懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

 ゲームレビュー 
  公開日時 

 著者:シェループ 

Xbox360のインディーゲームとして2010年に誕生し、2014年には続編がニンテンドー3DSのダウンロード専用ソフトとして発売された「まもって騎士(ナイト)」。そのシリーズ最新作が、2019年にNintendo Switchの「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」、略して「すすまも」だ。

 

既に発売から2年近くが経つ、いわゆる旧作。だがその魅力と面白さは年月が過ぎ去っても色褪せない。むしろ幾度かのアップデートとダウンロードコンテンツにより一層魅力が増している。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

この記事では、そんな最終形態に達した「すすまも」の特徴と魅力を今更ながら紹介する。

自走する城に姫を載せ、敵の城の破壊を目指せ!

「すすまも」は2Dの見下ろし視点、トップビューで展開されるアクションタワーディフェンスゲーム。プレイヤーはヒロインであるローラ姫の親衛隊「まもって騎士」を操作し、襲い来る敵の大群から姫とお城を護るために奮闘する。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

ゲームの流れを具体的に解説すると、本編は「ミッション」を順に攻略しながら進行。ミッションは全4ステージ構成になっていて、全てのステージを攻略し終えると次のミッションが解放される。その繰り返しだ。

ステージの攻略条件は敵の城を破壊すること。そのためにはプレイヤーの拠点である城を直接何度かぶつけなければならない。
「敵の城に城をぶつける?」と、困惑するかもしれないが、プレイヤーの拠点である城は動く!具体的には城にローラ姫を移動させて待機させると自動的に移動し始める。何故そんな風になっているのかと言われれば、城の下部にキャタピラが備え付けられているからである。言わば城は動く要塞そのものなのだ。いや、なんでそんなものが備え付けられちゃったんだ、動力は何なんだとなるが、詳しくは本編のオープニングを確かめてくれ、という感じに割愛する。さすれば分かるはずである。たぶん。

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そんな動く城だが、基本的にはステージ上に敷かれた線路に沿って移動する。線路上には複数のチェックポイントが設置されていて、そこに到達すると周囲に大量の敵が出現する(。この敵を全滅させるとチェックポイントからお城が移動し始め、ステージが進行する。それを繰り返しながら終点にある敵の城を目指せばいいのだ。

ローラ姫がやられてしまうとその時点でゲームオーバーになる。そのためにプレイヤーは「まもって騎士」として、様々な攻撃アクションを駆使して敵の大群を撃退していくのだ。

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「まもって騎士」は、「ファイター」、「アマゾン」、「ニンジャ」となどの総勢8名。それぞれ異なる武器と「スキル」を持つ。ミッション前には3名の「まもって騎士」を選択し、このメンバーを状況に応じて切り替えながら戦っていくのが基本になる。

なお「まもって騎士」がやられてしまうと、控えのメンバーに強制的に切り替わる。仮に全メンバーがやられてしまった時はお察しの通りである。なので、体力(HP)の状況にも注意を払わなければならない。

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「まもって騎士」の能力はステージ終了時の「インターミッション」のほか、「ゲームカセット」の装備で強化できる。ただし「インターミッション」での強化はお金が必要、「ゲームカセット」はステージ内に隠されたアイテムのため、まずは見つけなければならない。「インターミッション」においては敵の襲撃を遅らせる際に最適な「バリケード」の設置や、城の強化もできるので、計画的なお金の使い方が重要だ。

こうした様々な要素が盛り込まれたゲームに本作「すすまも」は非常に完成度の高いゲームに仕上がっている。色々てんこ盛りだが、ゲームスタート時には一連のシステムや要素を学習できるチュートリアルミッションがあるので、身構える必要なし。ついでにシリーズ3作目の触れ込みだが、ストーリー上の繋がりは薄めなので、前作、前々作を遊んだ経験が無くても大丈夫だ。

懐かしさと新しさが融合したゲームデザインと、こだわり尽くしの音楽

「すすまも」の魅力は、ファミコン)に象徴される、徹底した8ビットゲーム機のゲームらしさにある。これまでのスクリーンショットが象徴する通り、グラフィックはファミコン風のドット絵。音楽もいわゆるピコピコとしたあの頃のものになっていて、リアルタイムで当時を過ごした世代のプレイヤーの琴線を大いに刺激する。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」
この懐かしさ全開の作風は前作、前々作から引き継がれたもので、本作独自の長所という訳ではないのだが、8ビットゲーム機のらしさを細かい所まで突き詰めた作り込みは圧巻。特に音楽は思わず口ずさみたくなる楽曲が揃っているので、ゲーム音楽好きならば至福のひと時を過ごせるだろう。

見た目は8ビット風だが、今のゲームらしい特徴を持ち合わせているのも前作、前々作から変わらない魅力。画面を100体以上の敵の大軍が覆い尽くしたとしてもゲームスピードが全く低下せず、快適にキャラクターを動かせるのはまさに現代のゲーム機の底力を思い知らされるインパクトがある。
懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

それらの敵を多彩な攻撃アクションで撃退していく爽快感も抜群。それを味わいやすくするため、各種アクションもワンボタンで繰り出せるなど簡潔にしていたり、攻撃が命中した際に痛快な効果音が鳴り響くようにしているのも見事。あの頃のゲームらしい、ボタンを押した後の反応の良さには世代ほど感慨深い思いを抱くだろう。

