「ドラキュラ」「魂斗羅」に続け!そろそろ復活して欲しい名作「ゴエモン」シリーズ
著者:シェループ
Nintendo Switchのホーム画面で、このようにゲームを並べて常々思うことがある。
「早く帰って来てよ、ゴエモン……」と。
ゴエモンこと「がんばれゴエモン」は、1986年7月30日、コナミ(現:KONAMI)よりファミリーコンピュータ及び、MSX2用ゲームソフトとして発売された「がんばれゴエモン!からくり道中」を端に発したアクションゲームのシリーズだ。厳密には「Mr.五右衛門」と呼ばれる、アーケードゲームを礎に誕生した作品とされる。
同作は大容量のROMカセットを活かしたボリューム満点の内容、和風情緒溢れる世界観でヒットを飛ばし、以降、コナミの看板タイトルの一つとして続編、外伝が発売されるなりしてシリーズ展開が始まった。
最も人気に勢いが付いたのがスーパーファミコン時代だろう。
1990年の「がんばれゴエモン ~ゆき姫救出絵巻~」から、1995年の「がんばれゴエモンきらきら道中 ~僕がダンサーになった理由(わけ)~」まで、実に四作が発売された。(※さらにその翌年、外伝が一作発売されている)
また、そこに至るまでの間、「がんばれゴエモン外伝 ~きえた黄金キセル~」からキャラクターがコミカル調のデザインに一新。続くスーパーファミコン時代の四作も、それを踏襲した形になった。
コミカル調になったことで、ゲームの世界観も激変した。「からくり道中」と続く「がんばれゴエモン2」は、モチーフとする江戸時代を極力踏まえたものだったが、「きえた黄金キセル」よりロボットやら、公衆電話などの現代的な要素が数多く登場した。
スーパーファミコン時代からはさらにエスカレートした。特に1993年発売の「がんばれゴエモン2 ~奇天烈将軍マッギネス~」では、巨大からくりメカ「ゴエモン・いんぱくと」(※以降のシリーズはゴエモン・インパクト表記で統一)なるロボットが登場し、それを操作して敵のロボットと対決する、どこのガ○ダムだと言わんばかりの戦闘が繰り広げられるように。
続く「がんばれゴエモン3 獅子十六兵衛のからくり卍固め」ではタイムマシンが、四作目の「きらきら道中」に至っては宇宙進出まで果たしてしまい、もはや江戸時代どこ行ったな世界観になってしまった。
しかしそのハチャメチャさでシリーズの個性は一層深まった。ゲームとしても作品ごとにユニークな新要素が追加され、着実な進化を遂げていったほか、どれも二人一緒に遊べるモードを搭載していた。
がんばれゴエモンは、友達と一緒に遊べるアクションゲームの代名詞的存在でもあったのだ。
かく言う筆者が初めてゴエモンシリーズに触れたのもスーパーファミコン時代、「奇天烈将軍マッギネス」から。その無茶苦茶な世界観もさることながら、アクションゲームとしての完成度の高さ、自重しない爆発演出の数々に魅了され、夢中になって遊んだ。二人で一緒に遊べるモードも楽しく、当時、仲の良かった同級生と何度も本編の通しプレイを繰り広げたのは一つの思い出になっている。
ただ、続く「からくり卍固め」、「きらきら道中」のほか、前作「ゆき姫救出絵巻」はリアルタイムで買えず、後々に遊ぶ形だった。理由は当時、アクションゲーム界隈がものすごい熱気に包まれていたことにある。
任天堂のマリオを始め、ハドソン(現:KONAMI)のボンバーマン、カプコンのロックマン(&ロックマンX)、そしてコナミからも悪魔城ドラキュラ、魂斗羅(コントラ)と言った多くのアクションゲームが発売され続けていたのだ。特にマリオ、ロックマン、ボンバーマン、そして1994年、すい星のごとく現れたスーパードンキーコングは当時の筆者にしてみれば、絶対に見逃すわけにはいかないゲームの筆頭。
ゴエモンはそれらと共に新作を出し続けていた。特にロックマン……1993年に誕生した「ロックマンX」とは発売時期が重なることが多く、常にどちらを選ぶかで悩まされた。
そして、毎回のように私はロックマンを選んでしまっていた。
なのに何故、93年はマッギネスを選んだのか。ロックマンX」の初回出荷分回収騒動(※重大な不具合発見を端に発した出来事)に巻き込まれ、買えなかったからである。あの時の侘しさを埋める目的で私はマッギネスを選び、ゴエモンと出会う形になった。
そんな出来事があったので、筆者にとってロックマンXとゴエモンは切っても切り離せない存在となっている。同時にあの当時における、スーパーファミコンのアクションゲーム界隈を賑わせ、良くも悪くも悩ませてくれたコンビでもあった。
