【レポート】「アドフリくん」主催「国産アプリを海外市場へ~アプリ海外展開 + 動画広告マネタイズセミナー~」
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
2017年11月10日、東京都港区六本木ヒルズにて、「アドフリくん」主催の「国産アプリを海外市場へ~アプリ海外展開 + 動画広告マネタイズセミナー~」が開催されました。
レッドオーシャン化した日本のアプリゲーム市場を見たときに、アプリゲームデベロッパーが生き残る1つの道として「海外展開」という選択肢があります。
セミナーでは海外展開のノウハウや成功事例、それに加えて最新の動画広告の実装例などが紹介されました。
この記事ではそのセミナーの中で共有された情報の一部をピックアップして皆様にお届けします。
アプリの国際展開をサポートするZucks 海外展開の成功例から学ぼう
普段セミナーに登壇することはほとんどないZucks(ザックス)さんですが、このセミナーには村上氏が登壇。
アプリゲームの海外展開をサポートしている実績を基に、海外展開のコツを語ってくれました。
FlappyBirdというタイトルは運良く世界的なヒットになったが、「まぐれ狙い」でなくても適切なプロモーションと適切なマネタイズができれば、海外でのヒットはつかみ取れる、と村上氏。
アプリゲームで世界展開を図る際にはいくつかのポイントがあるといいます。
村上氏によると、成功タイトルの共通点として以下が挙げられるとのこと。
海外展開で成功しているゲームの共通点
ゲーム内容
・人、キャラが登場しない
・直観的、非言語(ノンバーバル)なデザインと設計
・「高ARPU」を作る、ハマる仕組み
・オフラインでも遊べる
・15秒の動画で説明できるゲーム性
プロモーション
・計測SDKをしっかりと導入・自社にマーケティング専任担当を配置
・ペイド(有料)広告でのプロモーション実施
・基本的にはFacebook、Google、動画リワードでのユーザー獲得
・獲得ごとのユーザー分析まで行う
マネタイズ
・AdMobと動画リワードでマネタイズ
・課金機能は併せて実装
・広告費をねん出できる、収益核となる国がある
・国ごとにアドネットワークの収益性/CPMを評価
日本のゲームデベロッパーが海外展開時にやっておくべきこと
上記を踏まえて、日本のゲームデベロッパーが海外展開時にやっておくべきことについて、村上氏は、
「日本のゲームデベロッパーの場合、ゲーム性を大きく変える必要はあまりなく、重要な点はプロモーション。プロモーションに関しては動画リワードができればまずは十分。複数のタイトルを特定の国でリリースしプロモーションをすることで、特定のファンをつかむことができ、その後のタイトル展開が有利になる」
と述べています。
ただ中小の事業者にとってはこれらへの対応の負荷を吸収できないケースもあります。その場合は、VoodooやCheetahMobileなど、パブリッシングを行ってくれる企業がいくつかあるのでそれらのサービスを使うのも手。
海外展開のプロモーションはZucksでもサービス展開しており、バナークリエイティブを全て無料作成や、動画広告やFacebook、AdMobの運用代行などのサポートが受けられます。
海外展開のプロモーションはZucksでもサービス展開しており、バナークリエイティブの作成や、動画広告等の運用代行など、サポートを受けられます。
「カジュアルゲームもプロモーションの時代に入ってきていて、プロモーションがしっかりできれば海外でも成功できる時代になってきたと言えます」
と村上氏。
またZucksが運営する情報メディア「ザクマガ」に、海外主要ゲームサイト情報が掲載されていますので、海外展開を検討しているデベロッパーさんはこちらもチェックしておきましょう。
広告出稿時に押さえておきたい、海外主要ゲームサイト | 海外アプリ広告担当 村上の海外AppジャーナルVol.4
繁体字圏への展開を進めるジェーオーイー 収益化とプロモーションのコツとは?
