4.3リジェクト対策を考える【脱出ゲーム開発者向け】コンテナアプリのメリットと、脱出ゲームの種類について

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先日iOS AppStoreの4.3リジェクトに関する記事を公開しましたところ、大きな反響をいただきました。

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これは問題だとする賛同のご意見と、Appleの方針が嫌ならiOSでわざわざアプリを出す必要は無いのでは?という反対のご意見とがありましたが、数としては前者が多いように思われます。

ただ敢えて申し上げれば、「AppStoreはAppleがその方針を決める」というのは全くもって正しいのであって、法令や倫理に反していない限りは、Appleがその裁量で掲載するアプリを選択するのは当然の事といえます。
いや、もうちょっと汲んでくれよ・・・とアプリデベロッパーが思ったとしても、年間99ドル(=AppStoreデベロッパープログラムの年会費)の価値をAppleが提供しているのであれば、それ以上は致し方無いというのが現状であって、それは間違ったことではありません。
AppleにしろGoogleにしろAmazonにしろ、プラットフォーマーはプラットフォームを作ったというその1点の功績でもって、そのプラットフォームを自由にできるのです。

「3Dの脱出ゲームはどれも似ている」
「ガワだけ変えて量産しているのではないか」

という感想は、Appleのみならず、世間一般の方もある程度持っているのが現実です。
実際に開発してみるとそんなことはない、という意見を筆者はよく理解できますが、ここで問題になるのは「世間一般から見てどう見えるか」ということです。
冷静に見れば「似ている」という意見に対する絶対的な反論は無いことに気が付きます。

さて前置きが長くなりましたが、この記事では脱出ゲーム開発者向けに「4.3リジェクト対策」について色々と考えてみたいと思います。
魔法のような抜け道はご提示できませんが、何らかの参考になれば幸いです。

※追記
筆者がAppleの4.3リジェクトの在り方を支持しているわけではないですよ。かなりダメだろうApple...と思っています。ですがリジェクトは(なんか理由がスパムとか適当な気がしたとしても)、Appleの正当な権利でもある、ということです。

対策その1 コンテナアプリ化

結局そこか!と思った方もいるでしょう。
Appleも推奨しているコンテナアプリ化です。
コンテナアプリ化とは、脱出ゲームの目次的なメニューアプリを作り、新たな脱出ゲームはバージョンアップで追加公開していく、というものです。

今までのように単発のアプリで脱出ゲームをリリースするのと比べて、新規アプリではないことによるPR方法の変更や、コンテナアプリそのもののメンテナンス、DLさせる機能のコントロールなど、開発の負荷は増えそうな気がします。
※このあたりって実際はどうなんでしょう?具体的にご意見をいただける方がいらっしゃいましたらコメント欄お問合わせページなどからお知らせ頂けますと助かります。

しかしコンテナアプリにはメリットもあります。
それは「固定ファンを捕まえておくことができる」というものです。

例として「ファンキーランド」の「フルーツキッチン」というタイトルをご紹介しましょう。

フルーツキッチン No03 ネーブルオレンジ (1)

フルーツキッチンはステージ型の脱出ゲームです。プレイヤーは部屋の中にあるフルーツを探して部屋から脱出します。1つ1つのステージはかなりのボリュームが有ります。
フルーツキッチンではリリース時にはステージは一部が公開されていて、その後随時1ステージずつ追加される形式でした。ユーザーはアプリから来るプッシュ通知を見てステージの追加に気付き、新たなステージをプレイする、という感じです。
おそらく意図したわけではないと思いますが、結果としてコンテナアプリに近い形になっています。

フルーツキッチンは非常に多くのユーザーに支持された人気の脱出ゲームです。SQOOL.NETにも最後のステージ27の攻略記事まで多くのアクセスがありました。つまり最後のステージが公開されるまで、多くのユーザーがアプリを消さずにいたということです。

優れた脱出ゲームであれば、このように1つのコンテナアプリで長期間ユーザーを捕まえておくことが可能です。これはコンテナアプリの大きなメリットです。優れた脱出ゲームデベロッパーさんにとっては、このようにステージ開放型の脱出ゲームの方がアプリの寿命が長くなり、開発サイクルにも余裕が出るのではないか、というのは筆者がかねてから考えていたことでもありました。

フルーツキッチンは1つの大型の脱出ゲームを順次更新してステージを増やしていく形式ですが、メニューアプリ内で脱出ゲームタイトル自体を増やしていくことも可能でしょう。
遊んでさえ貰えればウチの脱出ゲームは面白いはず!という脱出ゲームデベロッパーさんにこそ、コンテナアプリはおすすめです。

ファンを保持できる以外にもコンテナアプリにはメリットがあります。

その1つはプッシュ通知を有効に使えることです。1つのアプリを更新していくのであればユーザーにプッシュ通知で新着を知らせることができます。
新規のアプリであればストア内のASO対策や新着のランキングの上位を狙う等が必要でしたが、コンテナアプリが一定数ダウンロードされればプッシュ通知でファンに更新を知らせれば良いという事になります。うまくいけばこちらの方が運用負荷が低く、リターンも計算しやすくなるでしょう。

更にコンテナアプリが育っていけば、1DLあたりの収益額も増え、広告出稿ができるようになるかも知れません。これも大きな魅力です。
今までは広告出稿に対しては単体の脱出ゲームアプリの収益性を見なければなりませんでしたので、脱出ゲームの場合は広告出稿というのはなかなか難しいものでしたが、コンテナアプリであれば可能になるかもしれません。

