海外に開発拠点を持つメリットとデメリット
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
2023年の1月に、ベトナムのハノイに「Kiverse」というゲーム開発会社を設立して1年と少し経ちました。
この1年、ベトナムの開発チームをうまく動かすために色々とやってきましたが、ようやく形になってきたな、という感じです。
さて、テーマである「海外に開発拠点を持つメリットとデメリット」については、YouTubeチャンネルで詳しい動画を公開予定ですので、是非そちらをチェックしていただきたいのですが、
https://www.youtube.com/@sqoolkato
3月12日19:30追記
動画を公開しましたので、ぜひご覧ください。
この記事では動画では話していないことを少し書いていきたいと思います。
ベトナムに開発会社を作った経緯について
なんでベトナムにゲーム開発会社を作ったんですか?
とよく聞かれます。
私は2017年ごろから、海外に拠点を持つことを考えていました。これは日本の長期間の不景気や少子化などを考えると、中長期的に必要なことだろうという判断がありました。
当時私は中国との取引を多くしていましたが、中国については国同士に懸案が多く、また日本人が事業を持つのにさまざまな制約があり、その他さまざまな理由から中国は候補から外しました。
では欧米は、となると距離と時差の問題、そして日本とはゲームについての美的感覚が異なることから難しいと判断しました。
そこで候補として上がってきたのが東南アジアでした。時差が少なく、距離的に近く、文化的にも日本と遠くなく、そして物価が安く経済的に成長基調である、という点を評価し、早速東南アジアのいろいろな都市を回り始めました。
というところで、2020年に新型コロナウイルスの蔓延があり、この活動は一度停止します。
2022年、新型コロナウイルスの収束が見え始め、徐々に海外渡航が可能になってきた夏頃、とりあえずということでベトナムのハノイに渡航しました。たまたま現地日系の会社の知り合いが多く、ベトナムの会社の経営者の伝手もあったので、最初にハノイを訪れましたが、そこで「もう色々調査するよりもここでとりあえず会社を作ってみるか」ということで会社設立準備に入り、4ヶ月ほどで登記しました。
というのが経緯です。
コロナで感じたスピードの大切さ
とにかくもう作ってしまえ、という感じで会社を建ててしまいましたが、これには理由があり、
コロナ禍という想定していない事態によってさまざまなプロジェクトが停止するのを目の当たりにしたことで、
やるべきことはすぐやらないと、どうしようもないことでストップしてしまう、
ということを強く感じていました。
日本のゲームを世界に届ける、というのがSQOOLのミッションの1つですが、それもいつまでも同じチャンスがあるわけではない、と感じました。
コロナ禍のような災害や、例えば日本のゲームの品質の低下、SQOOLの資本的な問題、代表である私の健康問題など、将来的にこの動きを阻害する要因が起きる可能性は十分にあります。
とにかくすぐに形にする、というのは非常に大切なことだと感じ、ハノイに知り合いがいて現地との繋がりがあるのであれば、もうハノイに開発会社を作ってしまおう、と考えたわけです。
実際にやってみて
海外での法人設立は意外と難しくありませんでしたが、日本とルールが違うこともありストレスのかかる時期が多かったのは確かです。
業務を始めてからもまず何がどの程度できるかの把握から始めねばならず、すぐに実働とはなりませんでした。
ただそれでも新しい可能性を生めたことは一つの成果だと感じています。日本以外の選択肢を持つことは、日本のゲームを海外に広めるという目的の達成に近づくでしょう。
目下の問題は、日本とベトナムの間に立つマネージャーが不足していることです。日本のゲームメーカーと向き合うときに、ゲームをよく理解し、そしてそれをベトナムの現場に落とせる人材が必要ですが、これはなかなか採用に苦労しています。
このような苦労を抱えつつも、日本のゲームをベトナムで、というのはとても夢のあるミッションだと思っています。
今後も定期的に、動画や記事で海外での動きもお届けしていく予定です。
日本のゲームで世界を目指しませんか。