APGS2017幕張にて開催 台日産業の提携はVRのローカライズとIPのトレンドがポイント
「アジア太平洋ゲームサミット(APGS) in Tokyo」は9月22日にアパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉にて開催されました。フォーラムはゲームとVR/ARという二つの議題を軸にし、ゲームのパートではApp Annie社から講師を招き、アジアパシフィック地区のゲーム市場の現状を分析して頂きました。
また台湾と日本のゲーム会社の代表らもそれぞれの海外市場の進出の経験をシェアしました。
VR/ARのパートではVR用ヘッドセットの代表格「VIVE」を世に送り出したHTC社と、世界市場で体感型統合プラットフォーム「VR Arcade」を展開しているJPW社の担当者が登壇し、VR/AR市場の未来の発展の動向やビジネスモデルについて具体的な提言を披露しました。
「アジア太平洋ゲームサミット(APGS) in Tokyo」は台北市コンピュータ協会が主催し、日本オンラインゲーム協会(JOGA)の後援を得て開催されました。今回は特別にVR/ARのトピックを追加しました。
マーケティングリサーチ会社Statista社の調査によれば、2020年までに世界のVRゲームの市場規模は229億ドルに達する見込みだそうです。そのような背景から、バーチャルリアリティー(VR)の将来展開やビジネスモデルの確立などが関連業界の関心を集めています。
台北国際ゲームショウ事務局の最高責任者呉 文栄氏は、
「世界のゲーム市場の中で日本市場は一つの重要な指標となります。日本企業の特徴は、すべてに正確と完璧を求めるのという点ですが、台湾企業はそれと比べてより柔軟でフレキシブルです。それぞれの地域の文化を理解することによって無駄な試行錯誤を避けることができると考えています。ぜひ本日の交流を通じてより台日企業間の相互理解を促進し、さらなる提携の可能性を増やしていけることを期待しています」
と冒頭の挨拶をしました。
アジアパシフィック地区は世界ゲーム市場の成長の中心であり、勝利の鍵は運営のローカリゼイションと良きパートナーシップです。
App Annie日本市場シニアビジネスデベロップメントマネージャーの上村洋範氏の話によると、アジアパシフィック地区の各国のゲーム市場は安定的に成長を続けています。その中でも日本は毎年20%前後の成長をキープしています。
調査の結果、日本で開発されたゲームの売上の七割以上は日本の国内市場での収益でした。
日本のゲームが今後海外市場を攻めていくには、現地のユーザーの嗜好や市場の特性に合った運営と言語のローカリゼイションはますます重要になってくるでしょう。
アジアパシフィック地区の中で特に注目すべきはインド市場。2015年から2017年の二年間、ゲームアプリのダウンロード数は3倍にも成長し、高速成長のみならず徐々に成熟していく市場でもあり、今後の収益面でも成長が期待できるでしょう。
株式会社WeGames Japanは今年7月に日本市場で初めてのMMO戦略RPGゲーム《大三国志》をリリースし、たったの三週間でiOSの戦略ゲームジャンルのダウンロードランキングの10位を獲得しました。
WeGames Japanの代表取締役社長陳 敏秀氏は、ゲーム製品を市場に投入する前に、その市場の文化やユーザーのプレイ傾向、ユーザーの好み、そしてその市場に合ったプロモーション戦略などを十分に理解しなければならない、と語ります。
同社の人気タイトル霹靂江湖(Pili Heroes)の台湾での成功事例を見ると、台湾の夜市屋台文化をプロモーション活動に組み込み、ローカルのユーザーと深く交流し、プレイヤーの親近感を勝ち取ることができたことが同作のヒットの鍵の一つとなっているのでしょう、と同社の成功体験をシェアしました。
台湾ゲームデベロッパーのX-LEGEND ENTERTAINMENTは2012年に初めて日本東京で最初の海外拠点を設立し、日本市場での運営業務を展開しました。
X-LEGEND ENTERTAINMENT JAPAN株式会社の社長陳 建文氏は、台湾の消費者は日本のアニメ、マンガ、そしてゲームなどのサブカルチャーに対する好みが似ており、台日のゲームのビジュアルデザインも類似していると指摘しています。
また、似ている部分は多いものの、スタッフの管理など、企業カルチャーでは異なる部分も多いことを指摘。日台企業の連携にあたっては勤務時間や給与体系など、それらのギャップも埋めなければなりません。
ゲームの運営のローカリゼイションはとても大事ですが、海外拠点での企業管理もその土地の風習に合わせるも、国際企業にとって効率よく作業を進めるうえで忘れてはいけない課題だと陳氏は改めて強調しました。
