【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

 取材 
  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

1月末に開催された台北ゲームショウ。日本から近い台湾での開催ということもあり、また台北ゲームショウは海外デベロッパーへのサポートが厚いということもあり、特にインディーゲームデベロッパーの皆様に出展をお勧めしたい海外ゲームイベントの1つ。

スポンサーリンク

まだ台北ゲームショウへ出展したことが無いインディーゲームデベロッパーの皆様は是非来年の出展をご検討いただければと思います。

と、いきなり言われても海外へのブース出展って不安ですよね。

費用はどれくらいかかるの?
中国語が分からないけど大丈夫?
何を用意して行けば良い?

などなど色々と疑問もあると思います。

そこで先月の台北ゲームショウに初めてブースを出展した「ナカユビ・コーポレーション」さんに、出展してみて感じたことを聞いてみました。気になるゲームデベロッパーさんは是非参考にしてください。

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ・コーポレーションは、日本を中心にスマートフォンアプリの脱出ゲームをリリースしているゲームデベロッパー。最近は中国語版、韓国語版などもリリースしており、今後の海外展開促進を見据えての台北ゲームショウ出展となりました。

ナカユビ・コーポレーション公式サイト

台北ゲームショウの出展サポートはどんな感じ?

ナカユビ・コーポレーション(以下「ナカユビ」):「ゲームショウの詳細については、申し込み後、主催者から英語のメールで送られてきました。開催日が近づくにつれて、徐々に細かい内容が送られてくるという形でした。質問等のやりとりも全て英語でしたが、問い合わせをすると、遅くても1日以内には返信をしてくれました」

台北ゲームショウは事前のやり取りも非常に丁寧だと感じます。筆者もメディアとして参加しましたが、不明点については何度かメールで質問をしましたが、毎回丁寧な返信を頂きました。
ある程度の英語は必須ですが、初歩的な英語が分かればGoogle翻訳を併用しながらなんとかなります。ちなみに主催者とのメールでのやり取りに関しては中国語は分からなくても問題ありません。

ナカユビ:「宿泊については、希望者に会場から電車で約20〜30分の立地にあるホテルを提供してくれます。しかし各チーム1人のみ無料なので、複数人宿泊する場合は別途料金が必要でした」

宿泊費の補助があるのは非常に大きなポイントです。利用するかどうかは自由ですが、1人で参加する場合は宿泊費は完全に無料になります。

ナカユビ:「B2B期間中に関しては、夜はイベントが多かったため食費はかかりませんでした」

台北ゲームショウ出展の経費はどれくらい必要?

ナカユビさんの実際の例を参考に、台北ゲームショウに出展する場合に必要な費用をざっくり見てみましょう。
尚ナカユビさんは3名で渡航していますので費用も3名分です。

ブース出展費用

ナカユビ:「出展費用は前金で振り込みました。その際、デポジット料金も一緒に振り込みました」(以下内訳)

B2B→Deposit : NTD5,000(5,000元)
B2C→Activity fee : NTD5,000(5,000元)+ Deposit : NTD5,000(5,000元)= NTD10,000(10,000元)

B2B、B2C共に5,000元のDepositは返してくれるので、出展費用は実質5,000元(約2万円)でした。

※B2Bだけの出展も可能。その場合Depositのみなので実質出展無料。

 宿泊費

1月24日〜1月30日、計6泊7日
3名
Airbnb利用

合計約90,000円

※上述の台北ゲームショウの宿泊補助を利用すればもっと安く抑えることも可能。B2Bだけの出展であれば2泊3日でOKなので更に安く。もちろん高級なホテルに泊まれば高くなります。

交通費

・航空券(羽田空港−松山空港)
約120,000円(3名分)
※成田空港-桃園空港のLCCを利用するなどでもう少し価格を下げることも可能。予算と現地のスケジュールで路線を選ぶのがおススメ。
※LCCを利用する際は手荷物に別途料金が発生することがあるので注意。

・出展物品費
チラシ、ポスター 18,000円

・台湾での出費
通訳 約30,000円(1月25日〜1月29日、計5日間 ※通訳事業者ではなく知り合いの紹介)
タクシーでの移動費、出展用の物品費、食費 約50,000円

合計費用(6泊7日)

