ADFULLY主催「脱出ゲームアプリ限定 広告マネタイズセミナー」レポート

 取材 
  公開日時 

著者:管理人

「脱出ゲーム」が好き!という方は多いのではないでしょうか。「ゲーム攻略!SQOOL.NET」の中でも脱出ゲームコーナーは人気のコーナーの1つ。男女を問わず幅広い層から人気があります。

スポンサーリンク

脱出ゲームはシンプルなゲーム構成が可能なことから、個人や小規模な開発事業者でも取り組みやすいという特徴があります。
スマホとの相性も良く、Google、Appleの両アプリストアでは日々多くの脱出ゲームがリリースされています。

しかし一方で、脱出ゲームの収益性は高くないといわれており、ゲーム開発者にとっては収益の確保がひとつの課題と言えます。

この「脱出ゲームの収益」の問題について開発者はどのように取り組んでいくべきでしょうか。
この記事では、4月14日に開催された「脱出ゲームアプリ限定 ~広告マネタイズセミナー~」のレポートを、主に脱出ゲーム開発者向けにお届けいたします。

ADFULLYの脱出ゲーム担当、池田氏が語る脱出ゲームの収益向上のポイント

今回の勉強会を主催したADFULLYは「アドフリくん」という、アプリ内に広告を配信するサービスを提供しています。
そのアドフリくんの「脱出ゲーム担当」である池田氏が、脱出ゲームの収益向上のポイントについて語ってくれました。

脱出ゲームは収益性の向上が課題

脱出ゲームは開発期間が短く、また固定のファンが多いためノンプロ(宣伝無し)でもDLされやすいという特徴があります。
短い期間で開発ができDL数を稼ぎやすい脱出ゲームは、個人や小規模の開発事業者にとって良いジャンルといえます。

しかし山田氏も「脱出ゲームは1ダウンロードあたりの売り上げが低くなりやすく、収益性の向上が課題」と指摘します。

1DLあたり3円~10円といわれる脱出ゲームの収益性を、1DLあたり20円に上げることができれば、10万DLで200万円の売り上げが達成できることになります。
個人や小さな開発事業者にとってはかなり魅力的な数字です。

10万DLってそれなりに広告費を使わないと実現できないのでは?

と思う方もいると思いますが、脱出ゲームは固定のファンが多いことから、ノンプロ(宣伝無し)でも10万DLが実現可能。

「ヒット作を1つ出せれば、その後のリリースでもランキング上位に入る可能性が高くなる」
と池田氏。

※アドフリくん脱出ゲーム担当の池田氏

脱出ゲームにおける広告マネタイズのトレンド

脱出ゲームは、ヘッダー、フッターに設置するバナー広告でのみ収益化されているというケースも多く、クリア後にすぐアンインストールされてしまうこともあって、どうしても収益性が低くなりがちでした。

しかし池田氏によると、最近では従来型のバナー広告は徐々に減ってきていて、動画リワードやパネル広告が増えてきているとのこと。

動画リワードは「動画広告を見るとなぞ解きのヒントが見られる」というふうに設置されていることが多く、
パネル広告(ネイティブ広告)はゲーム内のテレビ画面や、壁の張り紙などに設置することができ、
いずれもバナーと異なりゲームの面を汚さないのが特徴です。

インタースティシャル・インタースティシャル動画も収益性が高く、これらはステージタイプの脱出ゲームのステージとステージの間に差し込む、などが自然な実装方法として考えられます。

収益性が高い新タイプの広告フォーマット

動画リワード、インタースティシャル、パネル広告などの新しいフォーマットの広告は、従来型のフッター・ヘッダーに配置するバナー広告よりも収益性に優れています。

さらにパネル広告(ネイティブ広告)においては動画タイプのものも出てきており、より高い収益性が実現できる可能性があります。

実際の搭載シーンはこちらを確認ください

アドフリくんではこれからも担当の池田氏が主体となって、脱出ゲームの収益向上をしっかりとサポートしていくとのこと。
脱出ゲーム開発者で収益性にお困りの方は、是非アドフリくんに相談してみてください。

同世代が語る!製作過程から広告マネタイズ!

