【ChinaJoy2025概要レポート】時代に合わせて変化を模索するChinaJoyの現状とこれから
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
世界の中でも巨大な市場に育った中国ゲーム市場。日本のゲーム事業者にとってもその動向はとても重要なものです。
年に一度上海で開催されるChinaJoyは、中国のゲーム市場を俯瞰的に見れる場としてとても良いイベントです。
さて、この記事では8月1日〜4日に開催されたCginaJoy 2025の概況をお伝えいたします。
今回のChinaJoyはコロナ禍後の方向性を模索していた、停滞期ともいえるChinaJoyの状況に少し光が差したのではないかと感じました。
コロナ禍を経て世界的に大規模なゲームイベントが低迷し、E3が終了するなどの逆風があり、そして中国の景気低迷とゲーム業界全体の世界的な不振があり、さらに中国では国内の規制強化と、大手に向けての価値が主だったChinaJoyは、昨年、一昨年は出展ブース数の確保やファンの集客に苦労していた感がありました。
そのような状況の中、ChinaJoyは徐々にインディーゲームのブースを増やすなどトレンドに合わせた動きを模索していましたが、イベントの性格がインディーに合っていなかったこともあり、苦労しているなという感じでした。
しかし今年は、ここ数年の調整が功を奏したのか、インディーコーナーはまずまずの盛況だったのではないかと思います。BtoBエリアにインディーコーナーが置かれていたもは、パブリッシャーとのマッチングを重視するという点と、BtoCエリアは大規模ステージが多くその相性を考えてのことかもしれません。
BtoCエリアも人手と熱気が戻っているように見え、イベントとしては来年に向けての道が見えたのではないかと思います。
しかし中国ゲーム市場が不況に喘いでいる状況はまだまだ継続しており、不況だけどそうも言っていられない、という感じで業界としては前向きに頑張っているように見えました。
かつてのスマホゲーム、VR、eスポーツのような目立ったトレンドはなく、インディーを取り込んだとはいえ目玉には乏しいかと思いましたが、昨年の黒神話悟空の大ヒットの熱気はまだ継続しているようで、品質がよければ成功できるという実例を励みに中国ゲーム業界関係者は頑張っているようでした。
ただ直接話を聞くと以前と比べて開発費用の獲得は難しくなっており、途中でクローズするプロジェクトも多いとのことでした。
昨年はよく話に出てきたHTML5のWeChatゲームなどのトレンドも、今はもう古い話、と言う関係者が多く、中国ゲーム市場で唯一お金の回っていたHTML5ゲームのシュリンクと、新しいトレンドの創出とどちらが早いのかというような感じになっています。
日本のゲーム市場についても引き続き大きな関心を持っている中国ゲーム関係者が多く、中国ゲーム市場の規制強化の流れはそうそう変わらないという雰囲気の中、隣国の大きな市場としての日本の重要性は徐々に高まっており、日本に刺さるビジネスモデルの創出はここ数年の普遍的な課題として定着しているという感じでした。
IPの供給元としての日本の重要性もまた規制強化に伴って高まっており、オリジナルの新規IPでの成功がなかなか見出せない日本と似たような理由で、有名IPのゲーム化の需要が高まっているようでした。
AIに関する話題は意外と少なく、あったとしても広告や制作ツールの中にAIを使っていますよという感じのものが多く、ゲームとしてはAI使ってます云々はほぼ謳われていなくて、それよりもコンテンツとしての質をどう高めるかというところが重視されていました。
昨年まで感じていたChinaJoyの閉塞感みたいなものはある程度なくなっていて、不景気の中でChinaJoyの底力が見えたな、という感じのChinaJoy2025でした。