「漫☆画太郎 ババァタワーバトル from 星の王子さま」配信中止、理由を「どうぶつタワーバトルの開発者の方に対する敬意と配慮に欠けた内容のリリースとなってしまった」と説明
著者:KK
先日コラムでお伝えした、「漫☆画太郎 ババァタワーバトル from 星の王子さま」というアプリゲームが「どうぶつタワーバトル」とよく似ていという問題は、少年ジャンプ+編集部と、株式会社ミリオンダウト開発チームからの謝罪文が公開され、昨日6月5日、「漫☆画太郎 ババァタワーバトル from 星の王子さま」の配信が中止される措置が取られました。
※画像は「https://babaa.jp/」よりスクリーンショットを取得し転載
ジャンプ+の担当者さまから、パロディ的なもので明確な差異があり利益的な侵害は生じないと考えていましたが、作者が悲しい気持ちになるとは想像しておらず配慮・敬意不足でしたとメールをいただきました。
先ほどストアの配信を停止したとご連絡もいただきました。— Yuta Yabuzaki (@planet12app) 2018年6月5日
「どうぶつタワーバトル」の開発者Yuta Yabuzaki氏にはお詫びの連絡がされたようで、Yuta Yabuzaki氏は
ジャンプ+の担当者さまから、パロディ的なもので明確な差異があり利益的な侵害は生じないと考えていましたが、作者が悲しい気持ちになるとは想像しておらず配慮・敬意不足でしたとメールをいただきました。
先ほどストアの配信を停止したとご連絡もいただきました。
とツイートしています。
謝罪文の中で少年ジャンプ+編集部は、
同ゲームは、集英社の許諾のもと、ミリオンダウトにより企画開発されたもので、
先行するパズルゲームのひとつ「どうぶつタワーバトル」の面白さとアイデアに着目して、それらを漫画キャラクターの世界観の中で新たに組み立てられないかと模索し制作されました。
しかしながら、結果的には「どうぶつタワーバトル」の開発者の方に対する敬意と配慮に欠けた内容のリリースとなってしまい、反省しております。
と述べています。
集英社自身が著作物を扱う事業者であり、先般話題になった「漫画村」などの無断転載サイトに苦しめられていたはずであるだけに、今回の問題は残念だと言わざるを得ません。
筆者としては集英社が謝罪文の中で述べていることは、ほぼそのまま経緯の事実を示しているのではないかと思います。
新しいゲームを開発するときに、既に人気がありユーザーの支持を得ているゲームを研究し、良く言えばリスペクトして取り入れるのはよくある事かと思います。ここまでは問題ないのですが、今回は模倣が過ぎた、更にリスペクト先へのリスペクトに欠いていた、ということでしょう。
1つ念のため見解を述べておくと、今回の件がすなわち著作権侵害に当たるかどうかというとゲームの内容においては難しいのではないかと思います。問題があるとすると「タワーバトル」という共通のワードがタイトルに入っていたことですが、批判されたのは「タワーバトル」部分ではなく、集英社という知名度のある会社が、「どうぶつタワーバトル」の人気を利用するために、明らかに模倣したと捉えられるアプリゲームのリリースを良しとしてしまったことにあります。
「似すぎているからパクリになってしまう」、或いは「参考にしたどうぶつタワーバトルの開発者に一言断っておこう」と、どこかの段階で誰かが思い至れば防げたであろうだけに残念です。
起きてしまったのは残念である一方、世論を受けて素早くアプリゲームの公開停止を実施し、謝罪したことは、事後の対応としては良いものだったと思います。謝罪文の中で少年ジャンプ+編集部がはっきりと
「どうぶつタワーバトル」の面白さとアイデアに着目して
と述べたことも、責任逃れをしようとせずに批判を真摯に受け止めたと解釈できます。
もちろんこれで万事良しという訳ではありません。
Yuta Yabuzaki氏へのフォローをきちんと行っていただくとともに、今後同様のことが起きないよう、対策の実施が望まれます。
パクリ問題はウェブメディアも人ごとではありません。ともすれば話題になっている記事を参考にし過ぎてしまうことはあり得ることで、日常の業務になっているだけに注意が及ばなくなることは、筆者にもあると思います。
デベロッパー、ライターなどのクリエイターの想いを汲んで尊重する、そのような意識をゲーム業界全体で持つようにしたいものです。