ベトナムがSteamを規制!?その影響とこれからについて考える
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
ベトナム政府がSteamを帰省した、というニュースが日本や海外の各メディアで報じられました。
Steamとは、世界最大のパソコンゲームのプラットフォームで、日本でもユーザーが増加している人気のサービスです。ベトナムでもコアゲーマーはSteamを利用しており、今回のSteam規制の報道はベトナムのゲーマーにとっても驚きを持って受け止められているようです。
実際にベトナムハノイのスタッフに確認をしてみましたところ、現地でもSteamへの規制についての報道がされており、確かにSteamにログインはできるが新規の購入ができなくなっているようだとのことでした。
ただ、全てのユーザーが一律に規制されているのかどうかはまだ判然とせず、Steamからの公式の発表もないため、今後どのように推移していくかは判然としない状況です。
ちなみに日本の私のSteamアカウントからベトナムユーザーにSteamの機能を用いてゲームをプレゼントしたところ、正常に受け取れたようですので、Steamの全てがブロックされているわけではないようです。
さて、今後この規制が継続する場合どの程度の影響があるのでしょうか。
ベトナムは経済発展が目覚ましく、それに伴いパソコンゲームのユーザーも増加してきています。とはいえ、ベトナムのゲーム市場の多くはまだスマートフォンゲーム市場であり、PCゲームの市場は大きくありません。そのため、Steam側にとっても緊急に対応する必要性を見出していないのかもしれません。
ベトナム側の事情で言うと、ベトナムではゲーム配信事業を行うには政府から発行されるライセンスが必要です。しかし海外のゲームについてはSteamなどのプラットフォームを通してベトナムのライセンスなしに配信されており、ベトナム政府としてはそのような状況を懸念した可能性があります。
ベトナムで人気のパソコンゲームといえばリーグオブレジェンドなどがありますが、これはベトナムのライセンスを所有したベトナムの配信会社を通して配信されており、ベトナム政府としてはこのような形態を徹底したいのかもしれません。税収の面などを考えると理解できることではあります。
各報道によれば、ベトナム政府はSteam側と連絡が取れないため規制に踏み切ったとのことですが、その背景に「ベトナムのライセンスの運用の厳格化」があるとすると、今後AppStoreやGoogle Playにもなんらかの規制が入るかもしれません。
似たような規制を中国も行っていますが、中国の場合はユーザーは結局VPN(バーチャルプライベートネットワーク)を通してSteamにアクセスしており、ベトナムもそのようになる可能性はあります。
ベトナムは中国と同じ社会主義国家ではありますが、インターネットはほぼ日本と同じ程度に開放されており、中国では規制されているLINEやGoogle、X(Twitter)なども使うことができます。しかしアダルトサイトなどはブロックされていて、ファイアウォールがないわけではありません。
今後このファイアーウォールがゲーム全般に及ばないことを期待したいのですが、まずはSteamとベトナム政府との対話がうまくいくことを期待したいですね。