イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催

 イベント取材 
  公開日時 

 著者:篭谷千穂 

2019年2月23日(土)、宮城県仙台市にて学生向けのアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が開催されました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催

このイベントは、仙台市グローバルラボ仙台、DA・TE・APPS!実行委員会が若手人材育成支援事業の一環として毎年主催している東北最大級のアプリコンテストで、東北圏の大学や専門学校で学ぶ現役の学生チームが優勝賞金30万円を懸けて競い合いました。

グローバルラボ仙台は、仙台市とフィンランド・オウル市との産業振興協定を活用し、仙台および東北にゲームをはじめとしたIT産業振興と海外連携を促進するため2013年12月に発足したコンソーシアムで、主に仙台市内に拠点を置くIT・ゲーム系企業および教育機関と連携し、東北におけるIT人材育成支援や企業の海外展開支援などを行っています。
なお、今年2019年は日本とフィンランドが国交を樹立してから100周年にあたる節目の年。そこで今回は、初の試みとしてオウル市よりフィンランドのオウル工科大学のゲーム開発者教育プログラム「Oulu Game Lab」の学生チームも参戦するという国を超えた対決が行われました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
イベントではオウル市の産業支援公社Business Ouluの日本担当インターナショナルコーディネーターの内田貴子さんにより同市の紹介セッションも行われました。同市はフィンランド北部の地方都市ながら5Gなどの無線通信技術の研究開発に強い土地柄でゲーム系企業も多数存在します。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
オウル市に拠点を置き、フィンランド国内で第4位に位置するモバイルゲーム企業のFingersoftのエグゼクティブもこのイベントのために来日。同社CEOのテーム・ナルヒさんはコンテストの審査員も努めました。

「DA・TE・APPS!」は午前中に課題解決型アプリを対象とした「ITコンテスト」が、午後にゲームを対象とした「ゲームコンテスト」が行われますが、SQOOL.NETはゲームのWebメディアなので「ゲームコンテスト」の方をご紹介します。

■ゲーム部門
ゲームコンテストの「ゲーム部門」は、東北6県の学生を対象とした”フリースタイル”部門です。ゲームジャンルやプラットフォームは一切問わず、学生チームが1年間かけて学校で開発したオリジナルのゲームを、「ゲーム性」「アイデア性」「デザイン性」「ビジネス性」の評価軸で審査し、東北で最も面白い2019年の新作ゲームを決定します。イベントでは、一次審査を通過した上位7作品の開発チームが登壇しプレゼンバトルを繰り広げました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
国際情報工科自動車大学校チームの横スクロールアクションゲーム「パレッター」。ギミックから色を取得したり世界を色で染めたりする能力を持つカメレオンを操作して障害物を無効化したり、オブジェクトやギミックを利用して先に進んだりとパズル要素を盛り込んでいるのが特徴です。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
東北電子専門学校チームのアクションパズルゲーム「Cosmo-s」。L字のオブジェクトを回転させて直進する光が進むべき道を作り、ゴールまで導きます。ステージを進むごとに光の進む角度を定期的に変えたり、光を反射したりといったギミックも登場。実はこのサイトで以前レビューしていたのでした。

カギカッコ「」を操って道筋を作ろう!光を導く癒しのアクションパズルゲーム「Cosmo-s」

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
東北電子専門学校チームの落ちもの仕分けゲーム「アソートファクトリー」。2種類の「バー」を動かして、上から落ちて来るアイテムを決められたカゴに振り分け、出荷してその売り上げ(スコア)を競うアクションゲームで、瞬発力と判断力が問われます。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
仙台高等専門学校チームの対戦落ちものパズルゲーム「落華」。不要なパズルパネルを避けて欲しい色のパズルパネルだけを選択・取得し、コンボを決めることで対戦相手のプレイを妨害することもできます。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
国際情報工科自動車大学校チームのステルスゲーム「コピロボ」。ステージ上にいる敵ロボットの姿やオブジェクトの形を「コピー」して擬態できる能力を持つロボットを操作し、敵と遭遇した際にバレないように化けてやり過ごし、ゴールを目指します。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
ヒューマンアカデミー仙台校チームの飛行アクションゲーム「ESCAPE RUINS」。自然と落下していくドローンを操作して垂直の崖を登っていくという内容ですが、ゲームコントローラーやキーボードで操作するのではなく、実物大のハンドル&ペダル型コントローラーで操作するのが特徴。PCゲームでありながらアーケードゲームの感覚でプレイできます。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
国際情報工科自動車大学校チームのアクションパズルゲーム「影道(シャドウ)」。影の世界に閉じ込められてしまった少女を元の世界に返すため、光源を動かして壁に投影されるブロックの影も動かし、それらをつなげてゴールまでの道を作って少女を導きます。

各チームのプレゼン時間はわずか3分。その後審査員との質疑応答時間が設けられましたが、こちらも3分という激短っぷり。短い時間でいかに的確にゲームの魅力を伝えられるかも審査対象のうちなので、各チームともゲーム開発と共にプレゼンの練習も行っていたようです。

そして厳正な審査の末、優勝に輝いたのは…

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イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
なんと偶然にも当サイトで紹介した「Cosmo-s」でした!審査員が優勝候補をそれぞれ3作品ずつ挙げた際、唯一全員が選択したタイトルだったこと、コンセプトが明確だったことが勝因だそうで、かつ出場作品の中で唯一リリース済みで、50種類ものステージを用意していた開発スピードも評価されました。おめでとうございます!

