ゲーム温故知新!第8回「ギャラガスペシャルエディション」
著者:東
テレビゲームが世間に認知されたきっかけは「スペースインベーダー」の登場にあります。
もちろんそれ以前にもテレビゲームは少ないながらもリリースはされていましたが、その空前の大ブームの火付け役であることは間違いありませんので、同作がすべての起源といっても差し支えはないかと思います。
さて、この「スペースインベーダー」の登場、そしてその大ヒットに便乗する形で類似の作品が数多くリリースされました。
そのラインナップの中に、あの任天堂が手がけた類似作があるのはかなり興味深いところでしょう。
「スペースインベーダー」とは、隊列を組んで少しずつ攻め込んでくるエイリアンを、スペースシップを操作して迎撃していくシューティングゲームです。
ゲームはエンドレスに続くタイプで、スペースシップがすべて破壊されるか地上へ到達された時点で「侵略」となりゲームオーバー。
以上が「スペースインベーダー」のざっとした説明です。
本サイトの若い読者でも「スペースインベーダー」についてはご存知の人も多いのではないではないかと思いますが、
こんな定番化・類似品があふれるゲーム界に一石を投じる作品が登場。当時のゲーマーたちを虜にしたタイトルがあります。
それが今回紹介する「ギャラガスペシャルエディション」の元となるバンダイナムコゲームスが80年代初頭に制作した「ギャラガ」、そしてその前作となる「ギャラクシアン」というゲームなのです。
全てはコロンブスの卵。疑問に思うことから始まる
先に紹介した対エイリアンという図式はそのままに、「スペースインベーダー」の「隊列を組んだ一斉移動」と「侵略」というゲームの柱となる部分を、
まるで違う形で解釈・制作されたのが「ギャラクシアン」というタイトルです。
「ギャラクシアン」に登場する敵は隊列こそ組んでいるものの、攻撃の形式は千差万別。いろんなフォーメーションで飛来しつつ自機に攻撃を仕掛けてきます。そして「侵略によるゲームオーバー」というシステムもありません。
言われてみると「なぜ敵は隊列を乱さず攻撃してくるのか?」「どうして侵略することが前提なのか?」と思えますけれど、これはまさにコロンブスの卵でしょう。
作られるゲームの大部分がそういう流れにあるという状況の中、ただ一社だけがその風潮に逆らうゲームを作るというのはけっこう勇気のいることだったと思います。
オリジナリティを大事にした企業体質と、それをキチンと形として提供する卓抜したナムコ開発陣のセンスはその後にも遺憾なく発揮され、常にゲームシーンをリードし続けてきました。
これについては今までの連載でも説明済ですが、80年代黄金期のゲームシーンはそんなナムコが切り開き作り上げたと言っても過言ではないのです。
当時としては珍しい「カラーゲーム」というのも特筆すべき点で、それまでのゲームは大部分が単色表現だったところに、「ギャラクシアン」には色とりどりの個性的なフォルムをしたキャラクターが多数登場。
これは視覚的に楽しいこともありましたが、見た目だけではなくゲーム性にも落とし込んでいることにも特徴がありました。
ゲームキャラクターに対して「個性」という概念を取り込んだのは、おそらく当時のナムコが始めたことだったと記憶しています。
そしてその「ギャラクシアン」の系譜を受け継いで更に進化させたのが「ギャラガ」なのです。
ボーナスステージに特化した「ギャラガスペシャルエディション」
お待たせしましたが、ここからが本題。「ギャラガスペシャルエディション」について紹介いたします。
本作は80年代にアーケードゲームとしてリリースされたインベーダータイプのシューティングゲーム「ギャラクシアン」の後継作となる「ギャラガ」をベースにしたスマホゲームです。
そしてこの「ギャラガ」というタイトルも、「ギャラクシアン」同様にまったく新しい試みが取り入れられているのが大きな特徴で、中でも特筆すべき点は「自機の合体システム」と「ボーナスステージ」の存在でした。
今でこそ珍しいものではなくなりましたが、80年代当時のゲームにおいて「ボーナスステージ」は珍しいものだったのです。
更に「ボーナスステージ」でも、本編同様に敵が一定のパターンで飛来してくるのをすべて迎撃するという、「ギャラガ」本作に根ざしたテイストになっていることも特質すべき点でした。
「ギャラガスペシャルエディション」は、この「ギャラガ」のボーナスステージのシステム、『一定のパターンで飛来する敵を迎撃』という部分をクローズアップしたゲーム構成になっています。
「ギャラガスペシャルエディション」では、下のスクリーンショットのように、敵は水色のラインの動きに沿って攻撃してきます。
「敵の動きがわかるのであれば簡単なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、もちろんそんな生易しい話ではなく、変化に飛んだパターンで飛来する敵編隊はかなり意表を突くものばかりで、攻略は一筋縄ではいきません。
上下左右を目まぐるしく動き回る敵の行動パターンを読みつつ素早く攻撃を繰り出す、というゲーム性は、シンプルながらも攻略意欲を刺激するもので、満足度の高いシューティングゲームに仕上がっていると言い切れます。
残念ながら「自機の合体システム」というもう一つの魅力は本作には採用されていませんけれど、これはこれで「21世紀式ギャラガ」として楽しむことができるはずです。
「ギャラガ」という名称で懐かしさを覚えるユーザーはもちろん旧作を知らなくても興味の沸いた若いユーザーにまでプレイしてもらいたい一作です。