Tencentゲーミングセミナー第1回「5Gとクラウドによる新しいゲーム体験!テンセントクラウドがもたらすクラウドゲーミングの成功事例」レポート(前編)

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 著者:シェループ 

2019年11月19日、東京・渋谷の「TECH PLAY SHIBUYA」にてTencentゲーミングセミナー第1回「5Gとクラウドによる新しいゲーム体験!テンセントクラウドがもたらすクラウドゲーミングの成功事例」が開催されました。

Tencentゲーミングセミナー第1回「5Gとクラウドによる新しいゲーム体験!テンセントクラウドがもたらすクラウドゲーミングの成功事例」レポート(前編)

第5世代移動通信システム、通称「5G」の時代到来で劇的な「低遅延」が実現することにより、ユーザーがハードウェアを選ばずに済む「クラウドゲーム」が本格的に台頭すると、ゲームの世界では予測されています。

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今回のイベントでは「Tencent Cloud-Cloud Gaming Solution」の技術を用いたクラウドゲームの体験ほか、利用のメリット、大ヒットした「PUBG Mobile」の制作舞台裏の紹介、そして日本独自のクラウドゲームへのアプローチなどを紹介する講演も行われ、最前線で活躍する関係者が登壇しました。

◆1:日本ゲームのこれまでとこれから、メディアから見る5G時代の拡大戦略と新しいゲームの在り方

まずSQOOL代表の加藤より、日本のゲーム市場の現状と5G時代到来後への期待に関する講演が行われました。

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最初に取り上げられたのは、日本のゲーム市場と人口についての動向。「ファミ通ゲーム白書」から引用する形で、市場の売上は2018年が約1兆円、プレイヤーも主にスマートフォン向けアプリゲームを含む、オンラインプラットフォームの急速的な発展から、引き続き成長・拡大傾向にあることが紹介されました。

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しかしながら、僅かに踊り場を迎えたところもあり、2019年を迎えても「パズル&ドラゴンズ」が7周年記念イベントで盛り返す出来事こそありましたが、全体としては完全に低迷している訳ではないにせよ、勢いが緩やかになりつつあるようです。

ランキングに並ぶアプリも、依然「Fate/Grand Order」がトップに立ち、売上の80%は日本から出ています。そんな中、中国製アプリゲームが目覚ましい活躍を見せていて、順調に数字を伸ばしてきています。

2019年の第2四半期には、ランキング入りするタイトルが6.3%から14.7%にまで急成長。特にカジュアルゲーム、「荒野行動」と言ったタイトルが人気を支えているようです。

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そんな日本のゲーム市場・人口の今を紹介し終えてからは、ここ5~6年間の振り返りへ。現状が示す通り、アプリゲームの市場が大幅に拡大した日本ですが、その全盛を迎えたのは2015年のこと。

2013年に第1次カジュアルゲームブームというのがあり、スマートフォン向けにゲームが徐々に出始めた時期がありましたが、日本市場は2015年になる辺りからキャッチーで面白そうなゲーム(ソシャゲ)が増え始め、有名なタイトルを皆が遊ぶというような状況になりました。また、同じ頃には仮想現実、VRがゲームを大きく変えるのではないのかとも話題に。

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さらに個人、中小のディベロッパーが作る「インディーゲーム」の盛り上がり、AI、ブロックチェーンといった既存技術の発展と新技術の台頭。昨今は「eスポーツ」もその一つで、日本は世界的に見て立ち遅れてしまった所がありましたが、徐々に大会に足を運んだり、中継を視聴するユーザーが増え始め、認知度を上げつつあります。

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一連の出来事から分かる通り、ここ数年のゲーム界隈には沢山の「キーワード」がありました。そのキーワードの新種として、期待されているのが今回の主要テーマたる「5G」と「クラウドゲーミング」。

丁度、本イベントが開催された当日にはGoogleのクラウドゲーミングサービス「Stadia」が日本を除く14ヶ国でローンチを迎えました。また、当日に「クラウド」のワードでニュース検索をしてみると、ValveのPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」がクラウドゲームを始めるのでは、との話題も出ていたようです。

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しかし、メディアから見て、5Gとクラウドゲーミングには大きな問題点があります。それはユーザーの期待値。今のところ、ユーザーからは

「5Gのスマホは高いのでは?」、「通信も不安定らしい」、「ゲームサービス自体がそんなにないから、何が起きているのかよく分からない」

と言った懐疑的な声が圧倒的で、現状では普及し、浸透するのかは明言できない状況です。

逆に考えれば、遊んでくれるユーザーの獲得と支持を得ることが非常に大きなポイントとなります。スマートフォンが流行った頃を思い出してみれば、その時にも

「バッテリーがすぐ切れる」、「通信が思ったよりも早くない」、「端末がすぐ固まる(フリーズする)」、「面白そうなゲームがない」

などの状況でした。

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そこからどうなったのか?それは現在の市場が示す通りです。eスポーツがそうなりかけているように、その魅力と面白さの周知次第で変化が起こるとの可能性が語られました。

