【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)

 イベント取材 
  公開日時 

著者:篭谷千穂

東京ゲームショウのインディーズゲームコーナーには、毎年日本国内だけでなく世界各地から独創的なタイトルが試遊出展されますが、近年特に出展数・クオリティ共に存在感を増しているのが台湾。

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これまでは日本以外だとアメリカと韓国のディベロッパーの出展が目立っていましたが、今では両国と並ぶ数の台湾発のタイトルが出展されており、しかも作風やジャンルに被りがなく、バラエティに富んだラインナップとなっています。その中から、今回特に気になったタイトルをいくつかピックアップしてご紹介いたします。

シビアな事件や問題を萌え絵で表現

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)2014年に設立されたErotes Studioは、ご覧のとおり日本人にも馴染みやすい所謂”萌え絵”を使用したアドベンチャーゲームの開発を得意とするスタジオ。そのグラフィックのレベルは非常に高く、ブースも場内で一際映えていました。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)しかし同社のタイトルの特徴は、そのキュートなグラフィックからは想像もつかないほどシビアで現実的な内容であること。

まずデビュー作である「雨港基隆」のストーリーの背景は、1947年に発生した中国国民党政権による本省人(日本植民地時代から日本国籍を有していた台湾人)への長期的な弾圧・虐殺事件「二・二八事件」。タイトルの「雨港基隆」は終戦後に中国国民党が上陸した台湾北部の港町で、ゲーム化に際し実際に現地の街並みを調べ、当時の街の風景を再現したとのこと。

同社では翌2015年に、1998年にインドネシア全土で中国系住民(華人)が組織的な暴行・虐殺に遭った華人排斥暴動をテーマとした「五月茉莉」をリリースし、2017年には1949年に台湾の彭湖湾で発生した軍事冤罪事件をテーマとした「彼女と彼と彼女の彭湖湾」をリリース。

立て続けにオリジナルタイトルをリリースする開発スピードもさることながら、萌え絵で台湾および中華圏の負の歴史に鋭く切り込むスタイルも凄い!この三作はいずれも台湾のゲームおよびコンテンツ業界で高く評価され、多くのアワードを受賞しました。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)そんな同社の最新作が、歴史的事件をテーマとしてきた従来作とはうって変わって動物の擬人化をモチーフとした「苗栗國的石虎少女」。

台北市の薬局で働く薬剤師の主人公が、故郷の苗栗県にある店舗へ転勤を命じられ、その帰省の道中で猫耳の女の子を拾い、以後一緒に暮らすというラブストーリーが描かれるのですが、その女の子の正体は絶滅危惧種のベンガルヤマネコ(中国語名:石虎)。

つまり、美少女との同棲生活を描いているように見せかけ、実は絶滅危惧種の希少性および保護の重要性を訴える内容となっているわけです。

なお、ストーリーを進めるにつれ台湾に生息する他の絶滅危惧種(の美少女)も登場し、より彼らの生態について理解を深められるようになっているとか。ある意味、同社のタイトルは萌え絵を使用したシリアスゲームと言えるでしょう。

現在同社では各タイトルのマルチプラットフォーム化と翻訳を進めているそうで、近いうちに同社のタイトルを日本でもプレイできる日が来るかもしれません。

Erotes Studio公式サイト

https://www.erotes-studio.com/

逆転の発想のパズルゲーム

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)Miso Studioは2017年より台北を拠点に活動するインディゲームディベロッパーで、これまでUnityを使用しスマートフォン向け対戦ゲーム「Battle Galaxy」、空飛ぶスチーム戦艦を操作して戦うPC向け対戦ゲーム「Battle Airship」、初のキャラクターものとなるスマートフォン向けアクションバトルゲーム「Funk Battle」と、設立以来毎年アクティブに新作をリリースしています。

同社の公式サイトにこれまでの作品のアートワークやデモが展示されていますが、その作風は全てバラバラでバラエティに富んでおり、同社の引き出しの多さが伺えます。

【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)【東京ゲームショウ2019】インディーズゲームコーナーで存在感を増す台湾のインディーゲームディベロッパーたちをレポート(その1)

今回の東京ゲームショウでは、同社としては初の対戦ものではないスマートフォン向けパズルゲーム「CUUUBE」のデモ版を試遊出展していました。

本作はご覧のとおりマインクラフト系のボクセルアート風のグラフィックが特徴で、一見落ちものパズルのように見えますが実はその逆。確かに上空から地上へとキューブが落下してくるのですが、それを地上からビームを発射して砕き、地上にキューブが衝突するのを防いでいきます。

下へ下へとキューブを落としながら消すのではなく、下から上へとビームを打ち上げることによって消していく挙動が斬新で、これまでのパズルとは逆の視点が必要となるタイトルでした。

現在はまだ開発段階でリリース時期も確定していないそうですが、2020年内のリリースを目標にしているとのこと。開発の進捗やタイトルの最新情報は同社の公式サイトだけでなくFacebookページでも公開されているので、興味のある方は是非チェックしてみて下さい。

Miso Studio公式サイト

https://misostudio.itch.io/

Miso StudioFacebookページ

https://www.facebook.com/MisoStudio/

著者:篭谷千穂
Techブログメディア「vsmedia」を個人運営していたり、英字新聞「The Japan Times」にガジェットとアプリのコラムを書いているライター。
他にも特殊メイクや特殊造型、アクセサリー製作、仮面作家としても活動しています。