【レポート】Google主催イベント「今さら聞けないネットワーク広告基礎」でスマホアプリの収益最適化を学ぶ

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 著者:岡安 学 

いまやネットコンテンツには必要不可欠なネットワーク広告。しかし、それがどういったものか、どう活用すれば良いか、誰にアプローチすればわからない人が多いのが事実。そこでオンラインサービスの長であるGoogleがネットワーク広告についての勉強会を定期的に開催しています。今回は、その勉強会に参加し、ネットワーク広告について学んでいこうと思います。

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まず、Googleオンラインパートナーシップグループ アプリ事業マネージャーの湯本暖氏より開会の挨拶が行われました。

【レポート】Google主催イベント「今さら聞けないネットワーク広告基礎」でスマホアプリの収益最適化を学ぶ

Googleオンラインパートナーシップグループは、AdMob、Google Ad Manager、Firebaseなどの各Googleのサービスを利用してスマートフォンアプリの収益化と成長を支援するために、日本の専門チームからコンサルティングとサポートを提供していることが紹介されました。
これにより、アプリを開発しているデベロッパーは、収益の最適化などの開発以外の業務に割く時間を削減でき、その分開発に注力できるというわけです。

湯本氏によると、アプリでは課金よりも広告収入の方が、早く多くの収益を上げることができると言います。日本でのアプリの課金額はここ数年で横ばいになっており、アプリ自体のダウンロード数も同様に横ばいです。またアプリ内課金の収益ベスト40を見てみると、以前はほぼ国産アプリだったのに対して、現在は13アプリが海外製アプリとなっており、日本国内の事業者にとっては課金で収益を伸ばすのが難しくなっていると言えます。

そんな状況でアプリの収益を伸ばすには、海外展開、さらなるユーザーの獲得、広告収益の最適化が求められます。

その広告収益の最適化が今回の勉強会のテーマです。

広告には、それぞれ携わる人の目的があります。

広告主は自分たちの商品を効率良く配信したいと思っており、メディアは少しでも自分たちの広告枠を高く買って貰いたいと思っています。これをダイレクトにやりとりするのが、いわゆる純広告となるわけですが、それには課題が発生します。

広告主にとっては良質なメディアを見つけるのが大変ですし、広告費もメディアによってまちまちです。広告による効果も相対的に比較するのが難しいのも問題です。

かたやメディアとしては、広告を出して貰うまでの営業が大変で、PVなど広告料金に関わるものが変動することに対して広告費の柔軟性が持てないのが問題となっています。

そこで登場するのがアドネットワークです。広告主とメディアの目的を遂行しつつ、課題をクリアするのがアドネットワークやAd Exchangeなどです。

アドネットワークは、広告主と複数のメディアを繋げる役割を担っています。その中でAd Exchangeは、枠重視からユーザー重視へ移行しているそうです。

もう少し詳しくAd Exchangeについて説明しましょう。

広告主はAd Exchange対してimpression課金(impごとに広告費を支払う)を主な出稿方法としています。一方でメディアはAd Exchangeに対して最低入札金額を設定することができます。これにより、出稿側とメディア側の双方のニーズを満たすマッチングが実現します。

さらにAd Exchangeの派生としてDSPやSSPが誕生しています。広告主はDSPにお金を支払い、その広告がAd ExchangeやSSPに流れ、複数メディアに配信されるのです。

このようなシステムにより、スマホのアドネットワークを通して、効率良く大量の広告出稿ができるようになりました。

加えて、リアルタイムビッティングにより、スマホの広告は更に進化しています。

SSPから得たユーザー情報を複数のDSPに送ることで、それぞれのDSP社がその広告を値段付けします。SSPは最も高い値段を付けたDSP社を選びます。これがリアルタイムビッティングの基本的な仕組みですが、これにより効率的な広告配信が実現しています。

このようにネットワーク広告により、アプリデベロッパーは簡単に収益の最適化を実現することができます。結果、デベロッパーはコンテンツ作りに集中できるので、より上質なコンテンツを世に出すことができるというわけです。

広告主にとっても良質の広告枠を自動的に確保することができます。ユーザーに対しても、そのユーザーにとって良い広告の表示、つまり良いインターネットコンテンツの提供ということになります。このようにアドネットワークを通じてのエコシステムが構築できているのです。

湯本氏に続いて、同社村田興平氏によるGoogleのネットワーク広告であるAdMobの話です

【レポート】Google主催イベント「今さら聞けないネットワーク広告基礎」でスマホアプリの収益最適化を学ぶ

アプリのマネタイズ方法としては現在、有料アプリのパブリッシング、アプリ内課金、広告、月額課金などがあります。

現在はダウンロードされているアプリの90%は無料アプリで、グローバルでのアプリダウンロード数は年々増えていると言います。

アプリ内課金をするモバイルユーザーの割合は2.3%というデータもあり、ゲームアプリにおける課金と広告のグローバルの市場規模はほぼ同じになっているそうです。

ただこれが非ゲームアプリとなると、より課金に対して広告は約4倍の市場規模を誇っています。

広告がアプリにおいて重要であることが分かります。

AdMobを使って広告のマネタイズすることについての利点としては、まず世界約200カ国に、現地の言語に合わせた広告を配信することができるという点です。つまり、グローバル展開しているゲームアプリがある場合、AdMobを使えば現地に合わせた広告が自動に配信されるわけです。