「すすまも」独自の見所では、自走するお城を護りながら戦う構成が演出するスリルがある。前作、前々作は守りの対象がその場にほぼ固定される形だったが、今回はそれが常に動くので、より緊張感のある戦闘が楽しめるようになっている。

ただ自走する城を護り続けるだけではない。スイッチを動かして城の進行方向を変えたり、城から城に姫を乗り継がせる、時には姫を護りながら城を目指したりといった変化を付けた展開も用意されている。一部には、まるであみだくじのようなパズル的な展開が繰り広げられることもある。そんな「自走する城」というひとつのテーマから連想された個性的なアイディアが沢山盛り込まれていて、起伏のある構成にまとめられているのももうひとつの見所だ。

3DSで発売された前作に引き続き、ダウンロードコンテンツも展開されており、購入すれば追加のミッションも遊べる。だが今回のダウンロードコンテンツで最も魅力的なのは楽曲音源の選択肢が増えていることだ。同じものは前作でも販売され、セガのゲーム機「メガドライブ」などに由来するFM音源を追加できたのだが、今回はその数がさらに増加。ファミコンディスクシステム、ゲームボーイ、スーパーファミコンの音源も追加できるようになったのだ。

この内、スーパーファミコンの音源は2020年12月に配信された最新のもの。公式の紹介映像を見れば分かるように、まさにスーパーファミコンとしか言い様がない楽曲をバックにゲームが楽しめるようになる。楽曲のアレンジも直撃世代ならばピンと来るネタが沢山仕込まれていて、思わず笑いを誘う。他の音源も実機を元に作曲されているだけに、非常に本格的な仕上がりになっているのだが、筆者としてはこのスーパーファミコン音源を強くおすすめしたい。

直撃世代に限らず、若い世代にも違和感なく受け入れられる仕上がりになっているので要チェックだ。有料のダウンロードコンテンツのため、追加にあたり料金が発生するのが少々ネックだが、相応の価値はあると明言しよう。

見た目以上にやり応え抜群!オンラインマルチプレイも必見の傑作

全体的には過去2作の魅力はそのままに、自走する城を護るスリリングな展開と、それによって生み出された多彩なステージの数々が光る仕上がりだ。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

ただ気になる箇所もそこかしにある。特にひとつのミッション攻略に要する時間の長さは賛否が分かれるところだ。4ステージ全部終えるだけでも短くて15分、長くて30分程要する。中断セーブ機能もないので、プレイには時間的な余裕が必要になるのも厳しい。一応Nintendo Switchのスリープ機能で代用はできるのだが。

もし数分程度の短時間で遊べるゲームを求めている場合は本作は合わないかもしれない。それとは別に1ステージ辺りの構成も登場する敵が多い関係で間延び気味な所もあるので、テンポの良さを求める人は気になるだろう。ただ敵が出現する「ジェネレーター」(巣)を早期に潰すといった短期決着を狙う戦術もあるので、やり方次第ではある。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

他に、ミッションクリア後の拠点メニュー画面では、城のレベルを上げたり、新しいスキルセットを買ったりできるのだが、その中のひとつ「民に分け与える」の効果についての説明がないのも気になるところだ。

ただ、いずれもゲームの面白さに深刻な問題を与えていないのが救い。遊んでいる時はむしろ、お城と姫を沢山の敵から守るために細かい諸々を忘れて熱中してしまうほどだ。それほどゲームシステムの完成度の高さが際立っている。

紹介が遅れたが、ストーリーも全体的に愉快、かつファミコンを始めとする古くからの世代をニヤリとさせるような小ネタが満載。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

終盤にはシリアスな展開も用意されていて、ゲームと出会って遊ぶことの意義について深い問いかけを提示するイベントが待っている。中でもエンディングで語られる台詞には、本作がターゲットとする世代に限らず、今、ゲームを楽しんでいる若い世代もグッとさせられるはずだ。

ゲームのボリュームも大きく、1周するだけでも15時間。全部の要素を極めるとなれば100時間は裕に遊べてしまう本作。最大4人までのマルチプレイもローカル、オンライン共に対応しているので、接待ゲームとしても申し分なしだ。

懐かしさと新しさが絶妙に融合したアクションタワーディフェンス「すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ」

若干の時間的余裕は必要になるが、ファミコン時代に象徴される懐かしいゲームが好きな人から、アクションゲーム、タワーディフェンス双方が好きな人に強くおすすめできる傑作。今の技術を駆使した昔風のゲームとしてもインパクトのある仕上がりになっているので、レトロゲーム直撃世代ではない若いプレイヤーもぜひ体験してみていただきたい。

ただし!
作中では「よっこいしょういち」や「余裕のよっちゃん」といった、昭和の死語がフルボイスで飛び交う点にご注意!?(そして、それが分かってしまうと若くないと認定される点もまた注意!?)

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著者:シェループ
新旧様々なゲームに手を伸ばしては、積みゲーを増やし続けるひよっこライター。アクションゲーム全般(特にロックマンシリーズとメトロイドシリーズ)と戦略シミュレーションが大好物。
Twitter:@shelloop