具体的にどのようなことをアピールしていくべきか。

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5Gに関しては通信速度の速さと安定性の高さが強みとしてあります。ゆえに動画プラットフォームとの相性がいい。特に「TikTok」、「Twitch」はゲームユーザーとの相性が非常によく、前者は中国でアプリゲームをリリースする際、TikTokをマーケティングの一つに入れるのが手法として定着しています。

配信に関しても、画質が綺麗で、受け取る側もそれを楽しめるようになるので、相乗効果でユーザーを増やせる可能性があります。

VRも、本格的に遊ぶに当たっては環境構築にお金と手間がかかります。高性能なPCが必要な上、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)も総じて高額です。ただ、そもそも映像を見るだけなら、5Gで高画質の映像をHMDへ送れれば、それ単体でVRを楽しめるようになるかもしれません。

これが実現すれば、例えば「ぷよぷよ」のeスポーツ大会のように現地の熱狂と会場の一体感を自宅にいながら味わえるようにもなります。「見れば分かる」が「見られて分かる」。そんな転機が今後、起こるかもしれないのです。

VR絡みでは、AR(拡張現実)も5Gの大容量回線でスマートフォン上に格闘ゲームのキャラクターを映し出して、3Dで戦い合う様子を手軽に観戦できるようになるのも活用法の一つです。実際に2019年の東京ゲームショウにおける「ストリートファイターV」の対戦では、このデモコンテンツが参考出展されていました。

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さらにクラウドゲーミングに関して、最も明瞭なメリットと言えば、ストレージ容量を気にしなくてよくなること。ゲームのダウンロードが必要なくなって、残り容量への懸念をせずに済む。

スマートフォンへ頻繁にアプリをダウンロードしては、容量との戦いになるユーザーからすれば、まさに夢のような進化と言えます。裏を返せば、積みゲーが爆発的に増加する危険も高まりますが……それはさておき。

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既にこのようなゲームを実現させている例も幾つかあります。ただ、制作に用いているHTML5は容量を少なくしなければならないなどの制約がある関係で、現時点では作れるゲームにも限界があります。これが5G普及と共に取っ払われることで、ファースト・パーソン・シューター(FPS)のようなゲームがブラウザ上で遅延なく動かすのも夢ではなくなります。

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とは言え、5Gとクラウドは技術であって、ゲームではありません。先に触れたことへ戻る形になりますが、大事なのはコンテンツの中身。ゲームが面白いということです。通信回線の安定によって実現可能になる1000人同時プレイなど、5Gとクラウドを使うことによる今までにない新しい遊びが実現できるかどうか。究極的には、そこに全てが集約されます。

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5Gとクラウドゲーミングにはそのような進化と未来を期待したい。
最後にメディア、ゲームファン双方の視点から見た展望を語って、講演は終了しました。

◆2:次世代ゲームのために生まれた、クラウドゲーミングワンストップソリューションとクラウドゲーミングのシナリオ

続いてTencent Cloudシニアソリューションアーキテクト兼シニアプロダクトマネージャーの黎國龍氏が登壇。Tencent Cloudのサービスを用いたクラウドゲーミングのデモ、そのサービス全般の仕様詳細、今後の応用シナリオに関する講演が実施されました。

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まずクラウドゲーミングのメリットと聞かれて何が浮かぶか、会場の参加者へ質問が行われました。その中で回答されたのが「アプリをインストールしなくて済む」こと。先ほどの講演でも挙がったものです。

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それ以外のメリットとして、ユーザーのチート行為防止、バージョン漏えいのリスク防止、ローエンドPCでもいわゆるAAA(トリプルエー)クラスのゲームが遊べると言った事柄が紹介されました。

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「モルガン・スタンレー」のデータを引用する形で、近年のゲーム市場においては個人のゲームプレイ時間が増え続けており、それに合わせてサブスクリプション、いわゆる定額料金サービスのモデルも急速的に発展してきています。

これまではハードウェア、ソフトウェアの2つがゲーム全体のセールスがカギを握りました。しかし、昨今はそれらのサービスが重要なキーワードとなりつつあるほか、複数人のプレイヤーが参加するマルチプレイヤー型ゲームの隆盛から、多くのメリットを持ち合わせたクラウドゲーミングを強くお薦めできる状況になりつつあるとのことです。

