仮想通貨とゲームの融合は消え去ったのか?一世を風靡したNFTゲームの今後は?
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
2018年ごろから耳にするようになった、仮想通貨とゲームの組み合わせ。ブロックチェーンゲームやNFTゲームというような呼び名もありますが、とにかくかつてはそれらの「儲かる系=Play-to-Earn」のゲームは業界から大きな注目を集め、さまざまな企業がその新ジャンルへ挑戦し、現にヒットタイトルも生まれてきました。
しかし当時同時に発生したVRゲームと同様に、今はあまりその名前を聞くことはなくなり、世界のいろいろなゲームイベントを回っても関連の出展はや講演はほぼみられなくなりました。
一体今の仮想通貨ゲームはどのような状況なのでしょうか。
結論から申し上げれば、仮想通貨ゲームは現在も続いていますが、熱狂的な投資はほぼなくなっている、という状況です。
例えばベトナムのSky Mavisという会社がリリースしているAxie Infinityというゲームは、2018年3月にリリースされ、世界的に大ヒットしました。
仮想通貨に対する認知拡大もあり急速に成長したAxie Infinityですが、大規模なハッキング被害に遭うなどのトラブルもあり、そして仮想通貨とゲームへの組み合わせに対するトレンドが失速してきたこともあり、その後は伸び悩んでいるのが現状です。
ちょっとした時間にゲームをして少しお金を稼ぐ、というのは一見とても良いプランに思われます。
しかし、実際には、ゲーム的にお金を稼ぎたいのであればそのスマホは株式投資やFXに使われますし、ゲームを楽しみたいのであれば仮想通貨要素のないゲームの方がエンターテインメントとして優れています。ということに世の中もゲーム業界も、そして投資家も気付いてしまいました。
もちろん、すべてのプロジェクトが停止したわけではありません。ブロックチェーン、暗号鍵の技術を生かして、例えばゲーム内の資産の価値を担保したり、ゲーム内通貨を別のゲームに持ち出したり、という点には将来性があるかも知れません。
この辺りのことは、業界内のコミュニティーでも賛否が分かれており、今後発展するのか衰退するのかは未知の領域です。
というのが現状です。
数年前は仮想通貨ゲームであればなんでも投資が付いた、という時代もありましたが、今はほぼそのようなことはなく、一旦研究分野へ戻ったというような印象です。
VRと同じように、可能性はあるかも知れないが、まだエンタメとして気軽に楽しめるものへの昇華は難しいという感じです。
筆者としては、手元で気軽に稼ぐのであれば、今まさに日本で流行っている「ポイ活」の方が相性が良いのではないかと思います。その価値が国体によって保証されていないという点で、かんがてみればポイントと仮想通貨は、技術的には全く異なりますが、ユーザーからすれば似ています。
ゲームとしても「稼ぐ」という視点を入れると歪んでしまうことが多く、つまり、クソゲーになりがちで、ゲーマーからは好かれません。
しかしこのような新しい技術へのチャレンジには価値があります。このようなチャレンジの積み重ねがさまざまな面白いゲームを生むのでしょう。
これからも新しい技術の組み合わせと、そこからの発展に期待したいですね。