファンの中では、空を走っている感覚になれるといって、このポーズの写真が流行っているそうです。亡き息子も茶目っ気にあふれてこの写真を撮ったと思われます。
山の斜面を開いた景色の良い傾斜地に立つお墓は、家名の代わりに自転車専用記録装置に残っていた「1133km」を書道が得意な弟さんが記した。「今も青空を駆けているね。走り疲れたらいつでも帰っておいで!お父さんとお母さんはいつまでも待っています。」と亡き息子に受賞者の矢嶋 康さんは慈愛に満ちた呼び掛けを行います。
「全優石想いを込めたお墓づくりコンテスト」は、北海道から沖縄まで、全国の優良石材店約200社によって構成する墓石業者の全国組織「全優石」(正式名称:一般社団法人 全国優良石材店の会、会長:吉田 岳、事務局:東京都品川区上大崎2-7-15)が、亡くなった方への哀悼、追憶、愛情などのご家族の想いを込めた素敵なお墓づくりの存在を、より多くの方に知って戴くことを目的として実施しているもので、今年で32回目を数えます。
お墓の形状のユニークさだけではなく、ご家族がどれだけお墓に想いを込めているのかが審査対象となる為、お墓の写真にそのお墓にまつまわるエピソードを添えて応募いただきます。
応募資格はお墓の所有者かその家族、または家族の了解を得た石材店という条件付きです。今年5月末の締切までに全国の25名から応募が寄せられました。審査の上、大賞1名、特別賞2名、入賞8名が決定しました。
特別賞には2名が選ばれました。
三重県伊賀市の森 正美さんは、職人気質の父親の墓で入賞しました。古風な父親だと思っていたが、お墓を建てる段階で「斬新なデザインのお墓を考えてくれ」との思いもよらない言葉に驚く。そこで石材店の提案で寺院墓地にマッチする洋型お墓を検討しました。庵治石の自然な割肌を生かし、書家の書いた森家の文字を縦に刻む。出来上がりは想像以上の迫力と存在感のあるお墓になり、父親も目を潤ませていたという。お墓づくりを通して、父の中には実は斬新でハイカラな感性が息づいていたことを初めて知ったと振り返ります。
もう一人の特別賞は北海道深川市の髙橋 修司さん。
車、特にダンプカーが幼いころから好きだった父親は、ボロボロの中古ダンプを手に入れ。個人運搬業を始めた。人が休んでいる時も、働いて働いて働きぬいて事業を拡大、ダンプの他にタイヤショベルなどを導入、ヘリコプターの操縦免許まで取得し精力的に活動しました。 髙橋 さんも父親と二人三脚で事業を営んできました。 髙橋 さんの強い想いから、お墓には石造りのダンプ、タイヤショベル、ヘリコプターが並べられた楽しいお墓になっています。あの世でも、父には想い出の品々でどっぷり浸ってもらいたいです、と 髙橋 さん。父親を慕う想いに溢れています。
入賞は8名です。
岐阜県可児市の古山 隆行さんのお墓は、縁のある人が家に拘らず入れるお墓で入賞しました。一人娘と結婚した息子が結婚相手の実家のお墓も引き継げるように家名入りお墓を、家名無しのお墓に改葬。だからこのお墓は、孫のためのお墓だと考えているという。ここに来ればパパとママ、そしてパパとママ両方のご先祖様がいる。「50年後にも、孫に褒めてもらいたいお墓」だと古山さんは語ります。
群馬県甘楽郡の津久井 孝二さんは、若くして亡くなった亡妻のための手作りのお墓で入賞しました。個性を出して妻らしいお墓を建てようと家族で話し合い、自分達でデザイン・設計・施工を行ったという。石碑は石材店に依頼したが、その他は津久井さんが暇を見ながら2か月かけて完成させたという。ガーデニングが好きだった亡妻に、いつでも楽しめるよう自宅の庭の様な植栽スペースを作り、好きだったハーブや多肉植物を植えています。また香炉は自宅にある石窯をイメージして制作、お線香をあげた時に出てくる煙が、好きだった石窯オーブン料理をしている様を思わせる様に工夫したと語ります。
岡山県岡山市の下山 宏昭さんは、岡山でしか採石できない萬成石を敷き詰め、真中の主体部、東南側のモニュメントも萬成石で製作しました。自然石風のモニュメントには「歴史は現在の序章である」と刻み、墓全体を「対話の石苑」と名付けました。この石苑を訪れた人々が、それぞれの生涯の尊厳を認め合い、心を解き放して過去、未来と行き来する場になればと思っています、と下山さん。
群馬県安中市の宮沢 富久さんは、別々になった家族が、再び一つになれる場所づくりを目指したお墓づくりで入賞しました。両親のお墓は別にあり、兄も亡くなっています。新たなお墓を検討する中で、「このまま家ごと分かれてしまっていいのだろうか」という想いが生まれる。そこで別々になった家族が、みんなが帰ってくる場所としてのお墓を建立した。書道をしていた母の文字、そして父の落款を墓標に刻んだそうです。
栃木県栃木市の成田 祥子さんは、夫婦で事業を営んできました。ゴルフ愛好家だった亡夫のために、ゴルフがテーマのお墓を建立し入賞しました。ゴルフコースのグリーンを表現した丸みを帯びた石塔、塔婆立てにキャディーバック、花立をゴルフボール形に仕上げた。成田家に関わる全ての人の輪に感謝し故人の冥福を祈りたい、と語ります。
山梨県北杜市の保坂 岳彦さんは、大工として一生を過ごした亡父のために建てお墓で入賞しました。「お父さんなら、ちょっと変わったのにしろって言うと思う」という想いから、大工らしく木工技術の木組みを思わせるデザインのお墓を建立しました。
群馬県利根郡の竹田さんは、東京芸大に勤めていた亡夫が生前自らデザインしたお墓を石材店とともにアレンジし、「赤城山に向かって旅立つ」イメ-ジの墓石デザインを建立しました。墓石の両側に長い翼のような造形を施し、今まさに飛び立とうとしている姿は勇壮です。「世界で一つだけのオンリーワンの素敵なお墓です」と竹田さんは胸を張ります。
愛媛県伊予郡の大島 隆史さんは、一級建築士である自らがデザインしたお墓で入賞しました。墓石とは別に墓域内に設置される石板の墓誌。故人の戒名(法名)、俗名、没年月日、享年などの情報を刻むものですが、従来のお墓では脇に置かれ目立たない存在ですが、大島さんは先人たちの記録である墓誌を目立つ位置に配置する設計としました。お墓は「一族の弔いの場」であるとの主張によるものです。
人それぞれの想いを込めたお墓づくりエピソードに触れると、お墓づくりを通して家族の絆を確認し、深めている姿が伝わります。墓じまいなどが話題になる昨今、一方ではこうしたこだわりのお墓づくりが行われていることも忘れてはならないと思います。















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