なぜ、お薦めするのかには3つのポイントがあります。

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1つにクラウドと仮想化。昨今はクラウドコンピュータが普及し始め、GPUの仮想化技術も成熟しつつある現状から、過去にも増して活用しやすくなっています。

次にネットワーク環境の強化……5Gの到来です。日本は先ほどの講演の通りにまだまだですが、中国では一部都市で使えるようになっていて、帯域幅のコストカット実現もあり、クラウドゲーミングを実現するのに万全な環境が整いつつあります。

そして、3つ目がオーディオとビデオの技術。こちらも帯域幅の拡張、コストカットの恩恵によって高品質な映像を幅広く提供できるようになり、ハードウェアごとの性能差を考えず、均等な体験が得られるようになっています。

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その実例として、中国で人気を博しているアクションRPGを用いたデモ動画を紹介。最初にPC、次にAndroid端末、その次にiOS端末の順でゲームが「Google Chrome」のブラウザ上で動作する様子が映し出されましたが、いずれもハードウェアごとの性能差は微塵も生じず、文字通り均等にゲームを遊べることがアピールされていました。

このデモは当日の会場にも出展されており、自由に体験できました。

このような均等な体験をどのようにして実現しているのか。デモが終了した後には、キモとなるTencent Cloudのクラウドゲームソリューションのサービスに関して紹介されました。

Tencentゲーミングセミナー第1回「5Gとクラウドによる新しいゲーム体験!テンセントクラウドがもたらすクラウドゲーミングの成功事例」レポート(前編)

詳細は割愛しますが、世界規模でプレイヤーごとに快適なゲーム体験を提供する「アベイラビリティーゾーン(AZ)」……物理データセンターを設置すると言ったインフラ周りの構築、低コストのGPU提供、スマホゲームに特化したARMサーバーと仮想化プラットフォームを構築することによる、20個以上のインスタンス同時稼働など。

世界的にトップの売上を誇るTencentならではの強みを活かした技術、取り組みを順番に解説。

特にAZは現時点で53もの数がグローバルで展開しており、アメリカ在住のプレイヤーがゲームを遊ぶ時、近くのイギリスのデータセンターへと接続すると言った遅延(レイテンシー)の発生を防ぐための施策に力を注いでいるとのことです。

ちなみに日本には現時点で1つだけAZがあります。今後の普及によっては、数が増えるかもしれないとの展望も語られていました。

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どの技術においても、重要なポイントとしているのは「素早いアクセス」、「全端末への対応」、「超低遅延の技術」の3つ。これらを厳守したサービスの作り上げ、提供することによってクラウドゲーミングの普及と発展に力を注いでいる姿勢が顕著に示されていました。

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また、このサービスを用いることで、どのような事に応用できるかについても紹介。1クリックで直にゲームが遊べる、先にもあった「ダウンロード不要のゲーム体験」、広告経由で短時間のデモプレイを可能とする「広告お試しプレイ」、PCでもスマートフォンでもコントローラの操作を可能にする「クラウドゲーム+外付けデバイス」。

そして、ユーザーが生放送しているゲームにそのまま直接参加して対戦し合う「ストリーミングとの連結」など、これまでの遊び方に革新をもたらす応用の数々が紹介されました。

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広告に関しては、ビッグデータと連携してのマーケティングも応用のひとつとして取り上げられ、より多様性に富んだ販売戦略が実現可能となる可能性が提示されました。他にプレイヤーの行動をリアルタイムに分析し、予測しにくいゲームプレイを演出するというものも。

敵の行動パターンを複雑にし、アドリブ性を高めるなどの表現がクラウドゲーミングなら描けるということも紹介されました。

ただ、筆者個人としては「それは返って前人未到の超難易度ゲームが誕生するのでは……?」という、若干の恐怖も覚えましたが。今なお、大きな支持を得ている高難易度系のゲームですが、ひょっとしたらクラウドゲーミングの普及で、さらなる進化を果たす未来があるのかもしれません。考えるだけでも心が軋むばかりですが……。

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既に中国では本サービスは幅広く使われており、日本市場でも活用いただければとの期待も語られた黎氏。このような技術を皆さんへと公開し、Win-Winの関係を作って今後、確実に到来するクラウドゲーミング市場の拡大と発展に協力していきたいとのメッセージを締めにする形で、講演は終了となりました。

レポート後編はこちら。

2019年11月19日、東京・渋谷の「TECH PLAY SHIBUYA」にてTencentゲーミングセミナー第1回「5Gとクラウドによる新しいゲーム体験!テンセントクラウドがもた

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著者:シェループ
新旧様々なゲームに手を伸ばしては、積みゲーを増やし続けるひよっこライター。アクションゲーム全般(特にロックマンシリーズとメトロイドシリーズ)と戦略シミュレーションが大好物。
Twitter:@shelloop