株式会社台湾コーエーテクモはヒットタイトル《真・三国無双 8》と台湾のプロ野球チームとのコラボレーションというかつてない斬新な試みを実現しました。
副総経理の劉政和氏の話では、異業種間の提携は長い時間をかけて十分にコミュニケーションを取ることが重要とのこと。
この提携のおかげで、ユーザーが大量に増加し、台湾の子会社は本社からより多くの経営リソースを獲得できたそうです。
そのほかモバイルだけではなく、コンソールゲームの市場についても、彼は自分の考えを以下のように述べました。
『東南アジアのコンソールゲーム市場は大変期待できるものではあるが、東南アジア地域では多くの国々が存在し、まとまった一つの大きな市場ではありません。また、強い販売チャネルやメディアもあまり多くありません。東南アジアへの進出は、現地の有力なパートナーをまず見つけて、法律制度面の課題のクリアや販路の開拓などはパートナーと共に進めることが成功への近道でしょう。』
バーチャルリアリティーは応用範囲が拡大し、VR/ARの産業チェーンが形成されつつあります。
今年の東京ゲームショウ期間中、HTC VIVEは出展ブース面積を拡大するだけでなく、さらに《FALLOUT 4 VR》、《暗殺教室VR》、《囚われのパルマ》など多くのヒットゲームタイトルを展示しました。HTC VIVE JAPANディレクターの西川美優氏は、HTC Linkが日本でリリースしたスマートフォン専用のVRヘッドセットは日本の有名動画IP《攻殼機動隊 ARISE》とコラボレーションをしたことと、今年7月にバンダイナムコエンターテインメント社と提携して新宿VR Zoneをオープンしたことを例に挙げ、VRと協力のコンテンツIPとの融合は今後の新しいブームになるだろうと述べました。
また、JoyLand VR/ARのテーマ娯楽施設を東京ゲームショウに初出展したJPWは、ファミリー向けゲーム、スポーツゲーム、時空の旅体感ゲームなどの斬新なエンターテインメント体験を披露し、会場ではいち早く体験したい来場者で長い行列ができました。
JPW創業者兼CEOの董俊良氏は、
『VR産業の20%はゲームとエンターテインメント関連のコンテンツによって支えられ、しかも引き続き成長を見せています。今では90%の人々はVRとは何かを知ったのですが、「没入体験」とは何かとはいまだに知る人が少ない。それが我々がVRを活かしたエンターテインメント施設に力を注ぐ理由でもあります。もちろん大量な資金の投入は不可欠ですが、長い目で見れば、将来性のあるマーケットであることは間違いないだろう』
と、経営者としての意見を述べました。
ハイテクノロジー産業と重工業との融合に注力してきた日本の先端技術企業Crescent社は、2016年に台湾の高雄にてスタジオを設立し、現在台湾最大のモーションキャプチャー用の撮影スタジオを保有し、映画やゲーム、動画などの制作に不可欠な技術サポートを提供しています。
Crescent社の代表取締役社長小谷 創氏は、VR産業が発展していくにつれて、バーチャルリアリティーの世界をより真実に近づけるために、モーションキャプチャーの技術の重要性、必要性を強調しました。
最後に、バーチャルリアリティーの海底世界の構築を得意とするFormosoft社ですが、現在はすでに《フィッシュドーム》や《アクアリアル》などのVRを応用した体感型コンテンツを世に送り出しています。
CEOの郭思宏氏はフォーラムでは彼らの海外企業との提携の実例をシェアしました。VR技術を海洋というテーマに活用し、プログラマーやアーティスト、ミュージシャン、脚本家など様々な業界の優れた人材とのコラボレーションにより、海洋生物を3Dの技術によってまるで本物のように動き、プレイヤーとのインタラクティブなエンターテインメント体験を実現させました。VRという先端な技術をこういった斬新な試みによって、我々にとってますます身近になり、日々の暮らしもより楽しいものになっていくのでしょう。
本件へのお問い合わせ先
台北コンピュータ協会/台北ゲームショウ ニュースセンター
Name:馮沐恩Esther
Phone:02-25774249 ext.269
Skype:esther82360
e-mail:esther_feng@mail.tca.org.tw
Name:蔡宇?Sally
Phone:02-25774249 ext.288
Skype:tca-sally288
e-mail:sally@mail.tca.org.tw
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