日本のeスポーツ界隈は前に進んでいるのか?
著者:KK
筆者がeスポーツに触れたのは数年前、決して早い時期からeスポーツを知っていたわけではありませんが、2016年7月の上海ChinaJoyでその人気と熱狂っぷりを目の当たりにし、
「これが日本でも流行ったらいいな」
「日本でもeスポーツが認知される可能性は十分にある」
と思ってきました。
しかし、最近になって「やっぱり日本はちょっと時間かかりそうだなぁ」という気もしてきました。
昨日2月1日、eスポーツの振興を目的とする新団体「一般社団法人 日本eスポーツ連合(JeSU)」の設立が発表されました。これは日本eスポーツ協会、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟の3団体を統合した団体。
会見の様子は
https://games.app-liv.jp/archives/338575
こちらの記事がよくまとまっているので興味のある方は是非読んで頂きたいのですが、
筆者の率直な感想としては、何を目的とした団体かよく分からんな、プロゲーマーは果たしてこの流れを良しとするか疑問だな、って感じです。
なんとなく行き場を失った政党が引っ付いて色々な綱引きをした結果「ちょっと人数多いけどみんなで会見しましょう」、的に見えてしまう気がするのはさて置き、
同団体の具体的な活動内容としては
e-Sports振興に関する調査、研究、啓発
e-Sports競技大会の普及
e-Sports競技大会におけるプロライセンスの発行と大会の認定
e-Sports選手育成に関する支援とその地位の向上を図る
e-Sportsに関する関係各所との連携
ということのようです。
「え、そんなのあったんだ」的な団体が分散的に色々とあるよりも、1つにまとまって行動しましょうというのは基本的には良いことだと思いますが、「eスポーツ大会と聞けばウチを通せ」とか、「ウチのプロライセンスを持っていないとこの大会には出さない」とか、挙句の果てには「ライセンスは有料で年額課金で結構高い」とか、そういう「やな感じ」にならないと良いなぁと思います。
是非門戸を狭めるのではなく、eスポーツの裾野を広げるものであって欲しいと願ってやみません。
プロゲーマー認定制度については昨年末から色々と主にネガティブな論調がネット上にありますが、筆者も、さて今まで苦労して努力を積み重ねて海外で活躍してきたプロゲーマーの方々が、果たしてこの新しくやって来た団体の「プロゲーマーライセンス」を必要とするのか、と若干疑問に思うところです。
ライセンス対象となるゲームタイトルもなんとなく微妙な感があり、ストリートファイター5は分かるとして、更に100歩譲ってその他のPS4タイトルなどはまあ色々あるんでしょうと理解するとしても、モンスト、パズドラ辺りはなぜここれらが認定タイトルの第一陣に入っているのはかよく分からないところです。良いゲームだとは思いますが、eスポーツとしてはどうなんでしょう?
或いはモンスト、パズドラでeスポーツが盛り上がる絵図が日本eスポーツ連合の皆様には見えているのかもしれませんが、リーグオブレジェンドやオーバーウォッチやDota2にも目を向けていただけると、ガラパゴス化しなくてよいのではないかと思います。プロプレイヤーにとってもファンにとっても「世界に出れる可能性」って大事ですよね。
プロゲーマーのライセンス発行の目的の1つに、プロゲーマーの社会的認知の向上というのがあるようで、その目的自体には筆者も大いに賛成です。
でもそれって「eスポーツって面白い!」と言ってくれるファンを日本中に増やすことだと思うんですよね。eスポーツ大会の運営をサポートしたり、関連の勉強会の集客を手伝ったり、メディアと組んで丁寧に情報を発信していったり、みたいな地道な活動の積み重ねが必要ですが、その辺りでの活躍にも期待したいところです。
今のところなんとなく団体の指針が見えにくいだけに、「金の匂いがしたから今更やって来た」と言われないかが老婆心ながら心配ですが、そのようなことがないように具体的な活動が早い段階で見えてくると良いですね。
「一般社団法人 日本eスポーツ連合(JeSU)」が、eスポーツ大会の運営者やプロゲーマーの皆様にとって、意味のある良い団体として今後活躍していくことを願ってやみません。
ついでのプチ宣伝ですが、SQOOLが運営に入っている「ゲームライターコミュニティ」では、1月31日に「eスポーツ大会の取材ノウハウ徹底公開」という勉強会を実施しました。なんてタイミングの良い!
会のレポートはゲームライターコミュニティ公式サイトに掲載されていますので、是非こちらもご覧くださいませ。