プロゲーマーのももち氏、チョコブランカ氏に聞く「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」ゲームライターコミュニティ勉強会レポート

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  公開日時 

 著者:岡安 学 

5月7日、「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」と題してゲームライターコミュニティ勉強会#25が開催されました。

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SQOOLにも何度か関連記事が掲載されていますのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、ゲームライターコミュニティとは、ライター小野憲史を主宰とするゲームライターの交流と育成を目指した勉強会。SQOOLも広報として協賛しており、筆者である岡安も運営として参加しております。

今回はゲームライターコミュニティ#25で司会を務めた筆者が、主幹目線で会の様子をレポートしていきたいと思います。

プロゲーマーのももち氏、チョコブランカ氏に聞く「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」ゲームライターコミュニティ勉強会レポート

まず、登壇していただいた方々ですが、プロゲーマーのももち選手、チョコブランカ選手夫妻と、黒川塾を開催するゲーム業界の重鎮である黒川文雄氏のお三方です。
ももち選手とチョコブランカ選手は、eスポーツ選手として活躍する傍ら「忍ism」という会社を興し、eスポーツ大会の運営、後進の育成、女性ゲーミングチームやプロチームの運営、動画配信、eスポーツイベントスタジオの運営なども行っており、eスポーツの発展に尽力しています。
今回の勉強会では、忍ismの活動に対してメディアは何ができるか、を軸にを聞いてみることにしました。

そもそも「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」というテーマに至った経緯としては、現役の選手である彼らが、eスポーツの発展の為に選手活動以外のことをするのは負担があり、周囲のサポートが必要ではないかと考えたからでした。

後進の育成についてはプロ選手を経験した人にしかできない活動といえますが、労力的な負担があることに加えて、例えば育てた若手と大会で対戦し敗北してしまう可能性もあるわけです。選手としての活動を主軸に置くのであれば、後進の育成は必ずしも選手にとってポジティブな要素ばかりではありません。

その点についてももち選手は、「(もし大会で負けてしまったとすれば)選手としては悔しいことではあるが、チームを運営する立場としてみれば喜ばしいことだ」と言います。なんと器の大きいことか。
しかもチームのメンバーには海外遠征の渡航費や滞在費、月々の給料なども支払っているというのですから驚きです。今やお笑いでも師弟制度は崩れつつありますし、ライター業界でも徒弟制度は最近見かけません。

プロゲーマーのももち氏、チョコブランカ氏に聞く「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」ゲームライターコミュニティ勉強会レポート

ここでご意見番の黒川氏の意見も聞いてみたところ、黒川氏がセガの広報を務めていた頃は、バーチャファイターの鉄人たちが活動しやすいようにバーチャ道場を作りフォローをしていたという話が出ました。かつてテレ朝のトゥナイト2でバーチャファイターやファイティングバイパーズなどが取り上げられていたのも黒川氏の仕事だとか。

プロゲーマーのももち氏、チョコブランカ氏に聞く「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」ゲームライターコミュニティ勉強会レポート

ももち選手やチョコブランカ選手がプレイしているストリートファイターVはカプコンがリリースしていて、カプコンもカプコンプロツアーなどで選手の活躍の場を作っていますが、バーチャ道場やテレビ番組へのアプローチなどがあっても良いかも知れないと感じました。

ももち選手とチョコブランカ選手が忍ismを作ったきっかけは、まだ確立していないプロゲーマーという存在への不安だったそうです。選手として活躍できる場があり続けるのか、トッププレイヤーとして活動し続けられるのか、そういった不安が忍ismの活動に繋がっているわけです。忍ismを作った時のももち選手はアラサーだったわけですが、若手から一歩抜け出した状況が忍ism設立に繋がったようにも思われます。
筆者も30歳前後でゲームライターとしての活動を不安に思い、トイやIT関連、ガジェットなど他のカテゴリーに手を出し始めました。ももち選手のようにゲームライター業界を掘り起こして、盛り上げるような行動を取れなかっただけに、感心しきりです。

忍ismの活動を支援したくて仕方がなくなってきたところで、本題であるメディアやライターに何ができるかという話になりました。

ももち選手やチョコブランカ選手は、自分たちで発信できないことをメディアがより広く発信することを求めていました。実は、もっと大会を開いて欲しいとか、育成をするための援助をしてほしいとか、イベントの手伝いをしてほしいとか、そういった要望が出てくるのではないかと思っていましたが、そうではありませんでした。メディアはやはり報道機関として、しっかりと多くの人にeスポーツやプロ選手のことを伝えるべきだということです。

eスポーツは現時点では男女分けされておらず、大会は老若男女関係なくひとつのトーナメントで争われます。フィジカルに偏る運動系のスポーツと違い、eスポーツは男女差が出にくい可能性を持っています。その為、女性の躍進がeスポーツを盛り上げる鍵のひとつであると、筆者は常々考えています。
忍ismは女性のみで構成されるスプラトゥーン2のチーム、「Kacho-Fugetsu」を運営し、女性のゲーマーコミュニティとしての「Project Gaming Girls(P2G)」の活動も行っています。まだプロゲーマーを目指す段階まではきていないそうですが、確実に女性がゲームを楽しむ土壌を築くには重要な活動だと思います。

プロゲーマーのももち氏、チョコブランカ氏に聞く「eスポーツの普及に向けて選手とメディアができること」ゲームライターコミュニティ勉強会レポート

トークイベントの第一部が終了し休憩を挟んだあとは、質問タイムを設けました。せっかくなので、ゲームライターや編集者など、プロゲーマーに聞きたいことを直接聞いてしまえる場面を作っておきたかったからです。

その中でも注目が集まったのが、TVのアナウンサーによる質問でした。TVでeスポーツを取り上げることについての質問でしたが、筆者としてはその質問の内容以上に、テレビのアナウンサーの方が、このようなこじんまりとした勉強会に参加するほどeスポーツに興味を持たれているのだということが印象的でした。
アナウンサー以外にも大手新聞社の記者やスポーツ新聞の記者、広告代理店の方なども参加されていました。

ももち選手もチョコブランカ選手も黒川氏も、テレビの影響力の大きさからどんどん取り上げてもらいたいとの意見でした。
筆者は、テレビ局のアナウンサーが実況をすることで、eスポーツはさらに一段階上のステージに上がれるのではないかと考えています。現在実況をされている方々も頑張っていますが、eスポーツのメジャー化を考えたときに、やはりプロのアナウンサーやTV局の力は必要になってくると思います。

自ら企画し、司会まで務めた今回のゲームライターコミュニティでしたが、手前味噌ながらなかなか良い回になったと思います。

イベント終了後のビアバッシュでは、ももち選手とチョコブランカ選手も後の予定がありながらも残って皆さんと交流していただきましたし、参加者同士でも繋がりができたようでした。

とにかく選手がこれだけ頑張っているのだから、メディアはそんな彼らを後押しできるような体制を作っていかなければなりません。メディア関係者の皆様は、しばらくはお金に繋がらないかもしれませんが、先行投資、社会貢献だと思って是非eスポーツを支援していきましょう。

忍ismウェブサイト

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eスポーツイベントやストリーミング配信情報などが掲載されています。

http://shinobism.com/

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著者:岡安学(オカヤスマナブ)
デジタルライター/Allaboutデジカメガイド
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。
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