ChinaJoyに参加すべきか?日本のアプリゲーム開発者向け「Chinajoyのススメ」
著者:堆朱
ChinaJoyはデジタルコンテンツを扱うイベントとしては中国最大のイベントで、PCオンラインゲーム・スマートフォンゲーム・コンソール・VRなど幅広いジャンルの製品やゲームが展示されます。
既にChinaJoyについては数多くのイベントレポートが報告されていますが、この記事では日本国内を中心に活動するモバイルのゲームディベロッパーさんが、ChinaJoyに参加した場合に何が得られるのか、という視点からイベントレポートをお届けいたします。
広大なChinaJoyの会場!BtoBとBtoCの概要
会場は大きく分けて2つのゾーンで構成されています。
企業向けの展示を行うエリアと、WMDC (World Mobile Digital Conference)から成るB to Bエリアは、アドネットワークやゲームプラットフォーム、中国国内国外へのアプリ展開を支援するパブリッシング事業社を中心に、アプリの事業拡大を目的としたサービスの展示が主でした。
B to Cセクションでは、一般客向けに実機体験やライブイベントなどが行われていました。日本で開催される東京ゲームショウの一般公開日によく似た雰囲気です。
B to Bセクションの出展社の特徴と参加者の意図
中国での提携先を探すには絶好の機会
出展社の大半がパブリッシング、ゲームプラットフォーム展開、アドネットワーク、ミドルウェア開発などの会社で構成されていました。
ゲームディベロッパーも出展していましたが、ほとんどが大規模な予算などを持っている開発会社であったことも印象的でした。会社やサービスの規模感を世界中から訪れる来訪者に向けてアピールする狙いも含まれているのではないかと筆者は予想しています。
WMDCエリアをはじめ各所に海外ブースのセクションが用意されており、そこではインディゲームディベロッパーの展示も見ることができました。韓国・マレーシア・台湾がそれぞれのエリアを確保し、主に資金融資をしてくれるパブリッシング会社とのコネクションづくりや、グローバル展開をするにあたってのローカライズの委託先との接触を目的としているようでした。
日本のゲームディベロッパーにとってもChinaJoyは中華圏展開のための提携先開拓の場として非常に有益です。中国の有力なゲーム関係事業者が集まるChinaJoyは、中国展開を狙うのであれば是非利用することをお勧めします。
現地の現況や展開方法など、リアルで旬な情報を集められる
当たり前のことですが、百聞は一見にしかず。直接話を聞けることは何よりも重要です。
例えば中国ではGoogle Playへのアクセスができないため、Androidでの展開を検討する際は3rd Party Storeでのリリースが必要となります。ChinaJoyには、Baidu、Tencent などのプラットフォーマーの出展も多く見られ、彼らから直接現地のストア状況などを聞く絶好の機会です。
近頃はWeChat上でユーザーにゲームを楽しんでもらうために、WeGameに対応したHTML5で開発するディベロッパーが非常に多くなっています。サービスを提供しているTencentから直に情報を得ることも可能ですので、中国現地の状況を知る意味では非常に有意義なイベントと言えそうです。
B to Cセクションの盛り上がり 中国のユーザーは何に興味を持っているのか
e-Sportsと日本のサブカルチャーの浸透
ChinaJoyが特に力を入れているB to Cエリアは、B to Bエリアのおよそ2倍の規模です。今年のChinaJoyで筆者が気になったポイントは「インフルエンサー」、「e-Sports」、そして「日本のサブカルチャー文化の浸透」です。
B to Cエリアは、長方形(マップで見た時のN1やN2)のホールを4分割し、1ホールあたり4つの出展社がブースを確保していました。
ブースごとに様々なイベントが催されていたのですが、特にライブゲーム実況を行う配信者(インフルエンサー)をメインに据えたイベントが多く行われていたように感じます。
イベントが行われている最中にも観客が積極的にインフルエンサーの写真を撮影し多くの人だかりができるなど、中国では彼らの影響力が非常に大きいことを物語っていました。
また、ゲーム実況者がゲームをプレイしている画面をモニターに投影したり、参加者が実際に対戦している様子をモニタリングしたりと、e-Sportsが彼らの生活に深く入り込んでいる様子もうかがえました。
そして何より、中国国内でも日本のサブカルチャーが浸透していることを目の当たりにした出来事があります。それは、現地のアイドルユニットと思われるグループが各出展ブースのステージでライブを行っているなかで、日本語でパフォーマンスを行っているグループをいくつかのステージで見かけたことです。ステージの付近には多くのお客さんがサイリウムを振りながら応援している姿からも、そのパフォーマンスが地位を確立していることがとても印象的でした。
日本でもなじみ深いバンダイナムコ社のブースをはじめ、スマートフォンゲームのタイトルが多く展示されている様子からも、中国のサブカル文化が強く日本の影響を受けている状況を垣間見ることができました。
日本のアプリゲームディベロッパーにとって、「中国にアプリを展開する際に、武器となる材料は何か」という視点においては、日本の特徴でもあるサブカルチャーや彼らが熱を上げているe-Sportsが、ヒントになるのではないでしょうか。中国のゲームファンが何に熱狂しているのか、そして日本ディベロッパーの中国市場での強みは何かを知ろうとするときに、ChinaJoyのB to Cエリアは非常に参考になるはずです。
最後に
ChinaJoyは規模の大きさから、大手企業を中心に出展している傾向にあります。パブリッシング事業者や3rd Party Storeとのコネクション作りといった明確な目的がある場合は、出展にも意義があると言えそうです。
ただインディゲームディベロッパーの場合は単一企業としての出展ではなく、今回のJETROブースのような組織立った日本ブースを構成することで、来訪者や他の出展企業の目にも留まりやすくなると思われます。
またChonaJoyでは英語が通じにくい場合もあるので、中国語を話せるスタッフか通訳を雇ったうえでコミュニケーションを図ることが必須となる点は要注意です。
出展せずとも、中国の熱量や文化を知り、次の展開に対するヒントを得るという視点ではChinaJoyは非常に有意義なイベントであると言えるでしょう。
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