そして、これからもマリオ、ボンバーマン、ドンキーコングなどの作品達と一緒にアクションゲームを盛り上げて欲しい、発展させていって欲しいと思ってやまなかったのだ。
だが、その願いはPlayStation、セガサターンと言った次世代機の台頭と共に大きく乱された。特にロックマンは「ロックマン8 メタルヒーローズ」を皮切りに新作をそちら向けに出すようになってしまい、当時、後発のNINTENDO64を選び、先二つのゲーム機を買わなかった(&その後も買えなかった)筆者は理不尽な別離を強いられた。
そんな残酷な仕打ちを受けた私を救ってくれたのがゴエモンとボンバーマンだった。いずれもロックマンと同じくPlayStation、セガサターン向けにも新作を出していたが、NINTENDO64へのフォローも忘れず、新作を作ってくれたのだ。
特にゴエモンの新作で、フル3Dのアクションアドベンチャー「がんばれゴエモン ネオ桃山幕府の踊り」は、シリーズの新境地を切り開いた力作だった。リアルタイムでの購入は叶わずだったが、その続編「がんばれゴエモンでろでろ道中 オバケてんこ盛り」も2Dアクションゲームの可能性を切り開く野心的な作品で、シリーズの今後に期待が高まった。
丁度その頃、ゴエモンはテレビアニメ化も果たすなど勢いがあったのも大きく起因している。
しかし、今やゴエモンの存在自体が過去のものだ。最後に発売されたのは2005年にニンテンドーDS用ゲームソフトとして発売された「がんばれゴエモン東海道中 ~大江戸天狗り返しの巻~」。ここに至るまでの間、シリーズは世界観を大きく一新することに挑んだが不発に終わり、東海道中で前の路線に戻して巻き返しを図るも時すでに遅し……だったようだ。その後、新作が続かなかったことから察するに。
さらにシリーズをけん引した開発スタッフもコナミを去って「グッド・フィール」なる開発会社を設立したことが、Wii用ゲームソフトの「ワリオランドシェイク」の発売と共に明らかになった。以降も「毛糸のカービィ」、「ヨッシーウールワールド」と言った任天堂のアクションゲームを作り続けている。
どの作品もゴエモン時代とは路線が違うものの、「ワリオランドシェイク」にはゴエモンのような音楽が流れるステージがあったり、「ヨッシーウールワールド」に至っては「マーメイドヨッシー」なる変身アクションの操作感が「からくり卍固め」に登場した「人魚変化の術」そのまんまであったりなど、同じスタッフが作っていることを感じさせる部分が多く、当時、シリーズを遊んできた人間をニヤリとさせてくれる。
合わせて侘しさが爆発するのだ。もう、これを作っている人達はゴエモンから離れてしまったのだな……と。気が付けば2016年でゴエモンは生誕30周年を迎えた。同じマリオ、ロックマン、ボンバーマンも30周年を迎え、その内のロックマンとボンバーマンも新作が長らく出ない状況に陥っていたが、いずれも新作のほか、旧作のコレクションタイトルが発売されるなりして再始動を果たした。
マリオ、スーパードンキーコングに至ってはあの頃から変わらず(ドンキーコングは少しだけ変わって)健在である。そして、どのゲームもNintendo Switchに集結している。ここにゴエモンもいれば、90年代の強者(つわもの)達が勢ぞろいした構図が完成するというのに、肝心のゲームがないから作ることすらできず、もどかしくてならない。
既に家庭用ゲーム機においては10年以上も動きがないため、いきなり新作を出すのは難しいのは分かる。そもそも、ゴエモンを知らない世代が昨今では圧倒的だろう。そんな世代に向け、かつてアクションゲーム界隈を賑わせた、天下の義賊とその仲間達の活躍を伝えるコレクションタイトルのようなもの、出せないのだろうか。筆者だけならず、それを待ち望んでいる当時の世代は少なくないはずだ。
ドラキュラ、魂斗羅がそのようなタイトルを出しただけに。
一時期、バラバラになったシリーズ達が今、Nintendo Switchに揃いつつある。
だから……だからこそ言いたい!
がんばれ、ゴエモン!帰ってこいよ、ゴエモン!
もう一度、あの頃のアクションゲーム達と一緒に並んだ姿を見せてくれ!
あと、そろそろ「きらきら道中」の復刻を。
なぜ、他の三作はバーチャルコンソールで配信されたのに、同作だけは未だ実現せずなのか。セップクはスポーツじゃないからか!?(というより、そのネタがマズいのか。)