VR×ゲームはロケーションVRが本命?2017年後半から現在までのロケーションVR事情
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
VR元年、とはもはや言われなくなってしまいました。家庭用VRはその導入コストの高さが普及のハードルとなっており、なかなか一般には浸透していないように思われます。
ではVR×ゲームの芽は潰えてしまったのかというとそういうことではなく、家庭用VRに代わってここのところ「ロケーションVR」が元気。
ロケーションVRとは、遊戯施設などに設置して1回ごとに料金を支払ってプレイするタイプのVRコンテンツで、多くの場合VRゲームを楽しむことができます。一般的なゲームセンターのゲームと比べると、VRゲームのプレイ料金は500円~2,000円ほどと若干高めに設定されていることが多いのですが、「VRに興味はあるが導入コストが高いためにプレイしていなかった」という層にとっては手軽にVRゲームを体験できる場、ということになります。
さて、日本国内で有名なロケーションVRといえば、昨年7月にオープンした「VR ZONE SHINJUKU」。
オープン以降連日満員となる程の大人気で、昨年末には「クールジャパン・マッチングアワード2017」のグランプリも受賞。ロケーションVRの可能性を一気に認知させました。
日本国内ではその他、コーエーテクモから体感型VR筐体「VR センス」がリリースされるなど、ロケーションVR関連の良いニュースが相次ぎました。
海外に目を向けると、隣国韓国では政府がVRの普及を強力にバックアップ。昨年は数百億ウォン(数十億円)単位の支援を行い、その結果大小さまざまなロケーションVR施設が韓国国内に急増しました。
南国台湾もローケーションVRが拡大中で、VIVELANDやJoyLandといったVR専用のテーマパークが台北市内で増加。
1回のプレイ料金は200台湾ドル(約750円)と、台湾の物価から見ると高額ながら、徐々に人気を獲得しています。
このような大規模なロケーションVR施設と併せて比較的小規模なロケーションVRも数を増やしています。
先日末に開催された台北ゲームショウでは、日本制のVRプラットフォーム『V-REVOLUTION』が展示されており、大きな関心を集めていました。
V-REVOLUTIONはゲーミングPCとVRディスプレイのVIVE、そして3m×3mのプレイスペースがあれば設置することができ、店舗側の設置ハードルが低いのが特徴。PCやVIVEはレンタルも可能で、「VRコンテンツを試してみたい」という小規模店舗のニーズを叶えるプラットフォームと言えるでしょう。
現在は京都の「THE 3RD PLANET (ザ・サードプラネット)BiVi京都二条店」に設置されていますが、本格的な全国展開、海外展開に期待したいところです。
より小規模なロケーションVRの例として、数人から十数人でのイベントで使用する、というケースも増えてきました。昨年末に日本合コン協会が渋谷で開催した『VR人狼合コンin渋谷』などはその良い例と言えるでしょう。
この合コンイベントは約10名ほどの男女が一室に集まり、VRゲームの「VR人狼」をプレイしながら親睦を深めるものでしたが、このようにイベントで気軽に利用できるのが小規模ロケーションVRの特徴の一つ。ゲームによっては必ずしも人数分のVRゴーグルは必要無く、主催側にとっては小額でロケーションVRイベントを開くことができるという訳です。
日本合コン協会は「VR人狼と合コンの相性はとてもよく、同様のイベントをまた企画したい」としています。
家庭用VRの動きが一旦沈静化する中、このようにロケーションVRには飛躍の兆しが見られます。極めて近い将来、ゲームセンターがロケーションVRで大復活!街中に気軽なVRコンテンツがあふれる日が来るかも知れません。