【Slush2017レポート】福岡発!仮想通貨を使ったゲーム特化型ソーシャルプラットフォーム「LuckyMe」
著者:篭谷千穂
2017年11月30日(木)〜12月1日(金)、フィンランド・ヘルシンキにて世界最大級のスタートアップ・フェスティバル「Slush 2017」が開催され、日本の地方自治体で唯一福岡県福岡市がブース出展し、さらに日本市場に興味のある海外のスタートアップ対象としたサイドイベント「BIG IN JAPAN」を開催しました。
※この記事はvsmediaの取材協力を得て掲載しています。
このイベントにおけるピッチ(1~5分などあらかじめ決められた短い時間内に自社やサービスを紹介すること)にて、福岡市の天神に拠点を置くモバイルゲーム企業の株式会社グッドラックスリーが、新たなゲーム特化型ソーシャルプラットフォーム「LuckyMe」を発表したので、その詳細をお伝えします。
同社は「エアリアルレジェンズ」や「さわって!ぐでたま」といったタイトルを提供しているので知っている方も多いのではないでしょうか?
ゲームの口コミやプレイレビュー、攻略法といった情報は、各種SNSや2ちゃんねる、配信プラットフォームのレビューに投稿されがちですが、そうした場はどうしてもポジティブな声よりもネガティブな声が目立ちがちで、実際にゲームを開発・配信している人をゲンナリさせてしまいます。
その一方いざゲームがサービスを終了してしまうと、ゲーム本体はおろかそれまでプレイヤーがオンラインに投稿した情報までもが全て「リセット」され無価値になってしまいます。ゲームの情報をよりポジティブかつ建設的にし、情報を”財産”として形にすることができたら…それが「LuckyMe」です。
「LuckyMe」内では独自の仮想通貨(トークン)「Luckcoin」が流通し、良質な情報を投稿したユーザーと、その投稿の内容を評価するユーザーが対価として「Luckcoin」を受け取ることができ、これにより「LuckyMe」内では質の低い記事が排除されて有益な情報が可視化されます。また情報は「Luckcoin」によって”財産”へと変わります。
これまでは、興味があるゲームの情報を収集するには、まず検索をしてその結果から欲しい情報を取捨選択する必要がありました。しかし検索結果には必ずしも有益な情報ばかりがあるわけではなく、ゲーマーとゲーム情報を結びつける障壁となっていました。その点「LuckyMe」は、ユーザーが投稿した情報を仮想通貨を介してユーザー同士で評価するシステムなので、投稿の品質が保たれゲーマー向けの情報が適切にゲーマーへと届きます。
なお、SNS機能やゲームのレビュー機能、「Luckcoin」のウォレット、評価システムといったプラットフォームとしての主な機能は全て”ブロックチェーン”の上に乗っかっています。
ブロックチェーンとは、最近話題の「ビットコイン」といった仮想通貨の中核となる取引データの保存技術をのことを指します。複数の取引データをまとめたものを「ブロック」と呼び、そのブロックが連なる(チェーン)ように保存された状態が”ブロックチェーン”で、仮想通貨をを利用しているユーザーのコンピューターに分散管理されるのが特徴です。
銀行のような特定の管理機関がないため権限が一極集中せず、システム障害に強いのが特徴です。
つまり「LuckyMe」は仮想通貨のシステムを土台としたソーシャルプラットフォームなんですね。
「Luckcoin」は仮想といえども通貨なので、ゲームクリエイターの資金調達手段に使うこともできます。
例えば、ユーザーから「ゲームに新しいキャラを加えて欲しい!」というアイデアが出た場合、賛同するユーザー同士で「Luckcoin」を集めて開発資金としてクリエイターに渡し、それを実現してもらう、といったこともできます。
また「Luckcoin」を使ってプレイしているゲームのアイテムを買い、クリエイターを支援することも可能です。
この「LuckyMe」は、今年9月に行われたSlush福岡市代表スタートアップ選抜ピッチコンテストで優勝し、今回のSlush 17に参戦したとのこと。今後は開発資金調達のためのICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開:資金調達したい企業やプロジェクトが独自の仮想通貨を発行して資金調達すること)とホワイトペーパーの公開を予定しているそうです。