ゲーム業界が不景気を迎えつつある、というというのは本当か?

 コラム 
  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

ゲーム業界はもうすぐ未曾有の不景気を迎える。最近そのような論調がX(Twitter)等のSNSで散見されます。
果たしてこれは事実なのでしょうか。またどのような根拠でそのようなことが述べられているのでしょうか。

ゲーム業界が不景気を迎えつつある、というというのは本当か?

主にXでの主張を見ると、根拠は大きく2つで、

・業界の確たるポジションの方がそう言っている

・受託案件が減ってきた

ということのようです。
前者については、そのようなポジションの人が直接何かを発信しているということはないようで、事実かどうかは確認が取れていません。

後者に関しては、実施際に私の周りでもちらほら聞く話で、こちらは信憑性がありそうです。

そして、これらに付随して、中国ByteDanceのような企業のゲーム事業撤退や、スクウェアエニックスなどの日本の大手ゲーム会社の苦境や、外注縮小の話などが取り上げられています。

確かにここのところ、一部の大手のゲーム事業撤退や、色の良くない決算の話題を継続的に見るようになりました。実際に、少し前の「ソシャゲバブル」のような状況は終わっており、そのような流れがあるのは事実です。
その周辺の外注需要が減っているのは筆者も実感しているところです。

しかし、この流れが大きな不景気であるかと言われると、ちょっと違うと考えています。

2010年前後、ゲーム業界は不況といわれていました。そこにスマートフォンが登場し、パズドラやモンストのような大成功タイトルが現れ、ゲーム市場は一気に成長を取り戻しました。
そういう意味でスマホゲームはゲーム業界の救世主だったわけですが、一方で、これが期間限定の瞬間的な状況であることはある程度認識されていました。

端末の進化や開発側の様々な工夫により、スマートフォンゲームも進歩したことで、今まで市場を牽引してきましたが、ことソーシャルゲームに関しては、ガチャに頼る収益構造や、中毒性の問題などが度々指摘され、そしてどうしても薄くならざるを得ないゲーム性などもあり、成長は頭打ちと言って良い状況になっています。
ソーシャルゲームの成長た停滞する分、この分野での業界の縮小が起きるのはやむを得ないでしょう。

しかし、これはゲームのトレンドが変わるという種類の話であって、大きな不況が訪れるということではないと考えています。
eスポーツやSteam、NFTとの融合、メタバース、インディーなど、ゲーム界隈にはここ5年ほどで多くのホットワードが生まれました。委託業務の量を考えると、それらが例えばフリーの開発者の食い扶持にすぐさまなるかというのは難しく、そこが不況感の根源ではないかと思います。ゲーム業界が不景気を迎えつつある、というというのは本当か?
ただ、業界全体が変遷しているのは事実で、これは一時的にある種のショックはもたらしていますが、今後ゲームが社会の変化に対応し成長していく過程なのだと思います。

様々な産業が技術と社会の変化によって進歩を迫られてきたように、ゲームも常に進歩が必要で、ゲームに携わる人間はそこへの理解と対応が必要なのでしょう。

SQOOLのYouTubeチャンネル

著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
著者Twitter