「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

 コラム 
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 著者:live(リベ) 

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」ぷよぷよeスポーツ部門の初代王者は、大阪代表のマッキーとなった。決勝の相手は神奈川代表のぴぽにあ。笑顔で健闘を称えあう二人の目には、涙が光った…。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

どうも、埼玉代表のliveです。

10月5日、6日の二日間に渡って、いきいき茨城ゆめ国体の文化プログラムとして催行された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」。今回はこちらに実際に選手として参加してきて思ったことをレポートさせていただきます。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

結論から先に話させていただきますが、ぷよぷよをやっているプレイヤーの第一印象として、ぷよぷよは今一つ「国体」と「eスポーツ」の間に親和性を感じていませんでした。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

他の種目であれば、ウイニングイレブンはスポーツであるサッカーと紐づけられますし、グランツーリスモであればモータースポーツとの紐づけが可能なので、幾分かは選手たちもイメージしやすかったことかと思います。
周囲の反応を見てもぷよぷよをいきなりスポーツの土俵に乗せることには困惑の声も上がっていましたし、期待する声もそれと同じくらいあるように散見されました。

ですが、私のそんな不安をよそに、今回の大会は素晴らしいものに仕上がっていました。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

全国各地から代表が選出され、一堂に会する。これは言うなれば全国高校野球選手権、いわゆる甲子園のような昂ぶりがありました。今まで噂に聞いているプレイヤーも数多くいながら、まだ見ぬ強豪が現れるかもしれないというワクワク感。インターネットで情報が共有される速度が上がった昨今においても、人と人との出会いというものは違った良さがあるものです。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

日常とは全く違った特別感の中、選手一行はつくば国際展示場へと向かいます。リハーサルもそこそこに開会式が始まり、オープニングセレモニーが始まります。県代表にそれぞれ分かれ、一地区ごとに入場していくその様は、選手たちの気を引き締めるに十分でした。通常のゲーム大会とは違う、地域を背負った戦いであると実感させたことでしょう。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

一日目の予選。ぷよぷよは一般の部48名と小学生の部8名の代表を、それぞれ16名と2名に絞り込むリーグ戦が行われます。ぷよぷよの大会自体は普段のセガ主催大会と大きく環境は変わりませんでしたが、大舞台で戦うのは初めてなプレイヤーも多く緊張した空気が伝わってきました。

一般の部は6名のプロ選手が参加していましたが、場慣れのおかげか全員が決勝トーナメント進出。レベルの高い二日目の試合が予想されました。

小学生の部は、北海道ブロック代表のかぴーくん選手と九州・沖縄ブロック代表のこいし♪選手が勝ち抜きました。どちらもプロ選手から師事を受けたことのある期待の若手です。

予選後、ぷよぷよ部門においては、宿泊先のホテルにてセガ主催の懇親会が開催されました。各地コミュニティの取り組み(プレゼン)や、小学生代表とセガ運営陣とのエキシビジョンマッチなど、国体準備のみでも多忙なはずなのに様々な催しを考案してくれています。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

まだまだ不器用ながら、コミュニティとの距離を縮めるために何かをしたいという行動が多く見られるようになってきたような気がします。これはここ1年での大きな進歩であり、コミュニティやプレイヤーサイドである我々もパブリッシャーへの理解を深めるべきだなと改めて感じました。

二日目の本選。決勝トーナメントは静かに幕を開けます。私自身は初戦で静岡代表のユニ選手を下し、二回戦で茨城代表のざいろ選手との死闘を繰り広げます。ぷよぷよのシーン史上最大の大逆転劇とも言えるほどの戦いを制し、何とか勝ち上がった先に待ち受けるのは高校生最強プレイヤーと名高い大阪代表のマッキー選手。

プロシーンでも幾度となく戦った強敵を前に、私の国体は3位で終わりました。

小学生の部の決勝は、僅差でこいし♪選手が栄冠を勝ち取りました。舞台裏で同郷でもあるかぴーくん選手に激励の言葉をかけましたが、彼もまたうっすらと涙を浮かべているようでした。

そして、決勝戦は神奈川代表のぴぽにあ選手対大阪代表のマッキー選手。国体に向けて意気揚々と練習に励み、その様子をファンにも多く伝えてきた二人でした。会場にいる誰しもが決勝にふさわしいカードだと思ったことでしょう。ぴぽにあ選手は鬼気迫る表情で、自らへの暗示をかけるため言葉をつぶやきます。それほど本気で取り組んできた姿を見せてきたプレイヤーだからこそ、見ている側にも響くものがあるのでしょう。

「eスポーツはスポーツか」、国体で開催されたゲーム大会を通じて感じたこと

「eスポーツはスポーツか?」の問いの答えは、ここに集約されていました。決勝で敗れぴぽにあ選手が流した涙は、甲子園で敗戦しマウンドを降りた投手の涙と、なんら変わりありません。当人が本気で取り組み、努力し、全力を貫き通すことによって、何事も競技と成り得るのです。スポーツであるかどうかというのは外部の人間が定義することではなく、本人たちがどう感じているかが最も重要なのではないでしょうか。

私は昔から、ぴぽにあが自分の信念に基づいて本気で物事に注力できる人間だと知っていましたし、そのために泣く姿を見てきました。彼がこういった舞台で尽力する後ろ姿を見て、また後世のプレイヤーが育っていくのだろうなと思っていたので、今回の決勝は未来に向けて大きな意味のある一戦だったのではないでしょうか。

国体における「eスポーツ」に、今後末永く本気で取り組んできたプレイヤーたちの歴史が刻まれていくことこそが、何よりも文化として素晴らしいことだと、私は信じています。

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著者:live(りべ)
ぷよぷよJeSU公認プロライセンス保持者。「覇王」の異名で親しまれる。 EVO2018・2019(ラスベガス)のぷよぷよ大会で連覇。 実況解説も手掛ける他、ゲームや選手の魅力やプレイヤー視点でのeスポーツ業界への意見を綴るブログ「清濁のるつぼ」を運用。 上野Buzz esportsにて開催される「飛車ぷよ!」の広報及び、平日ぷよぷよ対戦会(上野BPT)の主催を行う。
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