研究、権力争い、妨害行為…なんでもありの科学史シミュレーションゲーム「プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」
著者:ちゃんたく
今回ご紹介するゲームは、シミュレーションゲーム「プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」です。
「プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」は、17世紀のヨーロッパ科学史をテーマにしたシミュレーションゲームです。
プレイヤーは、アイザック・ニュートンなど当時実在した科学者のうちの1人となり、研究活動を行い名声を手に入れることが目的となります。
研究は、「天文学」「力学」「熱力学」「生物学」「光学」「数学」の6つの分野からテーマを選びます。
科学者にはそれぞれ各分野の適正値が設定されているので、最初は得意分野の研究を選びましょう。
ゲームはターン制で、自分以外の科学者も同じように行動します。研究や勉強など、1ターンに1回だけ行動が出来ます。
自分のターンになったら、いよいよ研究を進めていきましょう。研究は「実験」や「推理」をおこなうことで、新しい理論や発明品を思いつくようになります。
新しい理論や発明品を思いついたら、今度はその検証を行い、「論文作成」に移ります。
論文が完成したら、科学アカデミーに提出できるようになります。論文が見事受理されると名声があがり、お金を獲得できます。
基本的にはこのサイクルを繰り返し、他のライバルよりも先に論文を提出し、多くの分野で権威を目指していきます。
さて、ここまで紹介してきた部分をみると、ただひたすら研究に没頭する「科学」のシミュレーションゲームにみえます。
しかし、このゲームはそれだけではありません。科学者たちはライバルであり、同じ「人間」です。
人間同士なら仲が悪くなったり、嫉妬したり、怒ったり、時には争いに発展することもあるでしょう。
このゲームは、科学史における人間関係や権力争いを体験できるシミュレーションでもあるのです。
プレイをしていると、ライバルが論文を批判してくることがあります。批判されると無気力状態となり、研究活動が滞ります。足の引っ張い合いや争いごとは、この科学の世界では日常茶飯事なのです。
一方で、資金を援助してくれる科学者もいます。もちろんプレイヤーも同じような行動が可能で、仲良くなるために資金を提供したり、研究を妨害するために相手を非難できます。
どの科学者と友好関係を築き、どの科学者と敵対するのかは、プレイヤーの選択次第なのです。
では、なぜこのような科学者同士のやり取りがあるのでしょうか。
それは、論文を認めるか認めないかを判断する役員もまた、ライバルの科学者たちだからです。
完成度の高い論文を完成させても、提出した科学アカデミーが自分を嫌っている役員ばかりなら受理されない可能性があります。逆に、自身の名声を高めて科学アカデミーの役員となれば、妨害してくるライバルの論文を破棄することも可能です。
ただ研究をするだけでなく、権力争いや妨害行為に手を染める選択肢も選べるのです。
このゲームは、科学史を体験するという独特な観点で作られています。科学を扱うシミュレーションゲームだけあって、最初は遊び方が理解し辛いかもしれません。
人を選ぶゲームであることは間違いありませんが、この時点で興味が持てる方なら刺さるゲームだと思います。
「プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」は、自分だけの科学史を目指せるのが面白いところです。ニュートンであえて生物学の研究を極めたり、権力を振りかざして完成度の低い論文を認めたり、様々な遊び方が模索できます。
実在した偉大な科学者の1人となって、自分だけの科学史をぜひ作ってみてください。