【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

 取材 
  公開日時 

 著者:KK 

スマートフォンでゲームが遊べるようになり、ゲームのあり方は徐々に変わってきたように感じます。

スポンサーリンク

手元でいつでも遊べるスマートフォンのアプリゲームは、その依存性が問題になることもありますが、一方で手元で手軽にプレイできる特性から実は教育的要素の高いゲームとの相性が良いものでもあります。

ゲームと教育を組み合わせた概念には既に「エドテック」「シリアスゲーム」などが存在し世界的な潮流になりつつありますが、日本では「ゲーム×教育」という文化はまだまだこれから、という感じがあり、日本でももっと浸透してくると良いな、というのが筆者の希望でもあります。

さて、この記事では、教育要素を持ちつつ楽しいゲームをリリースしている京都のアプリゲームデベロッパー、「waken」の渡部氏にお話を聞いてきました。

遊んで楽しく勉強にもなる「waken」のアプリゲームはどのように開発されているのでしょうか。

「waken」渡部氏 プロフィール

【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

渡部健(わたなべけん)
友人からは略して「わけん」と呼ばれている。

大学院を卒業後、任天堂に入社。任天堂に10年間プログラマーとして勤務した後、任天堂を退職して小さい頃からの憧れだったイギリスへ語学留学。

語学留学終了後、世界半周旅行をして2016年に帰国。
帰国後京都でゲームアプリの開発及びシェアハウス運営事業を運営中。
アプリ開発事業者名は「waken」。

「waken」のアプリ情報

https://wakeninc.blogspot.jp/

「ギークハウス京都東福寺」公式サイト

https://geektfkj.blogspot.jp/

独立の理由は「刺激が欲しかった」「たくさんゲームを作りたい』

「任天堂」という、ゲーム業界の一流企業に在籍しながら、独立して個人開発者としての再スタートを選択した渡部氏。

--何故独立してアプリゲーム開発をはじめたのでしょうか?

渡部『10年間同じところで働いていると、少し退屈してくるというか、もうちょっと刺激が欲しくなって

渡部『たくさんゲームを作って経験を積みたかったのですが、大企業にいると1本1本の開発期間が長くなりがちなので、それも理由でした

独立後は2~3ヵ月で1本リリースできるのでうれしい、と語る渡部氏。
10月には「ネコの絵描きさん」をリリースし、現在は12月中のリリースを目指して新作を開発中とか。

ちなみに元任天堂のクリエイターを一部では「抜け任(ぬけにん)」と呼ぶそうです。なんかカッコイイ!

少しでも社会にプラスになるゲームを

--今までリリースしたタイトルはパズルゲームが多いと思います。Divideなど教育要素が高いタイトルもありますが、この辺は何か意識されましたか?

渡部氏『初期は1人で、最近も少人数で開発していますので、大きなゲームは作れないというのがあります。
また、できるだけ短期間で開発したいと思っているので、そうするとパズルゲームがちょうど良かったんです

確かにパズルゲームはシンプルでも奥深いゲーム要素を組み込みやすく、小規模のゲーム開発事業者に向いているジャンルの1つといえます。

渡部氏『その他にも実は、ゲームって廃人を産むこともあって社会に対してマイナスなんじゃないか、と思っていた時期がありました。できれば少しでも社会にプラスになるゲームを作りたいと考えていました

筆者が好きなwakenのゲームの1つに「Divide」というパズルゲームがありますが、これについても

割り算や因数分解の概念を学べるので、現実生活へのプラスも期待できるんじゃないか

と渡部氏。
確かに「Divide」をやり込むと、因数分解や割り算、更には素数かどうかの見極めにやたら強くなります。中学生や高校生におススメです。

【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

--「waken」がリリースするタイトルは常に何か新しい要素がありますよね。開発にあたって重要視しているのはどんなことですか?

渡部『当たり前かもしれませんが既存ゲームの焼き直しは作らないことをポリシーとしています。世の中に新しい価値を作り出さないと意味がないと思っていますし、何より作っていてつまらないですから

たまに「うわっ同じようなゲーム既にでてるやん!」と気付くこともあるんだとか。

開発中の次回作は英単語を探すパズルアクションゲーム

【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

「waken」が開発中の次回作は、「もぐらたん - 英単語探索パズルアクション -」というパズルゲーム。
プレイヤーはステージ内にあるアルファベットが書かれたブロックを組み合わせて英単語を作っていきます。

【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

--次作の「もぐらたん - 英単語探索パズルアクション -」は非常に教育性の高いパズルゲームですね!これはどのようなきっかけで開発がスタートしたのでしょうか?

渡部『語学留学するぐらい英語学習には興味があったので、英語学習にプラスになるゲームを作りたいなぁと思っていました。既存の英語学習系のゲームに何か新しい要素を入れて面白いゲームが作れないかと考えてアイデアを考え始めました

しかし色々とアイデアは出したがいまひとつピンとくるものが無く、しばらく開発せずに放置していたとか。そんなわけで「英語学習にプラスになるゲーム」はお蔵入りになっていましたが、自身が開催したゲームジャムで作成した試作品が好評を得たことをきっかけに本開発が開始。

今までの英語学習ゲームにはない楽しい遊び要素を入れ込むのに苦労したそうですが、あるアプリゲームの床がせりあがってくるギミックなどに着想を得て、英単語を作りながら地下に潜っていくシステムを採用。
これに「キャラクターを入れる」というアイディアと、さらに「キャラクターが自動で動く」というアイディアが出てきたことが突破口になり、長期間のお蔵入りを経て基本的なゲームシステムが固まりました。

渡部『下に潜っていく生き物っていったらやっぱりモグラかなと思ってキャラはモグラになりました

【開発者インタビュー】抜け任(ぬけにん)渡部氏のアプリゲームはどのように開発されているのか?「少しでも社会にプラスになるゲームを作りたい」

「もぐらたん - 英単語探索パズルアクション -」は2017年12月下旬にリリース予定。

事前登録をしてリリースを待つ

「waken」の今後開発予定のゲームは?

--教育要素の高いパズルゲームを多くリリースしている「waken」ですが、今後はどんなゲームを開発予定ですか?

渡部『作ってみたいゲームがあり過ぎて困っています!今まではパズルが多かったので、アクション、RPG、音ゲーなんかも作ってみたいですね

渡部氏は自分用ゲームネタ帳にゲームのアイデアをメモしていて、今ではそのアイデアが150個ぐらいになっているそう。

渡部『その中から今の自分の実力で作ることができて、世の中にまだなさそうで、そこそこ売上が見込めそうなのを選んで作ろうと思っています
※しかし売り上げ予想はあまり当たらないんだとか。

渡部『京都でシェアハウスを運営していまして、ゲームを色々置いてたりゲーム関連のイベントをやったりしてるんで良かったら遊びに来て下さい!

SQOOLのYouTubeチャンネル

「waken」の人気アプリをダウンロードする

Divide

Solokus - ソロックス

ネコの絵描きさん

「waken」のアプリ情報

https://wakeninc.blogspot.jp/

「ギークハウス京都東福寺」公式サイト

https://geektfkj.blogspot.jp/