ノートに描かれた超大作RPGを遊ぶ、手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」

 ゲームレビュー 
  公開日時 

 著者:ちゃんたく 

皆さんは子供の頃、「ゲームを作りたい」と考えた事はあるでしょうか。

筆者は子供の頃、当時から今でも大好きな「星のカービィ」のゲームを自作したことがあります。もちろんまだ小学生の頃の話なので、ただただ自由帳にカービィを描き、コースを作ったりオリジナルのコピー能力を考えたりした程度です。
それを「ゲーム」と呼ぶにはあまりにもお粗末な内容でしたが、無我夢中で作っていたその時の高揚感は今でもはっきり覚えています。

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今回紹介する「RPGタイム!~ライトの伝説~」は、そんな筆者の子供時代を思い出させてくれる、手作りアドベンチャーゲームです。

ノートに描かれた超大作RPGを遊ぶ、手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」

天才小学生ゲームクリエイターのケンタくんが送る、圧倒的作り込みRPG

ゲームの舞台は放課後の教室。プレイヤーは、ゲームクリエイターになりたい少年・ケンタくんが作った超大作RPG「ライトの伝説」を遊ぶことになります。

ゲームをプレイしてまず目を引くのは、その圧倒的な作り込みです。小さなノートを開くや否や、鉛筆風で描かれた味わいあるイラストがプレイヤーの目に飛び込んできます。
ノートに描かれたイラストは一部アニメーションになっており、ケンタくんの作ったRPGが「とんでもない超大作」であるとここで確信します。

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さらに、その圧倒的な作り込みはノートの中だけに留まりません。ゲームに必要なものも全てケンタくんお手製で、小物はダンボールで制作し、ステータスや体力バーといったモノもそれぞれドットビーズ、メジャーを使って表現されています。

ノートに描かれた超大作RPGを遊ぶ、手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」それらは全て小学生が用意できる物だけで構成されており、改めて「ケンタくんが作ったRPG」であると実感させてくれるのです。

ラクガキだらけの机の上に、所狭しと置かれたノートとアイテム。この徹底したアナログ感が、本当にケンタくんが作ったRPGを遊んでいるような没入感を与えてくれます。

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アクション、シューティング、コマンドバトル。豊富なアイデアから押し寄せる、数々のゲーム体験

それではゲーム本編を見ていきましょう。プレイヤーは「勇者ライト」として、魔王にさらわれた姫を助けるため旅に出かけます。

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勇者を自由に動かしながら、ノートに広がるマップを探索していきます。このマップも1枚1枚丁寧に描きこまれ、一部アニメーションになっています。

ページの端に進む道があれば、ページがめくれて次のマップが開けます。ただ先に進むだけなのに、次のページはどうなっているのかワクワクしますね。

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ゲームの進行も全てケンタくんが担当します。テーブルトークRPGのゲームマスターのように、イベントやハプニングはケンタくんが起こします。
突然消しゴムで道を消したり、鉛筆で宝箱を描き加えたりと、ノートを使ったRPGならではのギミックでプレイヤーを楽しませてくれます。

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探索中の演出だけでも十分楽しませてくれる本作ですが、RPGと言えばやはりバトル。
ノートに描かれたモンスターを鉛筆の剣で攻撃するのですが、そこは”あの”ケンタくんが作ったRPG。ただただ技を繰り出し、敵を倒していくわけではありません。

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モンスターは勇者の攻撃を対策し、防いでくることがあります。時にはノートに描かれている別のものに目を向け、何か違う行動を起こす必要があるかもしれません。
謎解き要素を交えたユニークなバトルで、一風変わったバトルが楽しめます。

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また、王道のターンバトルだけかと思えば、突如としてモグラ叩きゲームや野球が始まったり、2Dマップで戦車を動かしたりと、RPGの枠にとらわれないバトルが次々と襲い掛かります。

突拍子もなく様々なゲームジャンルが始まるので、「小学生が好きなゲームを全部詰め込んだ」感が絶妙です。

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小さなノートから生まれるのは、無限大の可能性

「RPGタイム!~ライトの伝説~」は構想に15年、開発に9年という途方もない時間をかけて制作されたとの事ですが、その理由がすぐに分かるほど圧倒的な作り込みが随所に垣間見えます。インディーゲーム故の、ある種狂気的なまでのこだわりには畏敬の念が尽きません。

長い時間をかけて作ったであろう演出も、出し惜しみするどころか矢継ぎ早に流していくので、「今のそんなアッサリでいいの!?」と若干申し訳ない気持ちになってしまうほどです。

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「RPGタイム!~ライトの伝説~」をプレイして得られる体験は、他のゲームでは到底味わえない唯一無二のものです。少なくとも、筆者が子供の頃に感じていた、ゲームへの夢や空想を見事に体現しています。

新たなゲーム感覚と、どこか懐かしい気持ちを一緒に味わえる「RPGタイム!~ライトの伝説~」。ぜひ遊んでみてください。

ノートに描かれた超大作RPGを遊ぶ、手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」

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家庭用ゲーム「RPGタイム!~ライトの伝説~」公式サイト | 2022.3.10 発売

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著者:ちゃんたく
eスポーツシーンを追い続けるゲームライターで、今は「ストリートファイター」界隈に夢中。生粋のラブライバーで、推しは星空凛、津島善子。
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