2024年、インディーゲームの今後はどうなる?
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
新年あけましておめでとうございます。
今年もゲームに関する様々な情報をお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、今年1つ目の記事では「インディーゲーム」についてお話ししたいと思います。
「インディーゲーム」という言葉は数年前から色々なメディアやSNSに登場していますので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
インディーゲームは儲かる!
これからはインディーゲームの時代!
と言われたりもしますが、その実態はどうなのでしょうか
まず、はじめにインディーゲームとは何でしょうか。
インディーゲームの「インディー」とは、独立を意味する「independence」から派生した言葉で、従ってインディーゲームとは本来は「独立系のゲーム」という意味になります。つまりインディーゲームとは、大手に属さず小規模なチームや個人によって独自に開発されたゲームを意味します
ただ実際には「インディーゲーム」の定義は曖昧です
開発人数や、資金状況、あるいはタイトルに独自性があるかどうかなど、人によって色々な切り口でインディーゲームというものを定義しているのが現状で、その定義をめぐってSNSなどで定期的に議論が巻き起こっています。
例えば昨年「The Game Awards 2023」のインディーゲーム部門にノミネートされた「デイヴ・ザ・ダイバー」というゲームがありますが、これは大企業であるNEXON内で開発されたということで、インディーゲームと呼んで良いのか否かという議論が勃発しました。
同様の議論は日本でもよく起きていまして、去年大手ゲーム企業のバンダイナムコがインディーゲーム開発スタジオ「ぎゃースタジオ」を立ち上げましたが、そもそもバンナムが立ち上げた時点でインディーではないのでは?という議論が巻き起こりました。
他にもGoogle Japanが毎年開催している「Google INDIE GAME Festival」というゲームイベントでも受賞ゲームに対して、開発企業が大企業から数億円の出資を受けていたため「インディーゲムではないのでは?」という話が出たことがあります。
このように、インディーゲームとは、というテーマは日本でも折につけてあれやこれやと議論されているわけです。
とはいえ、個人を含めた小規模な事業者によるゲーム開発の可能性が世界的に注目を集めていて、その分野が着実に成長しているのも事実です。
さてここからがようやく本題ですが、ではインディーゲームはなぜ注目されているのでしょうか。そして「儲かる!」というイメージは事実なのでしょうか。
インディーゲームが注目されている理由の1つは、ゲーム開発のハードルが大きく下がり、誰でもゲーム開発者になれるイメージができたことでしょう。UnityやUnreal Engineなどの優秀なゲーム開発エンジンが無料で使えるようになり、そしてその開発ノウハウはネット上に大量に蓄積されています。
パソコンとやる気さえあれば子供でもゲームを開発することができるようになりました。
実際にはゲームを1つ作り切るにはそれなりに苦労が必要ですが、しかし、作るだけなら前よりも容易になりました。
インディーゲームが注目されるもう一つの要因としてオンラインストアの普及があります。
スマートフォンのAppStoreやGooglePlayStore、それからPCのゲームプラットフォームであるStemなどの普及により、開発したゲームを誰でも世界中に配信することができるようになりました。
かつてはゲームを売るには、物理的にゲームソフトを製造し、流通に載せ、販売店に置く必要がありました。個人や小規模事業者ではとても無理でしたが、それが今やパソコン1台で可能になりました。ゲームを作って売ることが、誰でもできるようになったわけです。
自由な生き方が叫ばれる昨今、環境が整っているのでれば「好きなことで生きてく!」をスローガンに
「ゲームを開発して生きていく!」
という人がたくさん出てくるのは必然と言えるでしょう。
プレイヤーが多ければレベルも上がる、ということで、インディーゲームとはいえ高品質なゲームが多く世に出るようになり、そして裾野が広い分尖ったゲームの数も増え、インディーゲームはファンにとって奥が深く噛みごたえのある分野になったというわけです。
インディーゲームは大手のゲームと比べ価格の安いものが多く、ゲーマーにとって購入しやすいという事情とも相まって、インディーゲーム開発者と、ゲームファンとの需要と共有がマッチした、というのが現状なのです。
ゲームファンにとってゲームとは大手が開発したものである必要は必ずしもなく、まず自分にとって面白いことが重要です。さらにインディーゲームであれば、漫画家や小説家のように「その開発者のファン」という図式も成立します。
こうなれば、ゲームの開発で成功者が出るのも必然で、私の知り合いには、個人開発のゲームの収入でフェラーリを買っている人もいるほどです。
冒頭のインディーゲームは儲かる!というのは事実ということになります。
ただ、もちろん誰でも儲かる、というわけではなく、ライバルが大量にいる中でゲームを買ってもらうのはそれなりに難しくはあります。作るハードルが下がった分、良いゲームと認識されるハードルは高くなっていますし、マーケティングの難易度もまた高くなっています。
そもそも良いゲームと認識されない
良いゲームでも宣伝ができないから売れていない
良いゲームで宣伝もきちんとしているがライバルが多すぎて儲からない
というようなことはよく起こります。
ともあれ、インディーゲームという界隈が着実に成長していて、今後もこの成長が継続するのは既定路線といって良いでしょう。
様々な表現への挑戦がインディーゲームの領域で行われるようになるでしょうし、そして日本のインディーゲームは世界的に見て高いレベルにあります。日本のインディーゲームが世界を席巻する未来も夢ではありません。
筆者としては、日本のゲームを世界に届ける活動を今年からより強化したいと思っていまして、インディーゲーム界隈のこの流れは大歓迎です。
本年は日本のインディーゲームの活躍をより多く皆様にお届けできればと思います。
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