【ゲーム開発者インタビュー】脱出ゲームのコンテナアプリ「Escape Rooms」をリリースしたナカユビ・コーポレーションの真意とは?
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
まだ新しいゲームデベロッパーでありながら、高い開発力でコンスタントに脱出ゲームをリリースし、多くのファンを持つナカユビ・コーポレーション。脱出ゲームの累計ダウンロード数はなんと約600万。
12月は毎週新作をリリースするなど、意欲的な開発姿勢で脱出ゲームファンの期待に応え続けています。
そのナカユビ・コーポレーションから今年の11月、脱出ゲームのコンテナアプリ「Escape Rooms」がリリースされました。
コンテナアプリとは、同種のアプリをまとめたアプリのことで、「Escape Rooms」はその脱出ゲーム版。ユーザーは「Escape Rooms」をダウンロードしておくことで、その中に配信されるナカユビ・コーポレーションの脱出ゲームを遊ぶことができます。
ツール系のアプリでは多く見られるコンテナアプリですが、脱出ゲームのコンテナアプリをリリースしているのはナカユビ・コーポレーションが初ではないでしょうか。
なぜ脱出ゲームのコンテナアプリにチャレンジしたのか、ナカユビ・コーポレーションの山口氏に話を伺いました。
--脱出ゲームのコンテナアプリは珍しいと思いますが、どのような理由でリリースしたのでしょうか。
山口「脱出ゲームがApple社の審査を通過できず、iOSでのリリースが危ぶまれたのがきっかけです。
僕たちは脱出ゲーム業界でも割と早い段階で4.3リジェクトを受けました。当時の情報では4.3リジェクトを受けてその後審査を通過できたという内容は一切出てきませんでした。多くのデベロッパーは脱出ゲームの開発を諦めたり、最悪の場合はアカウントを削除されたりしていました」
今年の夏ごろから増えてきたAppleによる4.3リジェクト。
iOS App Storeの4.3リジェクトとは?シリーズものゲームの続編はもう出せない!?脱出ゲームで相次ぐリジェクト
4.3リジェクトとは、App Store審査ガイドライン4条3項、「似たようなアプリのリリースはNG」に抵触してしまいAppleからiOSアプリのリリースを拒否されてしまうこと。
脱出ゲームはどうしてもデザインが似てしまうことが多く、この4.3リジェクトに遭うケースが続発しています。
山口「2回ほど4.3リジェクトを受けましたが、Appleと交渉の末に無事リリースすることができました。しかし次作がリリースできないかもしれないという状態は余分なコストを生み、精神衛生上も良くないため、コンテナアプリ化へ踏み切りました」
コンテナアプリの開発負荷は単体の脱出ゲーム開発よりも高いと語る山口氏。
山口「課題は新作脱出ゲームを追加した際にユーザーが思ったよりアプリに戻ってきてくれていないことです。現在はプッシュ通知やアプリアイコンを変更することで新着をお知らせしていますが、今後は更なる工夫が必要だと感じています」
常に新作の脱出ゲームが追加されていく「Escape Rooms」は脱出ゲームファンにとっては良いアプリですが、今までそのようなアプリが脱出ゲームにはなかっただけにユーザーの定着までは少し時間がかかるのかもしれません。
まずはユーザーに楽しんでもらえる脱出ゲームを多く入れることを目指す、と山口氏は語ります。
4.3リジェクトにより実際に脱出ゲーム開発をあきらめてしまったアプリデベロッパーもある中、ナカユビ・コーポレーションのコンテナアプリへの取り組みは、脱出ゲームファンとしても期待したいところです。
是非「Escape Rooms」をダウンロードし、改善要望などあれば「Escape Rooms」の各タイトル内のレビュー機能などでお知らせいただければと思います。
山口「大幅な仕様の変更でご利用いただいている皆様にはご不便をお掛けしてしまっている点もあるかと思います。使いやすくなるように日々改善し、また少しでもお楽しみいただける脱出ゲームをお届けできるように努めて参ります!」