格闘ゲーム界隈の「格闘ゲームの衰退は初心者お断りの風潮が原因」vs「最低限基礎は勉強してほしい」の議論は、なぜ噛み合わないのか

 コラム 
  公開日時 

著者:Taku

最近ネット上ではTwitterを中心に、格闘ゲームで度々話題になる、ある問題が議論されています。

格闘ゲーム界の永遠の議論とも言える、

「格闘ゲームの衰退は初心者お断りの風潮が原因」vs「最低限基礎は勉強してほしい」

という問題です。

格闘ゲーム界隈の「格闘ゲームの衰退は初心者お断りの風潮が原因」vs「最低限基礎は勉強してほしい」の議論は、なぜ噛み合わないのか

議論になるたびに毎回様々な意見が飛び交いますが、必ずと言っていいほど荒れ、互いの意見は平行線を辿ります。

私は元々、格闘ゲームの動画視聴を楽しんでいたいわゆる「動画勢」でした。最近になって『ストリートファイターV』をプレイするようになり、新規ユーザーとしてこの問題に触れましたが、双方のやりとりを見て、なんとなくモヤモヤした感覚を覚えました。

というのも、一概にどちらが間違っているというわけでもなく、どちらの言い分にも正しい部分があるように感じます。
さらに言えば、「初心者お断り」「最低限基礎は勉強してほしい」という双方の意見もそれぞれいまいち統一されておらず、つまり「初心者」の意味、「基礎」の意味が人によって異なることが、議論の混乱を加速させている気がします。

何故このような事が起こるのでしょうか。

それは、上級者、初心者、さらには引退した人や動画勢までいろんな立場の人がいて、格闘ゲームに触れた時代や文化が全く違うからではないでしょうか。

「初心者お断り」という意見は、人によって語る内容の「時代」が違っている

まず「初心者お断り」という意見の「初心者」の意味が統一されていない問題ですが、これは格闘ゲームを経験した時代が人によって違うからだと思います。

というのも、初心者お断りについて出る意見は、「ゲームセンターで上級者に一方的に狩られた(※)」「練習しようとしても乱入(※)されて練習できなかった」といった、一昔前のゲーセン全盛期時代を想定しているものが多く見受けられます。

※狩られる=圧倒的な実力差で負かされること
※乱入=対コンピュータ戦から対人戦に強制的に移行すること

格闘ゲーム界隈の「格闘ゲームの衰退は初心者お断りの風潮が原因」vs「最低限基礎は勉強してほしい」の議論は、なぜ噛み合わないのか

そしてそのゲームセンターでの経験が土台になっている方々は、今はゲームセンターよりもネットで対戦するユーザーの方が圧倒的に多いという事を認識していないように感じます。現代は自宅でパソコンやゲーム機をインターネットに繋いで対戦するのが主流なのです。

ネット対戦での初心者狩りは、例えば「マッチングが完ぺきではなく実力差がある人と当たってしまう」というゲーム側のシステムの問題や、「明らかな実力者がサブアカウントで初心者を狩る」といった、プレイヤー側の問題などによって起こります。
ただ少なくとも、かつてのゲームセンターとは異なり、対人戦を行うには意識してメニューを選ぶ必要があるため、コンピューター戦で練習していたら上級者に乱入されてボコボコにされるいう事はありません。対戦モードでも基本的には同じくらいの強さのプレイヤーと対戦するようになっていますし、インターネットのコミュニティなどを通じて自分が希望する強さのプレイヤーを対戦相手として募集することも可能です。

もちろん今もゲームセンターでの対戦は存続しており、完全に過去の話というわけではありません。しかし「昔の初心者お断り問題」をそのまま「現代の初心者お断り問題」として語る人が多いために、混乱を招いている節があります。

「最低限基礎は勉強してほしい」という意見は、人によって「基礎」の要求レベルが違っている

次に「最低限基礎は勉強してほしい」という意見については、人によって「基礎」の要求レベルが違うことが問題としてあげられるのではないでしょうか。

例えば冒頭で引用したツイッターの意見は、ガードなどの動かし方やキャラを知るという、本当の意味での「最低限の基礎」を示しています。
これら操作方法などを覚えることは、格闘ゲームに限らずゲームをプレイする上で当然の事です。この段階の基礎に対して「そういうのが初心者お断りなんだ」という反論は、確かに無理があると言わざるを得ません。

ただ実際問題として「動かし方を覚えただけでは勝てない」という現実があるのも確かです。そもそもコンボ(連続攻撃)を成功させるのが難しい、相手の攻撃をガードするのが難しい、という格闘ゲーム自体の問題点もあります。
ゆえに「勝てないとつまらないのだから、勝てるレベルまで努力するのが最低限の基礎である」とする方もいます。
ここからが厄介で、この勝てるレベルまでの努力がさらに細分化されていきます。

格闘ゲーム界隈の「格闘ゲームの衰退は初心者お断りの風潮が原因」vs「最低限基礎は勉強してほしい」の議論は、なぜ噛み合わないのか

「ゲーム毎のシステムの特徴」「コンボ練習」「キャラ対策」「確定反撃」「フレーム」などなど、勝つために必要な知識や技術は限りなく存在します。
もちろん上達するためにはいつかは覚える必要があるのですが、長年かけて増えてきた格闘ゲームのシステムや技術を、「これぐらい覚えろ」といきなり一気に押し付けられては、初心者お断りだろうという人が出てくるのも仕方ありません。

この「最低限の基礎」の定義がそれぞれ違うために「初心者お断り」の捉え方がズレてしまっています。これも混乱を招いている一因になっているのではないでしょうか。

初心者は必要不可欠な存在 せめて既プレイヤーが「初心者お断り」の態度を取るのはやめよう

eスポーツの普及で格闘ゲームが注目を浴びるようになりました。それに伴い、私のように動画勢からプレイヤーになる初心者の方も増えていると思います。

最近は対戦動画を視聴でき、また上級者やプロゲーマーが練習の様子などを動画で配信してくれる時代です。中には初心者向けの講座などを配信してくれたり、対戦会に来ている初心者に直接技術を教えるプロゲーマーの方々もいらっしゃいます。格闘ゲームはまだまだ初心者には厳しいジャンルですが、昔と比べれば確実に優しい環境になっていると言えます。

しかし、それでも一部では上述の「初心者お断り」「最低限の基礎」をめぐっての過激な言い争いや誹謗中傷など、不必要な対立が生まれています。そのような対立が目に付く現状は、見ていて気持ちの良いものではありません。

勝つための努力すらせずに「勝てないからつまらない」という厄介な方に腹が立つのは分かりますし、大方正論です。ただ、必要以上の過激な発言はただの自己満足であり、他のゲームをやっていろと切り捨てる必要はありません。
ただでさえ人によって定義が違う議論であるため、最初は厄介な初心者を批判していたはずが、いつしか真面目に頑張ろうとしている初心者にまで飛び火し、全体的に悪影響を及ぼし始めている気がします。

せっかく新規プレイヤーが増えるチャンスが芽生えたのですから、多くのプレイヤーは、自分が楽しんでいるゲームができるだけ栄えてほしいと願っているはずです。だからこそ、一部の既存プレイヤーがわざわざ初心者お断りの空気を出さないよう、不必要に高圧的な態度を取らないようにしてほしいと思います。

著者:Taku
ゲームに本気になりたい。パズドラを中心にいろんなソシャゲに手を出しています。お笑いとラブライブと創作で生きています。
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