「ゲーム攻略」から「ゲーム研究室」にサイト名称を変更した理由と経緯について

 コラム 
  公開日時 

 著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長) 

SQOOL.NET管理人です。
5月22日にサイト名称を

「ゲーム攻略!SQOOL.NET」

から、

「SQOOL.NETゲーム研究室」

に変更しました。

「ゲーム攻略」から「ゲーム研究室」にサイト名称を変更した理由と経緯について

サイト名称を変更した理由について、特に「攻略」というワードが外れたことについていくつかご質問をいただきましたので、少しだけ経緯をご説明したいと思います。

少し前に大手ゲーム攻略サイトの記事盗用が問題なったこともあり、「攻略記事のパクリ問題が原因ですか?」というご質問を複数回頂きました。それは確かに理由の1つではありますが、主な理由ではありません。

攻略サイトを運営する以上ある程度パクられてしまうのは想定しておくべきで、というのも同じゲームを対象に攻略記事を書いたときに似てしまうのは当然で、であれば「パクってもばれにくい」と考える人間がいるのも仕方がないからですが、当サイトの場合は長文系の攻略記事が多かったこともあり、またそれほど大きなサイトでないこともあり、実は予想よりはパクられていませんでした。

では「攻略」を外した理由は何かというと、端的に申し上げれば、攻略コーナーの収益性が著しく下がってきた、というものです。

攻略記事を収益化する方法は、

1.メーカーから攻略コーナー設置の依頼を受ける
2.広告を設置する

の2つが主に上げられますが、ここ数年はゲームメーカーのウェブへの広告費の抑制もあり、1記事あたりの収益性はかなり落ちてきていました。
これは何も不況がやってきたという話ではなく、今までスマホのアプリゲーム市場の右肩上がりの成長を根拠として糸目を付けずに吐き出されていたゲームメーカーのウェブ広告予算が、通常のあるべき水準に落ち着いてきたということだろうと思います。つまりこれで正常なのであって、また再び2013年、2014年の頃のような、濡れ手に粟の状態は戻ってこないだろうと考えました。

攻略サイトのバブルは終わった。
ゲーム攻略サイトはその後どうするのかを選択する必要がありました。

お金の話か、と言われればその通りですが、メディアにとって記事の収益性というのは、「見に来るユーザーの数」や、「お金を払って置かれる広告の質」などを数値化したものであり、それが下がっているという事は、世の中から求められなくなってきているという事を意味します。それはサイトの方向性を見直すのに十分な理由でした。もちろん力不足という面も大いにあります。攻略で戦えているところは戦えていますので。

もう1つの大きな理由は、アプリゲームの収益化の手法に「動画リワード広告」が登場し、定着したことでした。
当サイトには脱出ゲームの攻略コーナーがあり人気のコーナーの1つでした。謎を解いて脱出する構造の脱出ゲームは、攻略サイトとの相性が良く、ユーザーの途中離脱を防止するという意味でゲーム開発者にも利益を返せる、攻略サイトとしては非常に良いコーナーでした。

しかし「動画リワード広告」の出現により状況が変わりました。脱出ゲームは

「動画リワード広告をユーザーに見せることで、ユーザーにヒントや答えを与えながら、同時に収益を得る」

ことができるようになりました。
つまり、今まで攻略サイトが担っていたユーザーを補助する機能をアプリゲーム自体が持つようになり、それがゲーム開発者の収益になるようになりました。これは非常に良いことです。ゲームの収益性の向上は、開発者に開発資金と開発期間の余裕をもたらし、より良いゲームが生まれる基になるからです。
ゲーム開発者にとっては良いことですが、しかしこうなると脱出ゲームの攻略記事をサイトに掲載する正当性は、以前と比べると少し薄れることになりました。

その他にも、大型スマホソーシャルゲームの衰退、ガチャ問題の表面化、動画の台頭、アップルの4.3リジェクト問題などがあり、全体の流れを考えて、ゲーム攻略をサイトの主軸から外しました。攻略サイトとして継続する道が全く無いわけではありませんでしたが、それよりも攻略の傍らで行ってきたゲーム開発者へのインタビューや、海外のゲームイベントの取材などを強化して、独自路線を走っていく方が役に立つサイトとして生き残る可能性が高いだろうと判断しました。

今回サイト名称を変更した経緯については概ねこんな感じです。

さて今後ですが、攻略を完全にやめるのかというとそういうわけではありません。現在はほぼ停止していますが、「動画リワード広告」を実装していない一部の脱出ゲームは、まだ攻略記事を掲載することでユーザーやゲーム開発者の役に立つ可能性が残っています。
またeスポーツが盛り上がりつつある今、競技性の高いゲームの「How to」記事は価値を持つかもしれないと考えています。
様子を見ながら攻略もゆるりと継続していく予定です。いつかまた、攻略が当サイトのメインコンテンツになる日が来るかもしれません。

最後に、今の段階で考えている「力を入れていきたい新しいコーナー」をご紹介します。

まず、「黒川文雄のエンタメSQOOLデイズ」。

「ゲーム攻略」から「ゲーム研究室」にサイト名称を変更した理由と経緯について

ゲーム業界の大先輩、セガ、コナミ、ブシロードなどで要職を歴任してきた黒川文雄氏による連載です。
父が子を見るような目線で(と言うと失礼かもしれませんが)、ゲームのあれこれと共に人生訓を語って頂いています。ゲームサイトとしては挑戦的なコーナーですが、是非ご覧いただければと思います。
【黒川文雄のエンタメSQOOLデイズ】第2回:飲んでも飲まれるな 黒川文雄的お酒との付き合い

海外のゲームイベントの取材にも引き続き力を入れていきたいと思っています。

「ゲーム攻略」から「ゲーム研究室」にサイト名称を変更した理由と経緯について

ChinaJoy2017 特設コーナー
ChinaJoy2018 特設コーナー
特に上海のChinaJoy、台北の台北ゲームショウは良好な関係を築けていることもあり、今後より深い取材を実施していく予定です。

ゲーム業界向け、主にゲーム開発者向けの情報発信も強化していく予定です。
例えばゲームの国際的なトレンド、最新の収益化&マーケティングの手法、成功例や失敗例など、ゲーム開発者の役に立つ情報を、専門家の力を借りながらお届けして参ります。

「ゲーム攻略」から「ゲーム研究室」にサイト名称を変更した理由と経緯について

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いつもSQOOL.NETにお越しいただきましてありがとうございます。未熟なサイトではありますが引き続き頑張ってまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
いつの間にかメディアの人みたくなったことにいまだに慣れない中年ゲーマー。夜行性。
好きなゲームは「桃鉄」「FF5」「中年騎士ヤスヒロ」「スバラシティ」「モンハン2G」「レジオナルパワー3」「スタークルーザー2」「鈴木爆発」「ロマサガ2」「アナザーエデン」などなど。
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