スマホゲームの韓国展開のポイントは!?人気デベロッパー「Cybergate Technology Limited」から実例を学ぶ
著者:堆朱
いまやお馴染みとなったスマートフォンアプリゲーム。最近ではテレビCMや交通広告などを通じてスマートフォン以外でも目にする機会が増え、アプリゲームはコンテンツとしての地位を確固たるものにしたと言えるでしょう。
最近では、「荒野行動」、「アズールレーン」、「フォートナイト」など海外ディベロッパーの提供するアプリが日本で人気を博しています。一方で日本のアプリゲームも海外へ進出する動きが加速しています。日本発のゲームアプリが、韓国や台湾、中国、欧米でストアでランキング上位を獲得するケースも増えて来ました。アプリゲームは海外展開が標準になりつつあります。
しかし、海外展開を検討はしているものの、実際にどのように進めていけば良いのか、国外のストアへ公開した場合の収益はどれくらいのものなのか、といった具体的なイメージを持ちづらい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、香港のアプリゲームデベロッパー「Cybergate Technology Limited」社が韓国へ展開したアプリゲームを例に、海外展開での取り組みや、広告収益のリアルな数字をご紹介します。
韓国のスマーホフォン市場
まずはじめに、韓国とはどういった国なのかについて簡単にご紹介いたします。
韓国はGalaxyを開発しているSamsungの本社があることで有名で、スマホ保有率は90%を超えています。
eスポーツをはじめとするデジタルオンラインゲームの開発国としても非常に有名で、昨年末はスマホアプリ版にリメイクされた「リネージュ2」のヒットが記憶に新しいでしょう。
韓国のスマートフォンアプリ市場においては、前述の通りMMORPGなどのコアゲームをプレイするユーザーが多い一方、女性を中心にパズルゲームのようなカジュアルゲームを楽しむライトユーザーも多く、結果、全体としてアプリゲームのユーザー数がが多いことが韓国市場の1つの特徴です。
日本との物理的な距離の近さや、サブカル文化の浸透などの観点からみても、日本のアプリゲームデベロッパーにとって非常に魅力的な市場であると言えます。
韓国でのアプリゲームプロモーションのポイント
韓国でのプロモーションにおいては、グローバルで展開されているネットワークの他に、多くの現地ネットワークの存在を意識する必要があります。
韓国での広告運用は主にCPI課金モデルで、かつインフルエンサーを活用したものが多く、その拡散力はストアランキングにも大きく影響します。
アプリゲームを翻訳をしてストアに公開するだけでストアランキング上位にランクインするというケースも稀にありますが、やはり主体的にアプリの情報を韓国ユーザーに発信する必要があります。
更に韓国現地のネットワーク会社の情報収集も重要です。
Cybergate Technology Limitedについて
Cybergate Technology Limited (以下、Cybergate)は香港を拠点に活動しており、日本や中国へのアプリゲームのリリースを活発に行っています。下の画像はCybergateがリリースしてきたアプリの一例ですが、見たことのあるアイコンもあるのではないでしょうか。
韓国へ展開したアプリ
『秘密の関係はじめました メッセージ風恋愛ゲーム』
韓国展開の取り組み内容
・iOSアプリでの実施
・アプリ内テキストの翻訳とストアページの翻訳および最適化
・韓国現地のローカルネットワークを通じた集客プロモーションの実施
・実施期間:2017年12月末日~
結果:
・AppStore総合ランキング10位
・ゲームランキング2位
・シミュレーションカテゴリ1位
・ 実施後1ヶ月の動画広告のeCPM:$8(韓国平均$5~$6 ※viidle調べ)
Cybergate Technology Limited社の韓国展開インタビュー
それではCybergate Technology Limited社の韓国展開についてのインタビューをお届けします。
取材者:viidle堆朱(以下、堆朱)
回答者:Cybergate Technology Limited社(以下、C社)
アプリゲームの韓国展開を行った理由
堆朱:Cybergateさんは中国などへの展開を既に行っていたと伺っております。今回は、アプリゲーム「秘密の関係」を韓国展開しましたが、韓国展開を行った理由をお聞かせいただけますでしょうか。
C社:まず弊社の事情をお伝えしますと、香港を拠点として活動しているため中国展開も積極的に行っていました。
中国は日本と比べるとCPMは低いと予想していたのですが、いざ蓋を開けてみると意外と同水準CPMという結果に着地しました。
この経験から、中国を含め海外への展開は非常にチャンスがあるぞ、という手ごたえは感じていました。
一方で、海外展開ならどこでもいいかというとそうでもなく、例えば東南アジアはCPMは大きく下がるだろうと予想できます。東南アジアは言語的な問題もあり、テストローンチしようにも結果がどうだったのかが掴みにくいという点も気がかりでした。このように国ごとに特徴があるため、ノウハウも必要でリソースそれなりにかかると考えています。
その点韓国に関しては日本語を読めるユーザーが多く、なにより日本語のゲームアプリでもレビューを投稿するユーザーが一定数います。今回の「秘密の関係」に関しても、そういった背景を踏まえて、一度やってみたいなというところから始まっています。
堆朱:「秘密の関係はじめました。」では、動画リワード広告、ネイティブ広告、インタースティシャル広告を軸に、広告マネタイズモデルにて展開されていたかと思います。viidleはその中で動画広告を導入していただきましたが、広告収益、ユーザー獲得、またリテンションなどにはどのような影響があったのでしょうか。
堆朱:まずは、ネイティブ広告とインタースティシャル広告の収益性について伺えればと思います。
韓国と日本と比較したときのネイティブ広告、インタースティシャル広告のeCPMはいかがでしたか?