対策その2 種類の違う脱出ゲーム

今(2017年10月現在)は3Dグラフィックスの脱出ゲームが全盛です。その多くは中規模のストーリー型(ステージクリア型ではないタイプ)の脱出ゲーム。3Dでモデリングされたきれいなステージと、程よい長さの謎解きは、ユーザーからも支持されているように思います。

しかしかつてはスマホアプリの脱出ゲームにも色々な形態がありました。似ていることが問題ならば、かつて人気を博した脱出ゲームを参考に、違う種類の脱出ゲーム開発に挑戦するのも4.3リジェクト対策の1つになると思います。

ここで大事なのは、ゲームシステムが同じまま、例えば3Dグラフィックスを2Dのアニメ絵に変えてもおそらくダメだろう、ということです。
或いは見た目さえかなり変えてしまえば4.3リジェクトには引っかからないかもしれませんが、それこそスパム的なアプリ制作になってしまいますので、そうではなくてゲームシステムが異なる脱出ゲームの種類を把握することが大事だと筆者は考えています。
※この考えは筆者のものですので、採用するかはよく検討してくださいね。グラフィックを大きく変えて同じシステムで多面展開して高速開発したほうが儲かる、ということは可能性としてあり得ます。ただそれをAppleがスパムとみなす危険性もあると筆者は考えています。

以下、過去に人気があったものを中心に、脱出ゲームの種類の例をご紹介します。

ストーリー型の脱出ゲーム

現在全盛の3Dグラフィックスの脱出ゲームは中規模のストーリー型が多いようです。
明確なストーリーは無く、「何故か部屋に閉じ込められた!」というものから、長編ストーリーのものまで幅広く存在します。

これはSato Goro氏の「Ducks」。
現在多いのはこのタイプの脱出ゲームです。

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こちらはSEECの「実験病棟からの脱出 都市伝説」。
SEECさんの脱出ゲームは凝ったストーリーの長編が多いのが特徴です。
タイトルごとに様々な工夫が凝らされており、是非参考にしていただきたい脱出ゲームデベロッパーの1つです。

絶対に押すな3 (26)

こちらは「絶対に押してはいけない」シリーズ。
ヘタウマな絵と「押すなと言われると押したくなるボタン」を用いたジョークの効いたストーリーで人気を博しました。

ショートステージ型の脱出ゲーム

単発の謎解きを繰り返すタイプです。100ステージまであるものなどもありました。若干作成の負荷が高そうですが、サクサクと解けるステージが大量にあるのでスキマ時間のお供にしていた、というユーザーも多いでしょう。
最初に20ステージだけ公開しておいて、その後定期的に10ステージずつ追加していく、なども可能なタイプです。

こちらは言わずと知れた58 WORKSの「DOOORSシリーズ」。
アプリ脱出ゲームの礎を築いたとも言える超有名シリーズです。

インコ 002

筆者が個人的に好きな「インコ脱出」。
女性向けの絵柄ですね。

ピクセルルーム2 攻略 (27)

ドット絵の「ピクセルルーム」。
ドット絵のゲームは30代以上を中心に根強いファンがいて、周期的に流行るのが特徴です。そういえば最近はしばらくドット絵は出てない気がしますね。
※再度ドット絵脱出ゲームが流行るかは不明、着手する際はよく検討してくださいね。

RPGタイプの脱出ゲーム

大作が多いRPGタイプの脱出ゲーム。大変な人気になった「勇者やめるシリーズ」や「ナイトメアランド」など、名作も多いのがこのタイプ。
開発には労力が掛かりそうですが、しっかり作り込めば長くユーザーに遊んでもらうことができます。
ナイトメアランドは数年前のタイトルですが未だに攻略記事にアクセスがあります。すごい・・・!

それでもやっぱりあいつ勇者やめるって 攻略 (51)

それでもやっぱりあいつ勇者やめるって」。
見た目は本当にRPGですが脱出ゲームです。かなり難易度が高く、多くのユーザーが悩みながらクリアしたと思われます。

ナイトメアランド ナイトメアキャッスル3 (6)

超ヒット作となった「ナイトメアランド」。
かなり昔の作品ですので収益化の手法も限られていますが、今なら多様なマネタイズが可能なはず。

事故でSQOOL.NET内の攻略記事が消えてしまっているのですが、こちらは「黒猫は勇者の夢を見るか?」という脱出ゲーム。マップもかなり作りこんである大作です。

このタイプはここ数年出ていない気がしますね。
作成負荷が高いことと、ライト層を取り込みにくいことが理由かと思いますが、コンテナアプリにまとめて、長期的なファン獲得を狙うのであればこのタイプはおすすめの1つです。

その他にも色々ある

その他にも脱出ゲームの形態は色々あります。最近ではVR対応などもありますね。かつてはスマホを振ったり傾けたりするギミックの脱出ゲームもありましたね。
細かなものを上げていくと脱出ゲームの種類はかなりたくさんありますのでここでは割愛しますが、

筆者としては

『新たなタイプの脱出ゲーム開発にチャレンジするなら、過去に人気になったタイプのものを、今風に調整してリリースする』

のがおすすめです。

かつて流行ったものはまた流行る可能性がありますので、全く新規のものよりもリスクは低いと思います。
品質が十分に高いというのが前提になりますが、過去の大作をプレイしてみるのは4.3リジェクト対策のみならず、面白い脱出ゲームを開発する大きなヒントになると思います。

「ある程度労力を掛けてくださいね」という結論になったような気もしますが、脱出ゲーム開発者の皆様の参考になりましたら幸いです。