社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

 取材 
  公開日時 

 著者:小野 憲史 

いきなりクイズです。カナダと聞いて連想するものは何でしょうか…?
大自然、メイプルシロップ、シマリス……なんとなく
「自然がいっぱいで、のびのびしていて、冬が寒い」
みたいなイメージを抱いている人が多いんじゃないですかね?

スポンサーリンク

ところがカナダは知る人ぞ知るゲーム産業大国。『FIFA』で有名なEAや、『アサシンクリード』で有名なUBI、他にもたくさんの会社がカナダにスタジオを構えてゲームを作っています。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

↑画像はアサシンクリード2公式サイトより

3月22日、そんなカナダのゲーム会社の中から総勢3,000人の社員数を数える国内最大級のゲームスタジオで、創立20周年を迎えるUBIモントリオールスタジオを訪問してきました。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

ツアーをアテンドしてくれたのはカナダ投資局の皆さん。
筆者を含む世界10人のジャーナリストが参加し、バスで廃工場をリノベーションしたスタジオに向かいます。

良い天気ながら気温はマイナス8度。さすがモントリオール、寒いぜ~!

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

1997年に50人でスタートしたUBIモントリオール。
人が増える度にビルが分かれて、今や市内8つのビルに分散しているそうです。

我々が向かったのは、その中でももっとも古くからある建物。
CEOのYannis Mallat氏自ら紹介していただきました。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

今年で20周年を迎える同スタジオ。
転機となったのは2002年の『スプリンターセル』と、2007年の『アサシン クリード』です。
ゲーム機の世代交替と共にスタジオが成長してきました。
社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記 社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記 社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

スタジオは外見から想像がつかないほどお洒落。古さと新しさが見事に調和しています。
階段の壁などあえて昔のまま残しているところもあり、それをデジカメで写真を撮ってゲーム内のテクスチャーに使用したりもするんだとか。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

開発室はこんな感じで、日本のゲーム会社との最大の違いは天井の高さ。ゆったりとして開放感があります。
海外のゲーム会社には珍しく、パーティションで区切られていないのも特徴です。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

最新作のMMOオンラインアクション『FOR HONNOR』の開発・運営チームが入っている部屋も見学できました。
オンライン上でのプレイ状況がリアルタイムでモニタリングされていて、チーム全員で状況が共有できるようになっていました(写真とは別)。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

スタジオツアーのハイライトが3Dスキャナによるリアルタイムキャプチャ体験。専用のキャプチャルームで、一緒に回ったスウェーデン人がキャプチャされることに!社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

使用された機材はハンディ型フルカラー3Dスキャナ「Artec Eva」で、約30cm~2m程度の対象物を数分で3Dデータにスキャンしていきます。
文字通りバババババッて感じで迫力満点でした。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

スキャンされたデータはリアルタイムにモニター上に展開されていきます。こちらのスタジオには2016年に導入されたとのこと。
社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

こちらがスキャンデータ。このデータを加工して、実際にゲーム内で使えるようにしていきます。

ホントに洋ゲーに出てきそうで雰囲気たっぷりです。

社員数3,000人!世界最大規模のゲーム開発スタジオ・UBIモントリオール訪問記

カラー(テクスチャー)情報もバッチリ取得。チクチクと3Dアーティストがキャラクターモデルを作る時代は早晩、終わりを迎えそうですね。
さすが世界最先端のゲームスタジオと、みな驚いていました。

1時間ほどの滞在でしたが、ゲーム作りの一端を垣間見ることができてとても興味深いものでした。
「世界中の才能を呼び込んでいる」とのことで、日本人クリエイターの増加も期待したいところです。
京都が舞台の和風『アサクリ』なんて、如何でしょうか!?

著者:小野憲史(オノケンジ)
ゲームジャーナリスト。NPO法人IGDA日本名誉理事・事務局長。
「ゲーム批評」(マイクロマガジン社)編集長などを経て現職。
ウェブニュース媒体を中心に取材記事などを寄稿しており、E3・GDCなど海外取材も多数経験。「小野憲史のゲーム時評」(まんたんウェブ)などのコラム連載や、教育機関などでの授業・講演もこなす。東京ネットウェイブ非常勤講師。
主な著書・編著に「ゲームクリエイターが知る97のこと(2)」(オライリージャパン)などがある。