約33万円(1人あたり約11万円)

ナカユビ:「私たちのチームは、今回3人(現地では通訳の方も含め4人)で参加して上記の出費になりました。参加する人数によっては、全体的にもっと安く抑えられるかと思います」

ちなみにメディアとして1人で参加した筆者の場合、航空券、宿泊、現地の食費交通費などを合わせると6泊7日で約75,000円ほどでした。

出展まではまだ、という方は例えば2泊3日で視察に行くのもおススメ。現地で贅沢をしなければ5万円くらいあれば足りるのではないかと思います。

※出展をしない場合は台北ゲームショウの入場券が有料ですのでご注意ください。

※台北市内はクレジットカードがそれなりに使えます。普及率は東京と同じくらい。現金も少し持っていた方が安心ですが、クレジットカードによっては現地のコンビニなどでキャッシングも可能です。

台北ゲームショウで楽しかったこと

ゲームイベントは出展者同士が交流できるのもポイント。多少言葉が通じなくても同じゲーム開発者という立場なので、すぐに打ち解けることができます。
デベロッパー以外にも多くのゲーム関係者が世界から集まりますので、色々な繋がりができます。是非積極的に交流しましょう!

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「B2Bでは、世界各国のディベロッパーと情報交換でき、様々なタイプのゲームをプレイできたので、良い刺激となりました。また人が比較的少ないB2Bでは、VRで遊ぶこともできました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「B2Cでは、やはり台湾の方と直接お話しできたことが一番楽しかったことです。昔から私たちのゲームで遊んでいてくださった方が、喜んでブースを訪れてくださった時はとても嬉しかったです。その他にもゲームのことや日本のことなど、たくさんの方々とお話しできる機会があり、台湾の方達はとても暖かいなと感じました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ゲームショウ以外で楽しかったこと!

台北は夜市が有名。イベント期間中で忙しいと思いますが、是非時間を作って近くの夜市に行ってみるのがおススメです。夜市は平日も開催されていて、毎日がお祭りのような感じ。屋台では地元のグルメを安く楽しむことができます。

ナカユビ:「ゲームショウはB2Bは17時、B2Cが18時に終わるので、その後は観光を楽しみました。その中でも、夜市はとても印象に残っています。縁日のような雰囲気で、おいしいグルメや買い物、ゲームを楽しみました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「B2Bの期間中のイベントでは、普段お会いすることのできない方々とご一緒でき、お話できたことがとても貴重でした。ゲームショウ主催のイベントでは、現地の通訳の方がいらっしゃったため、台湾の開発者の方とも問題なくお話を交わすことができました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

上の写真は台北Googleオフィスでのデベロッパー交流会の様子。台湾のデベロッパーはもちろん、韓国、中国などから多くのデベロッパーが集まりました。

ナカユビ:「またB2C期間中は一日中立ちっぱなしでしたので、疲れた体を労りに毎日マッサージに通ってしまいました。癒されたと同時に、痛がっている人を見るのも楽しかったです。台湾の方は、皆さん気さくで日本語を話せる方も多いので、不便なことは一つもありませんでした」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

台湾のマッサージは「痛い」という人と、「気持ちいい」という人に分かれる様子。安いのでまずは一度試していただきたい。

通訳は必要?台北ゲームショウで使われる言葉について

ナカユビ:「B2Bブースに遊びに来てくれる方は日本語がわかる方が多かったのですが、やはり英語の使用度が一番高かったです(英語>日本語>台湾語)」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「B2Cブースを訪れる方はほぼ現地の台湾人なので、台湾語の使用が基本でした。中には日本語を勉強しているようで、頑張って日本語で話しかけてくださる方もいらっしゃいました。英語やジェスチャーも混ぜればコミュニケーションは可能ですが、しっかりとプロモーションをしたい場合は、通訳は必須だと思います(台湾語>英語>日本語)」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

日本語が使える方が多い台湾。とはいえ主流は当然中国語(台湾語)です。ブースを出展する場合は中国語(台湾語)の通訳さんがいた方が良いのは間違いありません。
英語がバッチリ!という方は通訳無しでもある程度大丈夫でしょう。

ブース出展のために準備していったもの

《期間》1月25日〜1月29日、計5日間(B2Bが2日間、B2Cが3日間)