次に豊富な広告フォーマットに対応している点です。

スマホ広告は、バナー、インタースティシャル、ネイティブ、動画リワードなど、様々なフォーマットがあります。

その中でもインタースティシャルは高い収益性があり、実装が簡単で注目されています。

実際にインターステイシャル広告を新たに導入した場合、平均で20%広告収益が増加しているそうです。インターステイシャル広告の問題点としては、インパクトが強いのでユーザーに嫌悪されてしまう可能性というものがありますが、広告を見ても良いという人のみに見せることで、この問題を回避することができます。

さらに、インタースティシャル広告については、どのタイミングで出すかも大事です。

例えば、ゲームアプリにおいて、ステージクリアと次のステージ開始の切り替え時に広告を表示する、またはゲーム内の可愛いキャラクターが広告を持ってきて、それをユーザー自ら広告を表示させる、というように、ゲームの進行を阻害しないようにうまく親和させる、ということも考える必要があるでしょう。

次にネイティブ広告について。

これはアプリのデザインに溶け込ませることで、アプリやゲームの雰囲気を壊さずに広告を表示させることができる広告フォーマットです。

バナー広告の場合は広告主が用意した広告をそのまま表示させるのに対して、ネイティブ広告は、広告の要素を取り出し、カスタマイズして展開することができます。

例えばニュースサイトに表示する場合、ネイティブ広告あればニュース各記事へのリンクの間に同じデザインで配置することができます。これによりユーザーが広告を見たときのデザインの違和感を払拭することができるわけです。

さらに実装事例が増えている動画リワードです。

これは動画広告を視聴することで、ユーザーが何かしらのアプリ内報酬を得ることができるというものです。

例えばゲームであれば、ゲーム内のコインやポイントなどがもらえる、というのが一般的な使い方です。これはユーザーにとっても直接的な報酬があるので受け入れられやすく、そのため広告主から見れば見られやすい広告ということになります。

動画リワードはユーザーにとっても広告主にとってもメリットの大きい広告と言えます。

最後にAdMobメディエーションとフィルタの話。

メディエーションとは、AdMob、他社広告ネットワーク、自社広告など、複数のソースの広告をアプリに配信できる機能です。複数の広告を入れる利点は、広告の在庫切れを防げるということです。また自動的により高いCPMを出す広告に切り替えられるので、効率的に収益アップを図ることができます。

AdMobにはフィルタ機能もあり、ブロックすべき広告を簡単にブロックすることができます。これにより、競合アプリ(サービス)の広告、特定のカテゴリの広告など、サイトやアプリにそぐわない広告を排除することができます。

次に登壇したのは、メディア側として弊サイト代表の加藤です。加藤は、メディアからみた広告のトレンドを解説しました。

【レポート】Google主催イベント「今さら聞けないネットワーク広告基礎」でスマホアプリの収益最適化を学ぶ

モバイル広告は、トレンドがバナーからアイコン広告へ移り、今は動画リワードが主流となっています。アイコン広告はほぼ見なくなりましたが、バナー広告は未だに現役とのこと。現在は動画広告がトレンドですが、加藤は、次の展開としてはプレイアブル広告が徐々に台頭するのではと予想しています。

続いて現在トレンドの動画広告について解説しました。

動画広告は見ていて楽しい広告が作りやすく、効果も大きいのですが、その分広告の制作にコストがかかるという側面もある、と加藤。

ユーザーにもメリットがある動画リワードなどは見ることに抵抗が少ない、といいます。この動画広告をいかにうまくスマホゲームに親和させるか、見たい広告、世界観を壊さない広告への工夫がポイントと言えるでしょう。

続いて、中国のゲーム市場についても言及。

中国のゲーム市場は約3.5兆円あると言われています。日本のゲームデベロッパーは特殊な市場である中国に対応しきれず、一度撤退をしていますが、今は第2次進出として、中国展開する日本タイトルが増えてきている状況です。

中国のパブリッシャーと手を組むことにより、日本デベロッパーの金銭的なリスクもほとんどなくなりました。日本デベロッパーにとって中国に進出しない理由がなくなってきています。

中国では日本産ゲームの人気も高く、グラフィック面でいえば欧米よりも親和性が高いため受け入れられやすいという土壌があります。文化的にも近いものがあり、ローカライズも難しくないのが特徴です。

是非積極的に中国展開を考えて欲しい、と述べて、セッション終了となりました。

 

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著者:岡安学(オカヤスマナブ)
デジタルライター/Allaboutデジカメガイド
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。
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