SLUSH 2015 参加報告

 取材 
  公開日時 

 著者:鄭一東 

10月末パリのGame Connection Europe 2015が終わってから10日間ほど経った11月上旬にまたフィンランドの田舎から首都ヘルシンキに11月11~12日に開催されたスラッシュ(SLUSH)へ参加するために行ってきました(バス3時間半)。スラッシュは2008年に初めて開催され、参加者300名ほどの規模でしたが、7年後の2015年に参加者15,000名、スタートアップ1,700社、投資家800まで急成長しました。

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大会の内容は主に3部分に分かれています。一つ目は講演です。フィンランドやエストニアの首相、ITやクリーンテックなど著名各社のCEOや創立者による講演や厳選されたスタートアップ100社によるピッチングなどが4つのステージに分かれて二日間に渡って行われました。(ちなみに、今年ピッチングの優勝は65万ユーロの投資を受けられるそうです)二つ目は展示です。IBM、Samsung、Nokiaを中心とした大手各社はもちろん、韓国、ベトナムや東南アジアからも代表団体が出展されました。ゲーム会社も20~30社ほど出展され、こちらが筆者の狙いです。

三つ目はスラッシュの最も重要な活動であるスタートアップと投資家とのミーティングです。スタートアップとして参加する会社は事前登録によって参加する投資家への会議設定をリクエストすることができます。30分刻みの会議は二日で最大32回できます。数多くのスタートアップはいかに自分のビジネスアイディアを伝え、主にベンチャーキャピタルやアンジェルからなる投資家から資金を調達し、ビジネスの発展を加速させることができるかがスラッシュがもたらす重要な価値の一つです。このようにスタートアップ経営者・創業者の情熱とエネルギーが溢れる話と投資家の鋭い目線はスラッシュ最大な特徴と言っても過言ではありません。

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ついでの話ですが、SLUSHという意味は「どろ雪状態」を意味します。ヘルシンキは11月中旬ごろにいつも暗くて寒くてかき氷状態の路面が不便ということであえて活気の溢れるイベントをやることでSLUSHを名付けたそうです。ちなみに、今年は例年より10度も暖かいため、路面にどろ雪もなく、普通に雨降っていたので、初日会場入り口の電子掲示板に掲げているスローガンは「No Slush at Slush!」(スラッシュにどろ雪がない!)というちょっと面白い出来事もありました。

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まずは「Why now is the best time to start a media company?」(なぜ今は新しいメディア会社を始めるいいタイミングだろうか?)というタイトルのパネルディスカッションをご紹介します。パネルメンバーはThe Nordic Web&Tech.euのNeilさん、IUMのCEOのClarisseさん、Cosmopolitan Finland編集長のStinaさんとHYBEのCEOのTatuさんの4人です。まずは過去と現在の変化について「コンテンツは何よりも重要」を再確認しつつも、「テクノロジーの進化に敏感でいる必要がある。例えばユーザー行動データを収集できる技術やApple TVの発売など」、「昔よりも今のほうがテクノロジーに頼っている部分が遥かに大きい」と語っていました。

また、読者とメディアの関係について、「メディアはマーケティングツールに近いが、広告が載るプラットフォームやマーケティングツールと本気な報道精神(ジャーナリズム)は違う」、「読者はバカではない。彼らはマーケティングツールと報道精神を見分けることができる」との論点で盛り上がりました。最後に、メディアとして「常に環境の変化に敏感に俊敏に対応できることが必要」、「変化とテクノロジーに対して謙虚且つ積極的な姿勢を持っていなければならない」などの意見が挙げられました。

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次はフランスのVRのスタートアップ「3DRUDDER」についてご紹介します。コンセプトは非常に簡単で、VRゲームの中でキャラクターの移動は円盤を使うことで手を自由に武器や他の操作にできるということです。円盤を使えばプレヤーが座った状態でゲームの中で前進、後退、横移動、回転、上昇、下降などの動きを操作できます。筆者がテストプレイ(写真は筆者ではなく、友人ですが)したところ、移動がかなりスムースでいい感じです。最初はまだ慣れなかったが、3分も経てば意外と思うように動けるようになります。座って操作することができるので、スペースが限られていてもVRゲームを楽しめるのがメリットだと思います。

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著者:KenCheng(鄭一東:テイイチトウ)
Sidora Marketing株式会社 CEO/株式会社SQOOL CMO。台湾出身。2006年に来日し, 留学、就職、SQOOL CMOを経て、2015年にフィンランドでSidora Marketingを創業。多国間でのゲーム関連サービスのコネクションを活かして、海外ゲーム関連の取材記事などを日本のメディアに提供している。
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