実際に脱出ゲーム開発者はどのように脱出ゲームを開発しているのでしょうか。
順調に脱出ゲームの収益を伸ばしている「ナカユビ・コーポーレーション」の山口氏と、「ふらる」の竹内氏が実情を語ってくれました。

株式会社ナカユビ・コーポレーション山口氏

2013年、大学在学中にに友人とiOSアプリの開発をはじめ、2014年に初アプリをリリース、2016年にナカユビ・コーポレーションを設立。
今年に入ってから3DCGを使った脱出ゲームの開発を開始したという山口氏。

代表作は「卒業式後の教室からの脱出」と、「White Day 彼女の部屋からの脱出」の2作。
卒業式後の教室からの脱出は約16万DL、White Day 彼女の部屋からの脱出は約11万DLをノンプロ(広告無し)で達成。

株式会社ふらる竹内氏

2013年大学卒業後、整体師になり、同年ネット回線販売の会社を設立、2015年にネット回線販売の会社を休業しアプリ開発を始めた、という異色の経歴を持つ竹内氏。
脱出ゲームの開発を始めたのは2016年3月からで、2017年3月に株式会社ふらるを設立。

代表作は「書道教室」と「- Bathroom - 景色の良いユニットバスからの脱出」。
書道教室は約30万DL、- Bathroom - 景色の良いユニットバスからの脱出は約11万DLをノンプロ(広告無し)ンで達成。

脱出ゲームアプリの開発を始めたきっかけは?

まずはお二人が「脱出ゲームアプリの開発を始めたきっかけ」について語ってくれました。

山口氏
「1つは、AppStoreの中でも圧倒的にユーザーの関心度が高いことです。AppStoreの人気検索のワードに、週に数回脱出ゲーム関連のワードが入ってきていますので、ユーザーの関心度が高いジャンルだと思っています」

山口氏
「脱出ゲームのDL単価が低いという点にも注目しています。これはデメリットにもなりますが、大手の法人が参入してこないということでもあるので、個人デベロッパーでもチャンスがあるジャンルだと思っています」

竹内氏
「僕は元々経済学部で開発とは関係のないところにいたんですが、某掲示板のスレで、脱出ゲームの開発は簡単だよ、みたいなのを見て、鵜吞みにしました(笑)」

脱出ゲーム開発の流れ

2人で開発しているというナカユビ・コーポレーションさんは、およそ10日で1本の脱出ゲームを仕上げるとか。
かなり早い開発ペースのように思われますが、2人で開発することで、3DCGの作成とコーディングを並行して進められる点が高速開発のポイント。
コーディングもなるべく再利用ができるコードを書くようにして、負荷軽減を図るなど、開発速度にはかなり留意している様子。

一方で基本的に1人で開発しているふらる竹内氏。(※UIだけ別の方が担当)
「ちゃんとやる気が出ている場合」はおおむね1本の脱出ゲーム開発に30日くらいかけているという。

開発するのに最も大切なのは「パソコンの前に座ること」という竹内氏。
その気持ちは筆者もとてもよく分かります・・・!

脱出ゲームを作る時に注意しているポイント。

小物こそ時間をかけてデザインしている、という山口氏。

※「卒業式後の教室から脱出」のワンシーン

山口氏
「細かいところまでリアルにできていると、ユーザーに良い第一印象を与えることができると思います」

山口氏
「差別化のポイントとしては、まだ試行錯誤の段階ですが、ストーリーを導入しています。共感するという意味でストーリーがうまくいくとストアのレビューも良くなります。
逆にストーリーがうまくいかないと、低い評価が付くこともあります」

一方で、「プレイヤーが迷わないようにする」ことに注意しているという竹内氏。

※「脱出ゲーム - Bathroom - 景色の良いユニットバスからの脱出」のワンシーン

竹内氏
「例えば部屋にあるギミックが全て4桁の暗証番号だったら、4桁の数字が分かってもどのギミックに入力したら良いかユーザーには分からないですよね」

竹内氏
「その他にも例えば、ペンを手に入れたらペンは文字を書くものだと思いますよね。ペンをスイカに刺したらスイカが割れるというギミックがあったとしたらユーザーは迷いますよね」

脱出ゲームの収益性について

こちらはナカユビ・コーポレーションさんの収益の変化のグラフ。
赤枠で囲っている部分が脱出ゲームを出してからの収益ですが、大きく伸びているのが分かります。

ナカユビ・コーポレーションの脱出ゲームの広告の収益性(eCPM)は

フッターバナー:約160円
動画リワード:約1,100円
パネル:約73円

山口氏
「パネル広告の収益は全体の15~20%程度あり、やはり収益を考えると入れた方が良いと思います」

パネル広告は引きのシーンに小さくても良いので置くようにすると表示回数が多くなり、小さなeCPMでも収益は大きくなる、と山口氏。
何度も見られるシーンにテレビがある、などうまくパネル広告を置けそうな場合は是非置いてみたいですね。

ふらるの竹内氏の方も近いところで収益が大きく上がっています。年末に「書道教室」をリリースした際は過去作もDLされ収益が底上げされたとのこと。

ふらるの脱出ゲームの広告収益性(eCPM)は

フッターバナー:約160円
動画リワード:約1,200円

竹内氏
「動画リワードは(ヒントを見るためのものなので)脱出ゲームの難易度が低いと収益比率も下がる傾向にあります。ただ、ヒントを見せるための理不尽な問題は作らないようにしています」

動画リワードと上下のバナーでマネタイズしている竹内氏の場合は、バナーの誤タップを誘発しないように、画面と広告の間に空白を設けるなど、UI部分に工夫をしているそう。
今後はパネル広告にもチャレンジしたい、とのことでした。

AppStoreで上位にランクインするには?

