カジュアルゲーム入門ガイド・5つの要素から見るカジュアルゲームの軽量化

 ohayoo 
  公開日時 
 SQOOLNET編集部 

この記事は、中国のモバイルゲームパブリッシャー、Ohayooの記事を許可を得て翻訳掲載したものです。

元記事
Casual Game Tutorial — Simplification of Casual Games from 5 Aspects

カジュアルゲーム入門ガイド・5つの要素から見るカジュアルゲームの軽量化

中国でカジュアルゲームが流行し始めた時期はやや遅く、経験の蓄積があまりありません。そのため、カジュアルゲーム分野に足を踏み入れたばかりの開発チームや、ハードコアゲームに飽きてカジュアルゲームに転換してみようかと考えている開発チームには懸念も多いことでしょう。そこで、カジュアルゲームの軽量化について情報を共有したいと思います。

軽量化は「見た目」、「プレイ」、「感覚」という3つの角度から話したいと思います。また「UIインターフェースの軽量化」、「プレイスタイルの軽量化」、「ゲームの目的の軽量化」、「ゲーム戦略の軽量化」、「アートスタイルの軽量化」の5つの側面に分けることができます。

「見た目」とはUIとアートを指し、「プレイ」とは遊び方や目的、「感覚」とは戦略を指します。

続いて、この5つの側面について逐一説明しましょう。

UIインターフェースの軽量化

「ステレオタイプ」という考え方はゲーム業界にも存在します。ゲーム画面の右上にアイコンがずらりと並び、週間ボーナス、通行証、イベントがメインとなれば、ゲームUIは必ず重くなります。

単位時間当たりに取得される情報の量

単位時間内にプレイヤーが注目すべきデータが少ないほど、ゲームはカジュアルなものとなります。

UI自体はシステム機能のためにあるものです。UIに収まりきらないコンテンツはなく、デザイン次第となります。ハードコアゲームのシステムは大規模かつ複雑であるため、それだけのコンテンツと情報の表示をUIが担うことになれば負荷も大きくなります。例えば、1つの装備に20のパラメータをひもづけている場合、20のパラメータをすべて書き込まなくてはならず、もし1つでも欠けていれば、課金しているプレイヤーはだまされたと感じてしまいます。

カジュアルゲームには周辺システムが少なく、ステータスでユーザーを圧迫するような長時間のチュートリアルはなく、遊び方も軽いものがほとんどです。大多数の一般プレイヤーはステータスの上昇を気に掛けないため、UIへの負荷も自然と小さくなります。

また、スタンドアローン志向のカジュアルなゲームプレイにはプレイヤー間の対戦というものがなく、強い・弱いの判定には直接的な比較や数値化が行われません。そのため、プレイヤーもこの武器の攻撃力が100なのか134なのかといったことを気にしません。

そのため、UIには一部の重要なパラメータさえあれば、プレイヤーの期待に応えることが可能となります。そうしたUIは自ずと、よりシンプルなものとなります。それが即ち、私たちが言う軽量化なのです。

それでは、「重要なパラメータ」とは何でしょうか。大まかに言えば、プレイヤーが強弱、良し悪し、優劣を直感的に判断するときに用いられるのが重要パラメータです。例えば、攻撃力がアップする、伝説の装備、戦力999…などがあります。

プレイスタイルの軽量化

テクニックや手段を使う必要のない、シンプルで純粋なゲームプレイが現在のカジュアルゲームの中心となっています。

オッカムの剃刀――必要なしに多くのものを定立してはならない

ハードコアゲームはプレイヤーに大量の時間を消費させ、リテンションと没入感によってより高い課金率を得ています。そのため、現在のハードコアゲームは無数のコアなゲームプレイをゲーム内に含んでいます。アクション系ゲームにも、その中に山ほどのミニゲーム、または放置系のゲームプレイを設置しているものがあります。プレイしたいと思えば、このゲームの中であらゆるプレイができるのです。

さまざまなシステムが、複雑にからみあい、相互に影響しあった結果、すべてのルートを網羅することは複雑で困難になります。

カジュアルゲームにはそれほどの複雑さは必要ない、というよりそんなに複雑であってはならないのです。

ちなみにプレイヤーの期待に関してですが、カジュアルゲームのプレイヤーがダウンロードするのは手軽に遊びたいからであって、大多数のプレイヤーはそのゲームで1日中、ましてや数カ月も遊べるとは思っていません。短期間遊ぶものだと想定しているのです。(プレイヤーのこうした予想を長期的な没入に変えるのが私たちの目標です)。

必要不可欠なゲームの特徴と中心となるルートを除いて、カジュアルゲームは膨大なボリュームでプレイヤーを引き留める必要はないのです。適切なゲームプレイの追加はゲームのテンポを緩めますが、行き過ぎたゲームプレイの積み重ねは開発コストを増すのみです。

それぞれのゲームプレイに本編との関連をもたせてこそ高い参加率が得られるのですが、これは非常に骨の折れることです。

とは言え、ゲームプレイの参加率を引き下げておざなりにすれば、開発コストに見合わず、損することになります。

そのため、カジュアルゲームのゲームプレイモデルは、1本の線で描くのがベストだと言えます

カジュアルゲーム入門ガイド・5つの要素から見るカジュアルゲームの軽量化

上の図のように、コアゲームプレイが面白さの中心であることも、ゲームでは最重要となります。コアリソースでアウトプットをコントロールして広告ポジションを作り出し、戦力キャリアをレベルアップの目標として、最後にゲームプレイへフィードバックして能力を検証します。

もう少し複雑なものを作りたい場合は、既存のライン上でふくらませて、必要がなければ、サイクルから外れるコンテンツを増やさないことです。そうでないとプレイヤーの負担となる可能性があります。