チラシ6,000枚(台湾語版)+1,000枚(英語版)

ナカユビ:「結果的にチラシは余ってしまったので、少し多く準備しすぎたかなと思います。台湾語のチラシは、B2Cの3日間で半分程配布しました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた 【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた 【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた 【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

A1サイズポスター 2枚

ナカユビ:「B2Bの展示用に作りました。ブースに貼ってみると余ったスペースが少し気になったので、横長のポスターやぴったりサイズのものを準備しても良かったかなと思います。過去の出展者のブースを参考にして臨むといいかもしれません」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ豚さんトレーナー

ナカユビ:「プロモーション用として、メインキャラクターの豚の写真をプリントしたパーカーを持って行きました。当初は着用する予定でしたが、暑かったので断念してブースに飾りました。販売用ではなかったのですが、購入を希望してくださる方もいらっしゃいました。後から聞くと、B2Cのブースでは販売しても良かった?みたいなので、販売用も用意しても良かったかなと思います」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「出展用アイテムに関しては、携帯スタンドやポスター用のスタンドなど備品が準備不足だったので、現地でかなり買い足しました。台北駅のすぐ近くのダイソーを利用しました。会場からタクシーで15〜20分程でした」

台北ゲームショウに出展してみたブースでの感触は?

連日多くの人で賑わっていたナカユビのブース。ブースでの来場者とのやり取りについても聞いてみました。

ナカユビ:「B2Cでは積極的にチラシを配って声をかけたこともあってか、かなり多くの方に遊んでいただけたかと思います。中には、一時間近くプレイしていってくださる方や、AppStoreから最新バージョンをダウンロードして、連日ブースに来て遊んでいかれる方もいらっしゃいました」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「脱出ゲームは、基本的にクリアまで時間がかかるゲームなので、途中で辞めてしまう方も多いのかなと予想していたのですが、脱出までプレイしてくださる方がほとんどで、予想外に嬉しかったです」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

ナカユビ:「基本的にブースは賑やかでした。目の前でユーザーの操作やリアクションを観察できるのはあまりないことなので、とても参考になりました。重複しますが、台北ゲームショウでは物販を行なっても良かったみたいなので、一般ユーザーの反応を見るという意味でも、何か準備して持っていけば良かったと思います」

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

【台北ゲームショウ2018】「ナカユビ・コーポレーション」の出展レポート!台北ゲームショウに出展してみた

是非台北ゲームショウ2019への出展を!

いかがでしたでしょうか。

「楽しそうだな!」

というのが第一の感想ではないでしょうか。
もちろん楽しい以外にもビジネスとしてのメリットがきちんとあります。

日本のアプリゲーム市場が飽和状態となり、キレのあるアプリゲームで一発逆転!が難しくなってきた昨今、インディーゲームデベロッパーにとって安定的に収益を上げる方法の1つとして、「海外展開」というのは現実的な選択肢になってきました。

もちろん海外展開も簡単ではありません。国や地域に合わせたローカライズやマーケティングなどが必要で、単純な翻訳だけではなかなか成功しないというのが実情です。

海外のゲームイベントに出展するメリットの1つは、現地のゲームファンやゲームデベロッパーと直接触れ合えるということ。実際に台湾のユーザーがどのように自分のゲームをプレイするのかを見るのは良い経験になるはずです。また台北ゲームショウはB2Bの商談ブースも設けられており、例えば中華圏でのローカライズパートナーやマーケティングパートナーを探すことも可能です。

更に台湾市場に関しては、その先の中国本土の市場にリーチできる、というメリットもあります。台湾市場をテスト的に使い、そこでノウハウを得た後に台湾パートナー企業と共に中国本土へ展開するという方法は、中小のインディーゲームデベロッパーにとっても合理的な道筋の1つ。

海外はちょっと遠いなと思っているデベロッパーさんは多いと思いますが、距離的にも文化的にも近い台北ゲームショウへの出展を是非ご検討ください。

関連リンク

ナカユビ・コーポレーション公式サイト

ナカユビ・コーポレーションの脱出ゲーム集
「escape games」iOS版
「escape games」Android版

台北ゲームショウ2018公式サイト

SQOOLのYouTubeチャンネル

著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
著者Twitter