台湾のゲームカンファレンス『Taipei Game Developers Forum 2016 TGDF』
著者:鄭一東
台北ゲームショーと並ぶ台湾最大級のゲーム業界イベントとして『Taipei Game Developers Forum 2016 TGDF』が2016年7月1日~2日に台湾台北市の台北文創ビルにて開かれました。
7月の台北は筆者の予想通り昼間は気温33度超えで、夜間も28度の熱帯型気候でしたが、会場は冷房が効いており、しかし人々の熱気によって非常に盛り上がった雰囲気でした。
イベントは「講演」「ゲーム展示」「ビジネス関係者会議」の3部門が中心に行われました。
講演では台湾屈指のゲーム会社である「希娜科藝」のCEO吳以尋氏を筆頭に、インディゲームデベロッパーのゲーム開発における様々な経験が共有されました。
例えば、
「初期の資金調達:借金しても足りない?」
「プロジェクトの選別:どれをやめる?」
「パプリッシャー:使ったほうがいい?」
「プロモーション:金を投げ込む?」
「リリース:アップデートの頻度?」
「人員管理:利益が出ればいい?」
などは恐らくどのインディデベロッパーチームも必ず出会う課題でしょう。
吳以尋氏は台湾の筆頭ゲーム開発リーダーであるだけに、彼の言葉は大きな意味を持ち、会場にいた参加者たちにも大きいな収穫があったことでしょう。
会場では多くのゲームも展示されました。
少し覗いてみましょう。
タイトル1「ダンジョンピンボール」
開発者:雷獣ゲーム(Raysol Games)
「ダンジョンピンボール」は台湾のインディゲーム開発者チームに開発されていますが、日本風のテイストのグラフィックを採用しています。
弾が飛んでいくピンボールの爽快感を元に、弾にキャラクター性や属性を加えるなどの工夫がされたアクションRPGに仕上がっています。
弾をただ発射するだけではなく、ステージごとに用意されたパズルの要素などによって、バラエティに富んだ内容になっています。
またゲームと相性のいい「漫画」を用いて本タイトルのストリーを表現しており、ゲームをプレイする以外に漫画も楽しめるというのも一つのポイントです。漫画の続きも是非リリースしてもらいたいですね。
本作は現在すでに日本のiOSアプリストア及びAndroid Google Playにリリースされています。
「ダンジョンピンボール」はこちらからダウンロードできます。
タイトル2「Dragon Fin Soup」
開発者:GRIMM BROS
「Dragon Fin Soup」は中世とファンタジーが融合した世界を舞台とするセミリアルタイムのアクションRPGゲームです。
プレヤーは主人公と一緒に様々な世界で探検し、アイテムを手に入れ、敵や魔物を撃退しながらミッションを達成していきます。
TGDF参加者のほとんどは台湾人でしたが、本作の開発チームはメンバーが多国籍でとても目立っていました。
台北のゲームイベントでもこれほどインターナショナルなチームが参加することに筆者も少し驚いています。
「Dragon Fin Soup」は現在Steam、PS3、PS4、PSVITAなどのバージョンで販売されています。
タイトル3「潜縛者」
開発者:道邊行
「潜縛者」はサスペンス脱出ゲームに近い作品です。
ある女子高生の自殺から始まり、その背景の謎である自殺の理由を探っていくストーリーです。
グラフィックは日本の画風に近く、非常にレベルが高いものです。つ本作は意外にも大学生チームの卒業作品であることに筆者は驚きました。
奥の深い謎を一歩ずつ解明していくゲーム性は、一度始めたらなかなかやめられません。
「潜縛者」は現在開発中で、今後のリリースや日本語化に期待したいですね。
さいごに TGDFを受けて台湾のゲーム業界に思うこと
筆者は台湾人でありながら長期に渡って海外に滞在しているため、台湾のゲームイベントに参加するのは実に恥ずかしながら今回が一回目です。
台湾にもこれほどレベルの高いインディ開発者がいることに、非常に驚きを覚えながら嬉しくも思います。
筆者個人としても今後台湾のゲーム産業のさらなる発展を期待しており、もっともっと面白いゲームを開発して欲しいと切に思います。