カジュアルゲーム入門ガイド・5つの要素から見るカジュアルゲームの軽量化

面白さには大抵コストがかかりますが、もしわずかな負担でゲームをもっとよくできるのであれば、それは価値あることと言えます。

ゲームの目的の軽量化

プレイヤーはゲームをプレイしたいのであって、そのほかのことはあまり考慮しません。そのため、ゲームの目的の軽量化が必要となります。

シンプルに、分かりやすく

ゲームの目的の軽量化は現在のカジュアルゲームの軽量化を図る上で最も一般的な切り口です。プレイヤーのゲームの目的をシンプルで単純なものとし、1つのことに、1つの結果だけという形でゲームを進めていくというのが、最も軽量化された表現となります。

ここで軽量化の足りないデザインを挙げてみましょう。多くのゲームでは、リプレイ性のためにプレイヤーにすでにクリアしたステージを周回させますが、単に何度も周回しても面白くありません。それで、ステージチャレンジ、3つ星システム、ノーダメージ、時間制限、各種制限条件などの追加が考えられます。こうした形式は、ハードコアゲーマーをある程度惹きつけますが、一部のカジュアルゲーマーにとっては、1つのステージで複数のターゲットを目指すことができず、ゲームの面白さが失われます。

一部の開発者は、やり込み傾向のあるプレイヤー向けにゲームの目的を設ける必要性を感じるかもしれません。その場合は、システム上アンロックに適切な事後条件やハードルを設定することで、カジュアルゲーマー向けの、シンプルで分かりやすいという初期目的を変えずにすみます。

コンテンツについて言えば、シンプルで分かりやすい目的とは、コンテンツのとぼしさではなく、次元のシンプルさを指します。例えば、RPGのゲームプレイでは、プレイヤーは装備を追求することができ、装備の属性が何であれ、すべて単一の次元、シンプルで分かりやすいという条件に合致しています。もし装備をベースにした上で、さらに能力ポイント、スキルブック、ペットが追加されれば、次元が大幅に増えることになります。

面白いものが、ベストとは限らないのです。

ゲーム戦略の軽量化

チャレンジ性のないゲームでプレイヤーを定着させるのは難しいですが、チャレンジ性が過ぎるとカジュアルゲームとは言えません。多くのプレイヤーを引き留めようと思えばそれに合わせた異なる戦略のレイヤリングが必要となります。

分からなくても遊べるが、分かったらもっと面白い

カジュアルゲームは開発コストが低いとはいえ、いい加減にごまかしてもいいというわけではありません。特に戦略面では、新規プレイヤーのエクスペリエンスを確保するためにシンプルな戦略が必要となります。しかし、何の戦略性もなければ、長い目で見たゲームエクスペリエンスは冗長なものとなります。私たちは大多数であるカジュアルゲーマーのエクスペリエンスと、長期定着するコアプレイヤーのエクスペリエンスの両方を考慮する必要があるのです。

だからこそ、ゲームには戦略が不可欠となります。軽量化された戦略は、主に「分からなくても遊べるが、分かったらもっと面白い」と表すことができます。

「分からなくても遊べる」:手の込んだデザインには理解するための手間がある程度必要となりますが、この手間をすべてのプレイヤーが受け入れられるわけではありません。初心者へのガイドと難易度のデザインにおいては、基本的なチュートリアルでゲームのルートを進め、ゲームプレイの楽しさを感じることができれば、プレイヤーは周辺システムをプレイしなくてもコアなゲームプレイの面白さを感じることができます(ステージで行き詰まれば、広告を見て解決します)。

「分かったらもっと面白い」:当初の全体的な戦略がシンプルに偏るのは幅広いユーザーセグメントに対応するためであり、中盤から後半にかけて戦略性を高めるのは、ゲームでの達成感を求める定着プレイヤーのニーズを満たすためです。行き詰まった場合は通常広告を見ることで解決できますが、ゲームが中盤から後半に移ってきたら、プレイヤーがより早くルートを進められるように戦略的に助けるようにします。ゲームに没頭するプレイヤーにはやり込みたいという気持ちや、とにかくクリアしたいと思うコンテンツがあるので、それに伴ってより多くの広告スペースが生み出されます。

アートスタイルの軽量化

良いアートスタイルとはテーマをより良く説明する、ひと目で分かるアートスタイルです。

落とし穴を避けて、身の丈にあったスタイルを

アートスタイルにも注意を払う必要がありますが、アートとはテーマに沿うもので、ほとんどの製品では、基本的に確立された世界観がアートの大まかな方向性を決定づけています。国内のカジュアルゲーム市場では、一部のハードコアゲームとの類似性や、地域性がはっきりしている欧米風のスタイルを避け、できるだけ地に足のついたアートスタイルで、プレイヤーの美的要求を減らし、プレイヤーの理解の手間を減らすようにしています。ローポリ、ピクセル、ゴム人間などのよく見られるカジュアルスタイルは、十分に「親しみやすい」ものですが、相対的に表現力が不足しており、表現のディテールが制限されます。カジュアルのテンプレート通りですから、カジュアルゲームの競争において優位性をつかむことはできません。ただ、低コストであることから、事情によっては使用が可能となります。

まとめ

以上が、私たちが開発者の皆さんに贈る「カジュアルゲームの軽量化とは何か」の答えです。開発者の皆さんとの活発なコミュニケーションを楽しみにしています。私たちは開発者の皆さんに定期的な入門ガイドを提供することで、より多くの開発者の皆さんがインスピレーションを得て参入してくれることを心から願っています。Ohayooの最新情報を知るには、公式Twitter及びMediumアカウントをフォローしてください。contact@ohayoogames.comへのメールもお待ちしています。

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