2025年のゲーム業界の行方は!?台北ゲームショウ2025に見るゲーム業界の苦労
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
新年最も早く開催される台北ゲームショウが昨日1月26日(日)に無事閉幕しました。今年は春節の連休と被る日程での開催となり集客面でどうかと思います他が、公式の発表によると会期の4日間で約37万人が来場したとのことでほぼ例年並みの来場者数となりました。
台北ゲームショウは国際的なゲームの展示会としては世界で最も早い時期に開催され、その年のゲーム業界を占う上で非常に重要な展示会です。その視点から筆者が気になった点をいくつかご紹介したいと思います。
今年の台北ゲームショウの特徴は、インディーゲームエリアの拡大でしょう。
兼ねてから海外のインディーゲームスタジオの出展誘致に力を入れている台北ゲームショウは、今年も日本からの出展が多く、さらにタイ、マレーシア、シンガポールなど東南アジア各国からの出展も目立ちました。
インディーゲームエリアの拡大は、東京ゲームショウ、ChinaJoy、G-Starなど、アジア圏の国際的なゲームの展示会では顕著な動きで、台北ゲームショウもその流れに沿っていると言えます。
その中でも台北ゲームショウはアジア各国からのアクセスの良さを活かして出展を伸ばしているように見えます。
しかし、そのインディーエリアの拡大を持ってしても全体としての出展ブース獲得には苦労した様子で、会場の一角には大きな空きスペースができていました。
台湾のゲーム関係者曰く、今年は台湾地元のメーカーの出展が少なく、さらに海外企業の誘致も苦労したとのことでした。インディーと比べて大手の出展が減少傾向であることはコロナ禍後の世界的なトレンドで、この点に関しても台北ゲームショウも例に倣った、という印象です。
日本からはモンスターハンターの新作を控えたCAPMCOMがブースを出していましたが、SEGAやバンダイナムコは今年は出展がなく、またPlayStationのブースもありませんでした。
ちょっと寂しいなあという印象は拭えない感じの台北ゲームショウでしたが、しかし、イベントとしてダメだったかというとそうではなく、オフラインイベントならではの体験を提供するような運営のブースには多くのファンが集まり、盛り上がる様子が見られました。
ゲーム業界は全体として、コロナ禍特需の終焉による落ち込みだけでは説明できない程度の停滞感があり、またプロモーションのオンライン移行も進んでいることから、大規模なリアル開催のゲームイベントは非常に苦しい状況にあります。
その中で、従来のようにただ試遊版を展示するだけではもはや来客を得ることは難しく、オフラインイベントならではの取り組みをきちんと行なっているか否かで、出展の成否が分かれているようでした。
全体として、日程の難しさと世界的なトレンドの中で苦労しながらなんとか成功した、という印象の台北ゲームショウ2025。ただこの状況での成功は過去の丁寧な運営の積み重ねによる業界からの信頼あってこそでしょう。
日本から距離的にも文化的にも近い台湾ゲーム業界の取り組みを今後も注目していきたいと思います。