ゲームのローカライズもAIの時代?ゲーム開発とAI活用の未来を考える

 コラム 
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 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

AIの進歩は目覚ましく、数年前では考えられなかったことができるようになりました。
翻訳や動画制作、画像制作がかなりのレベルで可能になり、動画や画像に関しては実写と見分けがつかないものが生成できます。翻訳も従来の翻訳ツールとは比較にならないほど正確にニュアンスまで読み取ってくれます。

ゲームのローカライズもAIの時代?ゲーム開発とAI活用の未来を考える

ここまでAIが進歩すると、ゲーム開発にAIを利用したい、となるのは自然なことで、すでにいろいろなゲームでのAI活用が始まっています。

AIが活用できそうなゲーム開発の分野は多くありそうですが、開発後のローカライズ、つまり英語化したり、中国語化することに使えそうですよね。この記事ではこれについて考えたいと思います。

ローカライズとは、その地域に合わせてゲームを調整することで、翻訳だけではなく、デザインや、ボタンの配置などを変えたり、ということも含まれます。
デザインでいうと、例えば宗教的にNGの表現を変更したりします。具体的には女性の肌の露出とか、そういう部分です。

また、学校に宿題がない国などに対して、「宿題を忘れて先生に怒られる」シーンがあったとすると、その部分は別のエピソードに書き換えたりします。

翻訳一つをとっても、例えば「異世界転生」をなんと訳すか、のような部分にセンスが求められます。
これは非常に高度なことで、ゲームのローカライズは簡単ではありません。

しかし、筆者は近い将来、ゲームのローカライズの大部分はAIでできるようになると考えています。
できるようになる、というよりも、AIを用いた方が正確で問題の少ないローカライズができるはず、と考えています。

例えば上に出てきた宗教観の問題を取り上げると、世界にはさまざまな宗教があり、その教義もさまざまです。
たとえば、砂漠の国の宗教で「太陽は憎むべきもの」という教えがあった場合、日本のゲームにありがちな「太陽神は正義の味方」という解釈が成り立たないかもしれません。
こういったことは、まずその知識が必要であり、現在は小さな宗教についての問題点は見逃されているのではないかと思います。

ゲームのローカライズもAIの時代?ゲーム開発とAI活用の未来を考える

こういったことは集合知で形成されているAIであれば、知識の抜けは無いということになり、見逃されることは少なくなるでしょう。
手間という点でもAIは短時間に多くの作業をこなすことができますので、少数民族やマイナーな宗教にも配慮することができるようになります。

その上で、全体を最後に人が見て「本来の趣旨とずれていないか」などをチェックすればよく、これはローカライズ担当が人間だったとしてもプロジェクトマネージャーやディレクターなどが通常行っている作業であり、負荷が増えるわけではありません。

AIを用いたゲームのローカライズには非常に将来性を感じます。
問題があるとすれば、作り替えた部分の著作権の問題です。AIが使用しているテキストや画像が著作権侵害を犯さないようにしなければなりません。
またあまりに細分化してローカライズしてしまうことは、タイトルの同一性を損ないかねない、という問題もあります。
このようなことには注意が必要でしょう。

AIが活用できそうな部分は他にもたくさんあります。例えばデバッグなどはすでに自動化ツールなどがあり、すでにAIの活用も始まっていますが、より発展したものとしてもっとAIが積極的に用いられるようになるでしょう。なんならバグの修正までやってくれるようになるのもすぐだと考えています。

このようなAIの活用は、工数を下げながら品質を上げることができる可能性がありますので、有効に活用したいものです。
日本では職人気質が浸透している側面があり、クリエイティブな領域へのAI活用には慎重論が多いように思われます。著作権に対する高い意識などが原因と思われ、その意識自体は素晴らしいことだと思いますが、そこを尊重しつつ著作権侵害などの問題を技術的に解決していこうという姿勢が重要です。

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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