アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

 取材 
  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

スマートフォンアプリ収益化の手法は様々ありますが、その中でも広告によるアプリの収益化は中小のアプリデベロッパーにとって非常に重要な手法の1つでしょう。

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アプリの中にバナーを設置するだけではなく、動画広告を視聴するとアプリ内で使えるアイテムがもらえる「動画リワード広告」など、収益性が高くユーザーにとってもメリットのある新たな広告フォーマットもここ1~2年で登場しています。事業規模の大小によらず、そうしたアプリ内への広告を実装するデベロッパーも増えて来ています。

年々大きく成長しているアプリ内広告市場ですが、ここでご紹介する株式会社ADFULLYは、そのアプリ内広告のSSP「アドフリくん」を運営し、主にアプリデベロッパーに対してスマートフォン広告の収益を最大化するサービスを提供してきました。

2013年から多くのアプリ開発者をマネタイズの側面からバックアップしてきたアドフリくん。その運営会社である株式会社ADFULLY代表取締役の小室喬志氏に、アドフリくんの開発者をサポートするマインドについて伺いました。

小室喬志(コムロ タカシ)氏

アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

株式会社ADFULLY代表取締役
Glossom株式会社(グロッサム)執行役員

サービススタートから数年で導入アプリ数1万越えを達成

アドフリくんは主にスマートフォンアプリへの広告の実装をサポートするSSP。元々は自社のウェブやアプリメディアの広告最適化のための社内ツールでしたが、2013年より外部メディアへのサービス提供を開始。
その後事業として独立、元々の所属会社からスピンアウトする形で2015年に株式会社ADFULLYが発足しました。

現在は1万を超えるアプリがアドフリくんを使用していますが、サービスを開始した2013年はまだSSPというサービスの知名度自体が低かった時代。特にスマートフォンアプリを対象にしたSSPはほとんどなく、初期の導入先の獲得は苦労したといいます。

アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

小室氏『他のSSPやネットワークが横文字でカッコイイ名前がついている中で、アドフリくんってちょっと変な感じですよね(笑)。大手グループでもなく知名度もありませんでしたから、導入していただくのは大変でした』

SSPのサービスは優れた広告ネットワークとの接続も大切ですが、

小室氏『サービススタート当時はDSPとの連携をお願いしに行っても、他の知名度が高いSSPとの連携が盛んだった中、なかなかすぐにというわけにはいきませんでした』

そんな中、個人のアプリデベロッパーがアドフリくんを使ってくれていた、と小室氏。丁寧なサポートもあり初期は個人デベロッパーを中心にアドフリくん導入事業者が徐々に増えていきます。
その後利用者の口コミやSNSでの発信などにより徐々に認知が拡大し、アドフリくんアプリの登録数も上昇。

アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

SSPはメディア(アプリデベロッパー)寄りのサービス、と語る小室氏。初期から継続しているアプリデベロッパーへの丁寧なサポートが、現在のアドフリくんを形作っています。

小室氏『マネタイズのコンサルティングという側面から、多くのアプリデベロッパーが自分のアプリで自己実現できるようにサポートしていく、それがアドフリくんの事業目的です』

アプリ内広告を大きく変えた動画広告

スマートフォンアプリの広告による収益化はかつてアイコン広告や静止画バナーが中心でしたが、最近は動画関連の広告フォーマットが浸透してきました。
動画広告は収益性が高く、アプリデベロッパーにとっては非常に魅力的な広告フォーマットといえます。

アドフリくんでは代表的な広告フォーマットはほぼ網羅されていますが、その中でもやはり動画広告は大きく伸びてきているといいます。

小室氏『ゲームアプリは動画広告との相性が良いと思います。実際に多くのゲームアプリに動画広告が実装されていて、収益性も良好です』

アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

動画広告の代表的なフォーマットは「動画リワード広告」「動画インタースティシャル広告」「動画ネイティブ広告」の3種類。
小室氏によるとこれらの動画広告は総じて静止画バナーよりも収益性が高く、軽く数倍から、場合によっては十数倍の収益性となることもあるとか。

小室氏『アプリ内の広告は邪魔なものというイメージがあったと思いますが、動画広告が出てきてからはその概念を打ち崩して、よりクリエイティブな形で広告の実装ができるようになってきたと思います』

