インディーゲーム開発者はパブリッシャーと組むべきか否か
著者:加藤賢治(SQOOL代表 兼 編集長)
事業規模の小さいインディーゲーム開発者にとって、ゲームを開発した後いかに売るか、というのは常に大きな問題です。
パブリッシャーと組むことを選択肢の一つにすべき、というのが私の意見ですが、今回はこれについて少し書いてみたいと思います。
パブリッシャーというのは、ゲームを売る専門の会社です。ゲームを開発するのがデベロッパーで、売るのがパブリッシャーというすみわけです。(*以後、開発者はデベロッパーという言葉で統一します)
デベロッパーはパブリッシャーと組むことで、ゲームの開発に専念することができますし、パブリッシャーが広告費を出すことでインディーのデベロッパーでも大きな販売戦略を採れる可能性があります。
基本的に正しく組めば、パブリッシャーと組むことはデベロッパーにとって大きなメリットがあります。
しかし、日本のインディーゲーム界隈では、デベロッパーをあまり好ましく思わない風潮があります。
日本のインディー界隈は、パブリッシャーと組むことを避ける傾向がある気がする(今は昔ほどじゃないけど)
レベニューシェア取られるくらいだったら、、、みたいな考えが根強いなぁ、と… https://t.co/92TzK8HyLa
— 加藤賢治 / Kenji Kato @SQOOL (@kenjikatou) February 21, 2024
戦略として「自社パブリッシングにこだわる」というのであればそれは問題ないのですが、
パブリッシャーはなんとなく苦手、パブリッシャーと業務のやり取りをするのが面倒くさい、儲けているパブリッシャーはデベロッパーから搾取しているに違いない、など色々な理由でパブリッシャーを避けるインディーゲームのデベロッパーがいるのですが、これは非常にもったいないことだと思います。
パブリッシャーがなんとなく苦手、業務の連絡のやり取りが面倒なので自社パブリッシングで、というのはわからないわけではありません。そういう世俗的なことが苦手だから、自由に生きていける、と思った、インディーゲーム開発者として生きていくのだ、という方も多いでしょう。
こういう方には無理にパブリッシャーとの連携はお勧めしません。ただ、インディーゲームのデベロッパーに寄り添って良き協力者としてサポートしてくれるパブリッシャーもありますので、ぜひ一度無理のない範囲でパブリッシャーさんとも話してみていただければと思います。
私が問題だと追うのは、明確な理由なく、あるいは偏見でパブリッシャーを毛嫌いしているインディーゲームデベロッパーが結構多いな、という点です。
これは単にビジネスとしての可能性を狭めているだけで、非常にもったいないことだと思います。
もちろん世の中には悪どいパブリッシャーもありますが、良いパブリッシャーもあります。パブリッシャーとむ場合、それを見極めることも仕事の一つと言えます。
そういうのが面倒だ、という方もいると思います。それも未知の一つだと思います。ただ、それであればゲームを世の中の多くの人に遊んでもらうために、自らマーケティングを行う必要があります。
Steamだけで年に1万本以上のゲームが出ている今、良いゲームを開発しただけでは十分ではありません。
さまさまな可能性を模索し、ユーザーにゲームを届ける強い動きが必要です。
日本で個人が企業と組むのを躊躇うのは、個人側だけの問題ではなく、例えばフリーランスに不条理な契約を押し付けたりする日本企業の存在が一因としてあります。個人が企業と契約するのはリスクが高い、と思われているわけです。
これは本当に日本が反省すべき社会習慣です。
インディーゲームデベロッパーが、パブリッシャーと組むかどうかをもっとフラットに考えることができ、組む場合はきちんと公正な条件で契約を交わすのが当たり前、という世の中になって欲しいと思います。
これに関連して少し小話をすると、
ある外国のパブリッシャーさんから
「日本の開発者さんってお金欲しくないんですか?なんか契約書出したら、何も交渉せずにそのままサインされたんだけど…」
って言われたことあります。… https://t.co/MRsbk6Hxk2
— 加藤賢治 / Kenji Kato @SQOOL (@kenjikatou) February 21, 2024
あとこれに関しては、日本の大企業が個人や中小に対して
契約書の書き換え要求とか生意気だ
みたいな対応をしてくるのが影響していると思います。大手が出してくる契約書は絶対だ、みたいな振る舞いを実際にしてきますね。…
— 加藤賢治 / Kenji Kato @SQOOL (@kenjikatou) February 21, 2024
ゲーム開発者とパブリッシャーの話、予想以上に反応されていてちょっとびっくりしています。
パブリッシャーと組むかどうかは、方針とか好みとか、もっというと開発者としてどう生きていくかということと紐付くので、絶対に組むべきともそうでないとも言えません。どちらのスタンスも応援しています。…— 加藤賢治 / Kenji Kato @SQOOL (@kenjikatou) February 22, 2024