ChinaJoyの外側の中国、放浪から感じた中国の今とこれから
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
7月30日に熱狂のうちに幕を閉じたChinaJoy。昨年に比べればBtoCは盛況で、まずまずの成功といって良いのではないかと思います。
この記事では期間中に訪れた、ChinaJoy以外の部分からの中国を少しご紹介したいと思います。
こちらは、ChinaJoy会場に隣接しているショッピングモールの中にあったNintendo Switchのショップ。
中国ではSwitchが順調に売り上げを伸ばしているそうで、街中の百貨店などでもSwitchのショップをよく見かけました。
ただ、中国人のゲーム仲間曰く、正規の値段でのSwitchのソフトは高いそうです。正規のソフトは日本と同じ約6千円ほどですが、中国のゲーマーからするとゲームは千円程度で買えるものという認識があるようで、この差が埋まるまでもう少し時間がかかりそうだなという感じがします。
こちらは上海の郊外で見かけた、ウルトラマンの車。子供が乗ったりして遊ぶアトラクションですが、とても人気のようです。ただ、残念なのは日本のウルトラマンではなく、版権上ちょっとややこしいタイのウルトラマンでした。
中国の方にとっては似ているのでどちらでも良いということなのでしょう。版権の管理というのは国の利益を守る意味で本当に大事だと感じます。
こちらは上海の有名な夜景スポット。残念ながら雨でしたので、人も少なめでした。
ChinaJoyは少し前まではこのあたりでパーティーが多く開かれていましたが、去年今年は少なくなりました。開いたとしてもクローズドで少人数で、というケースが多いように思われます。
これは中国が不景気だからというのもあるかもしれませんが、パーティーを主催する側にとっての利益の問題で、パーティーを開いたとしても新たなクライアント獲得に繋がりにくいということでしょう。
実際私もゲーム業界の方と知り合ってそれが仕事になるのは、信頼できる方の紹介とかそういうことが多く、パーティーで名刺交換をしてその後につながるケースは今のところほぼありません。業種や会社の規模にもよるかもしれませんが、ゲーム界隈はそういう感じなのではと思います。
上海から少し足を伸ばして、パンダの街、成都へ行ってきました。地方としながら四川省の首都として栄える成都は、若干の悪天候ながら街中には多くの人で溢れており、活気に満ちていました。
こちらは生徒の中心部にあるブティック街の入り口。古い街並みを生かして、世界のハイブランドが軒を連ねている様子は、非常に趣が深いものでした。
成都の街はだいたい天気が悪い、ということで、この日も雨が降ったり止んだりしていました。街並みはとても綺麗で、変わったビルが多く、私の友人曰く「成都は北京から遠いから、中央政府の目が届かずに自由にできる」とのことでしたが、本当でしょうか。
私が成都を訪問したのは、ゲーム会社を経営している友人がここに支社を作ったからですが、成都は北京や上海に比べると人件費が6割程度で済むそうで、コストの面からゲーム会社も多くあるそうです。
上海では「35歳を超えたらエンジニアはクビ」というジョークがあるそうで、それを友人に尋ねてみたところ、ジョークではなく本当にあるよ、とのことでした。
英語や日本語が話せるエンジニアは積極的に海外に出ているそうで、ITエンジニアの空洞化も起きつつあるとか。
その点成都では元々給与水準が高くないので、まだ就職先は安泰のようです。
こちらは成都のショッピングモールで見かけた、プログラミングの塾。レゴブロックのアイアンマンが飾ってありました。
中国ではエンジニアは憧れの職業とのことで、理由は給与水準の高さ。35歳でクビになる、とはいえ給与が高いのはや張り魅力的なのでしょう。
こちらは再び上海。上海の西の方、ChinaJoyの会場からはかなり離れた場所で開催された、インディーゲームのパーティーです。
派手な金持ち風パーティーは少なくなりましたが、インディーのパーティーは去年に続いて元気に開催されていました。
筆者はこちらの方が好きですね。
中国人のゲームオタクと話しましたが、日本にはTokyo Indiesというのがあって、中国出身の代表が毎月秋葉原で開催していますよ、と伝えたところ、とても羨ましがられました。
さて、最後にこちらはリニアモーターカーの駅から。このレールの先が上海浦東国際空港です。
上海到着当日は台風の影響で悪天候でしたが、帰りのこの日は抜けるような晴天でした。
さてここから、筆者の感想を少し述べますが、アニメの一部のようなこの景色は、中国のこれからに向かっての夢を感じます。
中国は確かに不景気ですが、この巨大な国の人々は強かで、今なお未来は明るいと信じているようでした。
もはや新しくないこのリニアモーターカーの駅の周辺は未だ工事中のビルが多く、手付かずの土地には緑が豊かにあり、まだこれからこんなに発展の余地があるのだと言っているように感じられます。
多くの政治問題を抱える日本と中国ですが、訪れてみればやはり中国は良いところです。少なくともゲーム業界は日本と中国は手を取って進めるでしょう。
不況に陥りつつある中国ですが、ゲーム界隈がしぶとく生き残って、数年後に再興することを楽しみに、また来年も中国を訪れたいと思います。