C社:正直に申し上げると、あまり良くありませんでした。当初は日本の70%くらいのeCPMを想定していましたが、実際は良い日で70%くらいでした。
また、中国市場での実績と比較すると、良い日で60%、悪い日では40%程度になっていたので、韓国ではネイティブ広告、インタースティシャル広告の収益性が高いとは思わなかったですね。
堆朱:動画リワード広告においては、想定していたeCPM(韓国平均の$5~$6)と比較して高かったのではないかと思いますが、そちらはいかがでしたか。
C社:ランキングに上がっていた頃は、かなりいい数字でしたね。
US10ドル(日本円で1120円 ※2018/1/1のレート)平均ぐらい出ていました。時期的にも年末でいい時期だったこともあったのかもしれません。
ただランキングが落ちてくるにつれて単価も少し下落したなという感じですね。
堆朱:広告出稿によるプロモーションも実施していたと思います。プロモーション実施後の想定していたユーザーリテンション(継続率)や、ストアで上位にランクインした際のオーガニック流入に関して、想定値も含めて具体的に伺えますでしょうか。
C社:まずリテンションに関していうと、翌日のリテンション率が45%程度です。7日後になるとこれが結構下がって5%前後という結果。翌日のリテンションについては満足しています。7日後に関しては他の国よりは低いなという印象はあります。
ただこれはどちらかというとコンテンツの問題によるところじゃないかと分析しています。
オーガニックに関していえば、ちょっと物足りなかったですね。プロモーションでのダウンロード数は4.5万件ほどだったので、オーガニックは1.5万件くらい。期待値としてはプロモーション経由分くらいの流入は欲しかったところです。想定している数値には及ばなかったなという感覚です。
中国の場合は、ストアの上位にランクインした際にオーガニックユーザーが8万~10万人くらい入っていましたので、それと比較すると数値としては少し見劣りしてしまうかな、というのが正直なところです。
堆朱:そもそも韓国自体iOSのシェア自体が少ないということもありますね。注力するOSの選定というのは重要になってきそうですね。
C社:はい。それぞれの国でOSごとの特性を把握することが重要ですね。
堆朱:今回の韓国展開は、良かった点、改善を期待できる点など見えてきたことも多く、学びのある取り組みだったように思います。
実際に韓国展開第2弾についても検討されているとのことですが、どういうところに期待されているでしょうか。
C社:韓国展開はまだ改善の余地が十分にあると思っています。ただ第1弾の取り組みはコンテンツが合わなかったのかなというところを含めて検証してみたいと思いますね。
堆朱:先ほどのお話だと、アプリの収益のうち動画広告の割合が低かったというところが要改善点ではないかと見ています。そこが今回の取り組み全体にも影響を及ぼしているということでしょうか。
C社:そうですね。
堆朱:今後韓国に展開していく場合、動画広告を軸に収益を上げていくモデルで展開できるアプリを選別することになると思いますが、その場合、海外展開の中での韓国市場の優先度はどのようにイメージしていますか?
C社:韓国市場はもちろん検討対象の1つです。動画広告が売上の大半を占めるアプリであれば十分に検討の余地はあります。
ただ現状は、弊社のアプリには動画広告が売上の大部分を占めるものが少ないので優先度はちょっと下がってしまうかもしれないですね。その分まだ中国・台湾の方が弊社にとっては展開しやすいかなという気はします。
韓国語は韓国市場のみになってしまうというのもあります。
ただ今回はAndroidでの展開がほとんどできていませんので、iOSからAndroidに変えることで収益が上がるのであれば、また違う話になってくるかもしれないですね。
今回はCybergate社に実際の韓国展開についてのリアルなお話を伺いました。国をまたいだ文化や収益化の方法の違いなど、見えてくる部分も多くあったのではないでしょうか。
海外展開に対しては、皆様がそれぞれのイメージをお持ちだと思いますが、日本でヒットしたアプリは国外でも十分に受け入れられるポテンシャルを持っていますので、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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viidleとは
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