「ようとん場」などの人気アプリゲームで知られるジェーオーイー。カジュアルゲームデベロッパーとして東アジアを中心に海外展開を進めており、今夏には台湾の高尾に支社を設立。
セミナーではその経験に基づくカジュアルゲームアプリにおける国際展開のノウハウが共有されました。
日本のデベロッパーにおすすめなのが繁体字圏、と語る石川氏。特に台湾は親日で文化も近くおすすめとのこと。
上の画像はジェーオーイーが繁体字圏である台湾と香港とでリリースしたアプリの実績。いずれも大きなダウンロード数を得ており、3つ全てがApp Storeで1位を獲得しています。
繁体字圏の端末のシェアはiOSが2割、Andriodが8割ということですが、上の図を見るとiOSの方がAndroidよりもかなり収益性が高いとが分かります。
繁体字圏のアプリ内広告のeCPMは、iOSが日本の約半分、Androidが日本の4分の1から5分の1と少し低めの数値。
そのため重要になってくるのがアプリ内の課金要素。台湾の給与水準は日本の半分程度ですが、同程度の金額でも課金率は日本と変わらないそう。さらにきちんとした品質のアプリゲームにすることで継続率も日本と同程度にでき、結果ジェーオーイーのケースでは収益の約50%が課金によるものになった。
やはり繁体字圏でも広告と課金のハイブリットでアプリゲームを収益化することが重要、と石川氏。
石川氏によると、動画ネイティブは非常におすすめの広告フォーマットで、ゲーム内のデッドスペースに動画広告をはめ込んで収益化することができ、アプリの収益を全体的に押し上げることが可能だといいます。
何も置かなければただのデッドスペースですが、ここに動画ネイティブを入れるだけで収益が10%増えた例もあるとか。
プロモーションに関してはニュースリリースなどをうまく使うと良いのではないかと石川氏。
繁体字版を出したことをニュースリリースで発信したところ、それを日本のネットメディアが掲載し、その記事を台湾メディアが転載、その記事が台湾のユーザーによってSNSでシェアされダウンロード数が伸びた例もあったとのこと。
広告出稿によるプロモーションではテストが大事、と石川氏は明かします。
アプリに合う広告フォーマットを探し、1DLあたりの獲得単価を確認し調整するなど、数値を見た広告運用が必要。最終的には出稿と収益のバランス、つまり収支が合うかが大事で、従って前段のアプリの収益性をいかに高めるか、というのがまず重要ということになります。
さらに、繁体字圏にアプリを展開する際は英語では駄目で、必ず繁体字への翻訳を、とノウハウを語ってくれました。
アプリ業界の幸せな未来を作る
SSPとしてアプリデベロッパーに向けて広告配信プラットフォームを提供しているアドフリくんからは池田氏が登壇。日々カジュアルゲームデベロッパーの収益化のサポートを行っている目線から、主に動画広告の最新の活用術に関する情報の共有がなされました。
広告が邪魔だというユーザーの声もあると思うが、動画広告によって広告が邪魔というイメージを払拭したい、と語る池田氏。
動画広告はアプリ内にうまく設置することでユーザービリティを妨げずに収益を向上させることができ、結果無駄な広告を減らすことが可能です。
アドフリくんでは「動画リワード広告」「動画インタースティシャル広告」「動画ネイティブ広告」の3つの動画広告フォーマットを提供していますが、収益性の良さとアプリの世界観を阻害しにくいなどの理由でこれらの動画広告の実装が大きく増えてきているそうです。
やみくもに広告の実装箇所を増やすのではなく、適切に設置することで収益性が改善し、邪魔だと思われにくくなるのではないか、と池田氏は語ります。
収益を考えた際に動画広告の再生単価を上げる必要もありますが、それには配信する広告ネットワークの調整が必要。アドフリくんではSSPとして様々な機能やサービスを提供しています。
大変魅力的な情報が共有されましたが、会場限定とのことですのでここでは割愛。
気なる方は是非アドフリくんの担当者にお問い合わせいただくか、次回以降のセミナーにご出席いただければと思います。
最後に、アドフリくんの今後の取り組みについて、池田氏は次のように語りました。
「アドフリくんではアプリの世界観を阻害せず、かつ収益性も高い広告フォーマットを引き続き拡充します。アプリデベロッパーの皆様に多くの選択肢を提供できるようにしていきます」
「アプリの収益を最大化させることがSSPの使命です。しかしそれだけではなく、動画広告の可能性を広げていくことも我々の使命だと思っています。アプリ開発を辞める方がいたり、iOSの仕様が変わったりと、アプリビジネスが難しくなってきているのではないかという声もあります。ですが今年になって個人のデベロッパーさんで法人化したところが複数あります。アドフリくんはそのように闘っているデベロッパーさんを助けていけるような活動を続けます」
「アプリ業界の幸せな未来を作るために、一緒に頑張っていきましょう」