■GLS for Education部門
ゲームコンテストの「GLS for Education部門」は、グローバルラボ仙台が地元仙台のゲーム会社および教育機関との協力のもと実施している約半年間の講座「スマホゲーム開発塾」で開発されたゲームアプリが「売上金額」を競う部門です。仙台からは4チームが、前述のようにフィンランド・オウル市の「Oulu Game Lab」からも2チームがビデオチャットで参戦し、計6チームのゲームアプリが競い合いました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
ヒューマンアカデミー仙台校チームのパズルゲーム「Nightmare Qube」。少女が悪夢の中を冒険するストーリーのもと、少女が乗ったキューブを転がして他のキューブとくっつけ、高さを変えて高い場所にあるゴールに導くという内容で、まるでティム・バートンの映画のようなダークな世界観が特徴です。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
デジタルアーツ仙台チームのアクションゲーム「CuruCuruCrash」。サークル状のフィールドにボールを打ち出し、壁にボールを反射させながら強化し、画面中央に配置されている「敵」にぶつけて倒すことを目指す内容で、極限まで無駄を排したスッキリとしたデザインが印象的なタイトルです。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
デジタルアーツ仙台チームの8bit風RPG「Brave Thief」。主人公が「泥棒」という珍しい設定で、冒険に必要なアイテムを全てスリや空き巣、万引きといった「盗み」で手に入れるのが特徴です。ステージの最後にはボスが待ち構えており、それまでに貯めたアイテムを繰り出して戦います。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
仙台コミュニケーションアート専門学校、デジタルアーツ仙台、東北電子専門学校の三校合同チームのインフレタップゲーム「Monday」。毎週訪れる憎いラスボス「月曜日」を倒すため、画面をタップして「平日」に攻撃を加え、得たポイントで攻撃力を高めつつ助っ人を開放していきます。学生作品とは思えない凝ったアートワークが特徴で、この点は審査員も高く評価していました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
「Oulu Game Lab」チームのダンジョン探索ゲーム「Fungeon Crawl」。一人称視点で3Dダンジョンの中を探索しながら可愛いモンスターとリアルタイムバトルを繰り広げ、次の階層のダンジョンへと進む鍵を見つけて冒険を進めていきます。一見カジュアルですが、マップ機能がなく、ダンジョンの中を彷徨い歩きながらステージの構造を掴まなければなりません。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
こちらも「Oulu Game Lab」チームの作品のスケボーアクションゲーム「Shred 'n' Slam」。いわゆる「エンドレスラン系」と呼ばれる、どこまでも走り続けてゲーム内通貨やアイテムを集めていくゲームですが、何気に操作が難しく、また体力ゲージ設定もあるため、ロスタイムをできる限り少なくして進む必要があります。

こうして全6チームのプレゼンが終了。その後各ゲームアプリがリリースされてからイベント直前までの売り上げが発表されましたが、優勝を決めたのは…

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
3万3705円を売り上げた「Nightmare Qube」でした!本作は120円の買い切りアプリとして配信されたタイトルですが、「スマホゲーム開発塾」の中で唯一2018年内のリリースに間に合ったため、PR・広報の面でも有利だったのが勝因になったようです。ちなみに同チームのプログラマーは弱冠17歳だそうで将来有望です!

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催
さらに売り上げはなかったものの、ゲーム自体は良かったということで急遽「審査員特別賞」が設けられ、審査員満場一致で「Fungeon Crawl」が選ばれ、開発チームに賞金10万円が贈呈されました。これは現地にいるチームメンバーも意外だったようで、ビデオチャット越しに驚きの表情を浮かべていました。

イノベーションを東北から起こそう! 東北最大級の学生向けアプリ開発コンテスト「DA・TE・APPS!2019」が仙台で開催

今年のコンテストはこれで終わりですが、学生が開発したゲームアプリはこのまま配信し続け、売り上げも学生に支払うとのこと。ということで、興味のある方は是非彼らの作品をプレイしてみて下さい。

「Nightmare Cube」
https://itunes.apple.com/jp/app/nightmare-qube/id1446668378

https://play.google.com/store/apps/details?id=gls.gls0201

「CuruCuruCrash」
https://itunes.apple.com/jp/app/curucurucrash/id1446669763

https://play.google.com/store/apps/details?id=gls.gls0202

「Brave Thief」
https://itunes.apple.com/jp/app/brave-thief/id1446669913

https://play.google.com/store/apps/details?id=gls.gls0203

「Monday」
https://itunes.apple.com/jp/app/monday-lastweek/id1446669779

https://play.google.com/store/apps/details?id=gls.gls0204

「Fungeon Crawl」
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.Team_Satisfaction.DungeonCrawl

「Shred 'n' Slam」
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.LostHoodie.ShredNSlam

著者:篭谷千穂
Techブログメディア「vsmedia」を個人運営していたり、英字新聞「The Japan Times」にガジェットとアプリのコラムを書いているライター。
他にも特殊メイクや特殊造型、アクセサリー製作、仮面作家としても活動しています。