動画広告を実装するときに大切なのは、設計段階で動画広告をどう入れるかをきちんと設計しておくこと。アドフリくんでは実装後の最適化のサポートももちろんですが、広告フォーマットの選択や実装デザインなどの広告実装面のアドバイスも積極的に行っているとか。

小室氏『例えば、動画リワード広告には実装するときに技術的な負荷だけではなく企画的な負荷もあります。ただ広告を置くだけではなく、リワードとして何を与えるかなどの企画力が必要になります。この辺りもサポートできるというのがアドフリくんの特徴の1つです』

アプリデベロッパーに寄り添うSSP『アドフリくん』のマインド「アプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添っていきたい」

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ブラックボックスは嫌!透明性の高いアドフリくんの管理画面

小室氏『アドフリくんはメディア発のSSPですから、メディア(アプリデベロッパー)のかゆいところに手が届く機能がたくさん詰まっています』

ではその「かゆいところに手が届く機能」とはどういったものでしょうか。

筆者が注目する大きなポイントは透明性の高さ。
アドフリくんは、管理画面で全てのアドネットワークの再生数や収益性、収益額が閲覧できるようになっています。
これはつまりアドフリくんを通じて収益が本当に最適化されているかをアプリデベロッパーが把握できる、ということを意味します。

え、それって当たり前では?と思った方も多いと思いますが、これは実はすごいことです。
全てをオープンにするということはごまかしが効かない、ということでもあります。
例えば特定のネットワークに何らかの理由で多くのインプレッション(広告表示回数)を与えた場合、それがアプリデベロッパーにも分かる、ということになります。その結果収益が下がる場合も当然あるわけですが、それすらも開示しているということです。
管理画面には1日ごとの合計の数字だけが表示されるというSSPも多い中、アドフリくんのこの姿勢は非常にチャレンジングに感じられます。

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小室氏『自分たちがSSPをメディアとして使っていましたから、メディアにとって収益情報がブラックボックスになっているのは嫌だと思って、最初からこのような仕様にしました』

アドフリくんには自動配信機能もあり、スイッチ1つでフルオートでの最適化も可能です。しかし、SSPとしてそれだけでは十分ではない、と小室氏。
収益上何か変化が起きたときにその原因がわかるものでなければならない、そういう情報をきちんと提供することでアプリデベロッパーに自分でマネタイズする力が付き、変化に対応できるようになる、と小室氏は語ります。

小室氏『もちろん選択として収益最適化はアドフリくんに任せてアプリ開発運営に注力するというのも正解の1つです。その場合も数字が全て開示されていることで、クリーンな土俵でアドフリくんとアプリ開発者が向き合うことができます』

これはSSPにとっては大変なリスクをとった仕様の選択のように思われますが、結果として利用しているアプリデベロッパーからの評判は上々。

小室氏『運用担当はごまかしが効かない環境で頑張ってくれています。おかげさまでアプリデベロッパーの皆様にも信頼していただいています』

アドフリくんの更なる飛躍に期待!

アドフリくんは2年ほど前から積極的にアプリデベロッパー対象の収益化セミナーを実施しています。

小室氏『セミナーは今後も継続してやっていきたいと思っています。アプリデベロッパーが自己実現するサポートをしていきたいですね』

スマートフォンアプリの市場においては非常に厳しい競争があり、ビジネスを継続していくのは簡単ではありません。
アドフリくんを利用していたデベロッパーの中にもアプリ開発を諦めてしまったところもあるそうですが、一方でビジネスがうまく軌道に乗り個人から会社化したところもたくさんあるそうです。

小室氏『そういったアプリデベロッパーの成功が励みになります』

2016年にグリーグループに参画したことで、最近は大手デベロッパーにも使ってもらえるようになってきた、と小室氏。
ここ数年の快進撃につい目が行ってしまいますが、初期の地道な積み重ねと、透明性の高いシステム、そしてアプリデベロッパーにとことん寄り添うというマインドで、少しずつサービスを育ててきた、というのがアドフリくんの本当の姿。
今後も多くのアプリデベロッパーの成功がアドフリくんのサービスから生まれることを期待したいですね。

小室氏『僕たちは、広告を押し売りしません(広告をたくさん置いてくれみたいなことは言いません)。ユーザーの邪魔をせずに、ユーザーが少しでも喜んでくれるような広告実装ができるようにサポートします。そうしながらアプリデベロッパーが実現したい夢やポリシーに寄り添いたいと考えています』

アドフリくん公式サイト

https://adfurikun.jp/adfurikun/

著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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