AppStreで上位にランクインすれば大きなDL数を得ることができます。上位ランクインのコツについてお二人が次のように語ってくれました。

山口氏
「『脱出ゲーム』というワードは確実にタイトルに入れるようにしています。脱出ゲームの人気はすごく高いのでユーザーの注目を得ることができます」

山口氏
「その他ストアからユーザーに対して訴求できるのは、アイコンやスクリーンショットなどですので、それらはモデリングした中で一押しのものを厳選して掲載するようにしています」

竹内氏
「ストア内の検索で引っかかるようになるまで1日くらいかかります。だから、土日にランキング上位に行けばいいな、ということで水曜日にリリースするようにしています」

脱出ゲーム攻略サイト「iPhoroid」松本氏が語る脱出ゲームのヒットの傾向

数々の脱出ゲームを攻略してきた、脱出ゲーム攻略サイト「iPhoroid」の松本氏。その豊富な経験を元に、「ヒットする脱出ゲームの傾向」について語ってくれました。

脱出ゲームヒット作の傾向

ユーザーへのファーストインプレッションになるタイトルの付け方はとても重要、と語る松本氏。

松本氏
「特別な理由が無い限りは『脱出ゲーム』のワードをタイトルに入れるのが良いですね」

松本氏
「『トイレからの脱出』『風呂場からの脱出』のような安易なタイトルにするとユーザーへのインパクトも薄く、検索にもかかりにくいので避けるのがおすすめです。
『春休み中の民宿からの脱出』『ポットン便所からの脱出』『極寒のかまくらからの脱出』のように少しひねると印象に残りやすいと思います」

他に重視すべきと語る点は以下の通り。

・快適な操作性

・クリックポイント→小さすぎるタップポイントなどは避ける

・ヒントとなる図形や暗号は極力拡大できるように

・BGMよりSE重視で

・知識問題はNG→知らなければ解けない問題は避ける

・ヒント機能→段階的なヒントの仕組みはユーザーにも親切で、マネタイズポイントになる

オマケややり込み要素を設けることでユーザーの稼働日数を伸ばすことができるという提言や、適切な広告の設置などが大切、というアドバイスがありました。

筆者も数々の脱出ゲームを攻略してきましたが、見解は松本氏とほぼ同じ。
ユーザーが謎解きの気持ちよさに専念できるようにし、そして素敵なタイトルを付けていただくのがヒットのポイントですね。

SPiNE GROOVE さんから「音楽」の提案

最後に、音楽素材の提供などを行うSPiNE GROOVEさんから、脱出ゲームへの「音楽」の提案。

脱出ゲームはSE(効果音)の比重が大きいのは確かですが、プラスアルファの要素としてより音楽を適切に活用することができるのでは無いか、というのがSPiNE GROOVEさんの提案。

会場では実際に脱出ゲームに音楽を合わせたデモンストレーションもあり、確かに適切な音楽の挿入は脱出ゲームの世界観をより良く高めるものでした。

密室感のある脱出ゲームは静かでクラシカルな音楽が個人的には好きですが、例えば「祭りからの脱出」「牛丼屋からの脱出」のように、日常間のある舞台での脱出ゲームは、音楽によってさらに差別化をすることができそうですね。

SPiNE GROOVEのサービスは、今後SQOOL.NETでご紹介予定です。「脱出ゲームに素敵な音楽を乗せたい!」と思っている開発者の皆様は楽しみにお待ちください。

「脱出ゲームアプリ限定 広告マネタイズセミナー」を終えて

脱出ゲームは、アプリゲーム開発者にとって開発負荷が低いことから登竜門的なジャンルといます。
かつ、男女を問わずファンが多く、深く愛されているジャンルで大きなDL数が獲得できる魅力もあります。

ノンプロ(広告無し)でも良いゲームであれば個人でも十分に勝負ができる、というゲームジャンルは多くありません。

脱出ゲームが健全に発展していくことは、日本で個人や小さなゲームデベロッパーが増えるということにつながる可能性があります。これはゲームファンにとっては面白いゲームが数多くリリースされる、ということ意味します。
SQOOL.NETもゲームメディアとして是非その良い流れを作っていくお手伝いができればと思っています。

そのようなことを考えながら、この記事ではなるべく発言者の空気感まで伝わるように、若干長文が多くなりましたが、雰囲気を重視して各レポートを作成しました。

アドフリくんでは今回に続き第2回目の開催も予定しているとのこと。今回のセミナーに参加できなかった脱出ゲーム開発者の皆様も是非次回ご参加いただければと思います。
正しく収益を上げ、より良い脱出ゲームをリリースしていただくことを、筆者含めゲームファンは望んでいます。