暴風の中のChinaJoy2024の速報レポート&中国ゲーム界隈よもやま話

 イベント取材 
  更新日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

上海にやってきました。
前日に「上海に台風来るかもよ」と中国の友人に連絡をもらっていたこともあり、恐る恐る上陸したわけですが、とりあえず到着した日は無事ホテルまで辿り着きました。

毎年この時期に訪れる中国ですが、本当にすごいスピードで変化していまして、その急成長を見ることができた数年前、そして現在は停滞と不景気、ゲーム業界においては規制の強化による変化を目の当たりにしています。

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さて、というわけでこの記事では、そこにずっといないからこそ分かる、1年ごとの情報更新からのChinaJoyの1日目を終えたレポートと、中国ゲーム界隈の色々な小話をこの記事のポイントに沿ってご案内します。

入場者数

去年は少なく感じた人の入りですが、今年はどうかというと、今のところ去年とあまり変わらないように思われます。

今年も運悪く1日目の天候が悪いということもあるかもしれませんが、コロナ禍前の盛況ぶりと比べると人が少なく感じます。

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中国人の友人に聞いたところ、去年と同じでBiliBiliワールドという別のイベントにファンを取られているのではないか、とのことでした。
ChinaJoyは中国ゲーム市場がまだ小さかった頃からその市場を牽引してきた立役者です。それであるが故に、現在は大手のプラットフォームやメーカーが集まり、大手のためのイベントという感じになっています。出展ブースで展示される情報の多くはインターネット上など別のところでも得ることができるため、新鮮な情報には触れにくく、PRのためのショーという意味あいが強くなり、従って熱心に会場を回るファンが減ったのではないか、というのが私の友人の解釈です。

確かにこれは世界的に起きていることで、リアルイベントの価値をどのように作っていくかは、多くのイベント主催者の課題でもあります。
高額な費用に見合う出展効果をクライアントに提示できるかは、今後しばらく悩ましい問題でしょう。

インディーゲームコーナー

※インディーゲームコーナーの記事の7月29日、内容を修正しました。

新しい価値の創出の一環として、ChinaJoyは今年からインディーゲームのコーナーに力を入れると聞いていました。
楽しみにインディーコーナーに向かったのですが、場所は昨年と同じBtoBエリアで、建て付けもほぼ同一、、、

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と思ったのですが、実際には去年よりもたくさんの人がインディーブースに集まっていました。
ブースの仕様は去年と一緒ですが、人が増えたということはPRの仕方やタイトルの選考基準などが何か変わったのでしょうか。この辺りは明日以降確認してみたいと思います。

確認をしましたところ、BtoCのPlayStationコーナーの近くに、別のインディーゲームエリアがあるそうです。ここは後日時間があればぜひ取材したいと思います。

コンパニオンさんの衣装

過去に動画の方で取り上げたことがあるように、ChinaJoyはコンパニオンさんの過激な衣装で話題になったことがあります。
近年は衣装のレギュレーションが明確に定められ健全化していますが、それが来場者数の減少につながったのではないかという説もあり、商業的な意味では衣装のレギュレーションが緩和されたりするのかもしれない、と注目していました。

さて実際はどうかというと、今年もしっかりと健全な衣装で統一されていました。

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これは非常に良いことで、やはりゲームというのは子供も含めたエンターテインメントですから、性的な露出が過ぎるのは良くないと思います。
ゲームのコスプレなどであれば露出がなくても、かっこいい、かわいい物はたくさんありますので、そういう感じの方が色々と安心です。

ちなみにウマ娘のコスプレを会場内でちらほら見かけましたが、非常に可愛らしい感じで良いかと思います。
数年前はヨルさんのコスプレが流行っていましたが、そちらはちょっと目のやり場に困ることが多かったですね。

景況感

景気は良くない、の一言だと思います。
昨年も不況だという人はいましたが、それでも「まだそんなことはない」という中国の友人もいました。が、今年は今のところ全員が「景気は良くない」とのことです。

もちろん業界ごとに景況感は異なるでしょうから、中国全体が不況だとは言いませんが、ゲーム業界は割と大変なのかなぁと思います。

ゲームエンジニアは35歳でクビになる、というようなジョーっくだか本当だかわからない言説も流行っているようで、日本語や英語ができるエンジニアは中国を出ている方も多いとか。

数年前はインディーゲームスタジオへの投資も盛んでしたが、今はそのような話はほとんどなく、しかし小規模なインディーはそれに一縷の望みをかけて、ヒット作と似たようなゲームを作り、そして消えていく、というような話もありました。

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唯一明るい話題としてはSwitchなどのコンソール機がウロ上げを伸ばしているようで、その市場は順調に拡大しているようです。
ChinaJoyの会場横のショッピングモールにもSwitchのショップができていました。

全体的な感想

概観としては、昨年と大きく変わらず、昨年の流れを引き継いでいるな、と感じます。
日本でもゲーム業界不況が語られ、欧米圏でもレイオフなどが話題になりますが、中国もその流れの中にいると言って良いでしょう。

しかし、とはいえすぐさま中国のゲーム業界がダメかというとそういうわけではなく、ここ数年で急速に伸びたゲーム開発における技術力や表現力は、今後も良いゲームを作り出す原動力になるでしょうし、爆発的な伸びが止まったとはいえ経済大国中国には豊富な資金を有する企業は多く、彼らは中国以外の市場も視野に着実に準備を進めているでしょう。

会って話した中国のゲーム業界関係者は一様に暗い雰囲気はなく、まあなんとかなる、という感じで、その強かさを感じます。

というわけで、ChinaJoy1日目を終えた感想でした。
明日からはインディーゲームの試遊など、もう少しゲームの中身に踏み込んだレポートをお届けできればと思います。

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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