グラフィック素材は大英図書館の資料!コラージュ作品のようなスイングアクションゲーム「Verticow」
著者:篭谷千穂
この「Verticow」は、大英図書館で一般公開されている無料の資料をそのままグラフィック素材として使用しているスイング系の物理ゲームです。
具体的にどんなゲームかというと、ピンで一点止めさてゆらゆら揺れている様々なものをタイミングよく飛ばし、できる限り遠くへ飛ばすというもの。[spa2]
揺れ幅とタイミングを見計らうのがプレイのコツですが、そもそも深く考える内容のゲームでもありません。
飛ばす対象や背景に使用されているのはもちろん大英博物館の資料で、それ以外のUIもすべて手作業のアナログで作られた画像です。マスキングテープやダンボール、ピン、メジャーなど、徹頭徹尾「実際にあるそこらへんのもの」の画像のみで作られています。
このダンボールの→をタップすると…
飛ばすものがくいっと曲がって飛ぶ態勢になります。そこでスイングに合わせてタイミング良く指を放すと…
バナナが飛んだ!なんだこれ!!
飛んだ距離はメジャーに従ってプレイするごとに記録され、新記録が出るとご褒美として…
ルーレットを回すことができ、新たな飛ばす「もの」を入手できます。[spa3]ルーレットもダンボールに直接マジックで手描きしたそのまんま…
次に飛ばすのはおじさん。しかしこのように飛ばす対象として「人間」が出てくることは結構レアです。
くいっと曲がって飛ぶ態勢のおじさん。人間のグラフィック素材で見ると、このゲームは体操の鉄棒競技に似ていることが分かります。
プレイしているうちに、飛距離を稼ぐには縦に長いものが有利であることが徐々に分かってきますが、当然そうではないものも多数。例えばこの蝶なんて全体的に小さいから遠くまで飛ばすのはちょっと大変そうです。
それでもいい感じに18cm飛びました。
次はチキン丸ごと一個。他の素材との関連が全くなく、まるでシュールなコラージュ作品のようです。
しかし、本来なら絶対同じ画面にまとめられることがないであろう年代も種類もバラバラな素材が奇跡的にピッタリ合う瞬間があるのが上手い!このスクリーンショットなんて一つの”絵”として完成していますからね。まさにゲームの姿を借りたコラージュ作品です。
次に飛ばすのは長~~~~~~い羊…ってこれ一体どんな資料から引っ張ってきたのでしょうか?でも縦に長いので飛距離が稼げそう!
は???縦に着地した???
お前体操選手かよ!
…と、このように思いがけない挙動に出会えたりもします。
アンティークな資料を使ったシュールなコラージュと、物理エンジンによる予想外の挙動が相まってなんとも言えない独特の世界観を醸し出すタイトルで、ある意味これもまたアート性の高い”雰囲気ゲー”かもしれません。アンティークな絵がやコラージュが好きな人は是非プレイしてみて下さい。
ゲーム自体はシンプルですが、次から次へと現れるシュールな世界観の”絵”が見たくなってついつい何度もプレイしてしまうことでしょう。